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ジルオール=トレイ

「な、何故僕の姿が……」


 少年は俺が気付いた事に心底驚いているようだ。


「いや……協会を出てから、姿も隠さず、普通について来てただろ? 視線も向けられてたし。偶然かとも思ったけど、ここまでついて来るとなったら……」


【無法者】として注目されるようになってから、視線を受ける事に対しては過敏になってるところがある。


 それはレイニーの時もそうだ。【道化師】だとバレたくないし、今も若干ドキドキしている。


 とはいえ、何処かに隠れての尾行であるなら、怪しい奴と思うんだが……


 堂々とついてくる。数度振り返ったが、隠れる事もなし。あっちも誰が来たのかと振り返る始末。


「君は俺の事を知ってるのか? といっても、しがない協会職員なんだが」


「そ、そんな……貴方は凄い人です。マスターが貴方を指名したのも分かります。癪だけど、アイツが自慢するのも……今度はそうはいきませんから」


 少年は名を名乗る事なく、勝手に納得した感じで、俺から離れていく。


「……一体何だったんだ? 褒められたのが逆に怖いんだが!? 『今度は』とかも言ってたし、発見されたいのか、されたくないのか……謎だ」


 少年は見つかった事に対して驚いたが、嬉しそうでもあったんだよな。


「少年を……ジルオールを唆したのは誰なのかは予想はつく。明日でも問い詰めるか。【道化師】だと知られたくないのは、アイツも知ってるはずなんだが……」


 少年の名前はジルオール=トレイ。ランク3のハンター。


 黒髪の長髪で目も隠れている。背もそれ程高くなく、ネスティスよりも少し背が低い。印象は影が薄いって感じだ。


 職業は盗賊。盗賊という事は、所長は元盗賊ギルドマスターであり、どういう理由があるのかは知らないが、尾行する相手に俺を指名する事が出来るはず。


【黒猫】の場合、【道化師】を知ってるだけで、俺を調べさせようとはしない。自力でやる実力はあるわけだから。


「そもそも、スキルを使えば、俺に発見される事はなかったと思うんだけどな」


 盗賊のスキルには【気配遮断】があり、それを使用すれば、俺は見つけられない。


 勿論、それは見られた後には意味がない。一旦、離脱してから、少し時間が経てば効果はあるはずだ。


【気配感知】のスキルで見破る事も出来るが、スキル精度の勝負になる。他にもスキル次第で、見つける事も出来るわけだが……俺がそれを持ってるわけじゃない。


「ん? けど、彼はそのスキルを所持してなかった気がする」


 協会にハンター登録する際、スキルを確認するわけだが、【鍵開け】や【危険察知】があったが、他は攻撃スキル寄り。【気配遮断】や【気配感知】【盗み聞き】等はなかったはず。


 ハンターが急激に増えるよりも前の話だから、増えていてもおかしくはないはずだが……

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