喰い下がりが凄い
「知らん!! 俺が紹介したわけじゃないし、守秘義務もある。相談役だとしても、素直に聞くと思うか?」
【道化師】と【黒猫】をネスティスのパーティーに組み込んだのは所長であって、立候補したわけじゃない。
それにパーティーを組むように、ネスティスへアドバイスしても、頑なに聞かなかったのは本当の事。【無法者】メンバーになるため……なんて事は彼に言う必要はなし。
ラーンも【無法者】メンバーになりたいとか言ってきたら、【殺戮】や【卑怯】がどんな目に遭わせたか……【道化師】を馬鹿にした時点で人生終了になってしまう。
「それは……相談役のお前相手でもそうなのかよ。狐面の変身者だったら……アイツが誰なのか受付嬢は見た事がないと言ってたし、名前を聞いておくべきだった。流石に勇者の彼氏という事は……」
変装した姿を協会で見せた事はないし、前に訪ねた時は【道化師】本来の服装だったからな。フレアやルイーズ達受付嬢が調べても、そんなハンターは見つからないだろう。
というか、敵視していた相手にまで、彼女の情報を引き出そうとするのは、そこまで本気という事なんだろうな。
「それはないんじゃないか? そうだとしたら、異界探索もソロじゃなく、一緒に行動してるだろ?」
そこはラーンだけじゃなく、ネスティスに対しても助け舟を出しておこう。
ラーンが腹いせにネスティスが誰かと一緒に行動していたと広める可能性もある。
そうなると面倒になるのは……ネスティスだけでなく、俺もだ!!
「その通りだ!! 奴はネスティスに振られたわけだ」
「……納得して貰えたようなので」
俺は席から立ち上がる。俺自身が言わせた事かもしれないが、彼の言い方に腹が立つ。
アドバイスのしようがないからな。
「ちょっと待って!! 待って……ください」
ラーンは俺を引き止める。
「……ネスティスには相談に来た事は言わないですよ。むしろ、言って欲しいですか?」
意識は向くけど、それは好き嫌いのどちらになるかは分からない。今の状態だと嫌悪感の方が強いだろうな。
「言って欲しい……いや!! 言わないでくれ。相談はまだ終わってない。仲を取り持ては言い過ぎだった。彼女の好き嫌いとか、知ってる情報を教えて欲しい」
「それは単なる恋愛相談だぞ。それも守秘義務があるから」
そんな日常会話をネスティスには滅多にしない。むしろ、こっちが知りたいわ。初探索記念のプレゼントを悩んでいるぐらいだぞ。
「うっ……一緒の依頼とかになれるようにとか。彼女を誘導出来たりは」
そこまで喰い下がると逆に怖いんだが!!
「……アイツに喧嘩を売った事を謝りたい」
そこは俺じゃないのかよ。




