選ばれた人間ではありません
「相談者だからといって、好き勝手言うのはなし。気分を害すれば、途中からでも相談はなしに出来ますから。反抗的な態度も駄目なので」
「……分かった」
「分かった?」
「分かりました!!」
「よろしい」
俺は相談室に戻ると、ラーンはキッと睨んできた。彼のプライドが高いのは分かってる。それを叩き割ってやったから、睨むぐらいは許してやろう。
俺は相談室の椅子に座り、ラーンに関する書類を見る。
「なるほど……凄いですね。すでにハンターランク3ですか。その年で覚えた魔法の数も多いようで」
ラーンは魔法ギルドの期待の新人だけあって、習得した魔法は多い。
【ファイアボール】【ロックブラスト】【ストーンウォール】【ファイアシールド】【ヘビーウォーク】の六つ。
彼の魔法は土系が多く、属性がそれなんだろう。相性の良い火の魔法も覚えているようだ。
ちゃんと攻防で使える魔法を覚えてるのもセンスはある。
俺と会った時はランク2だったが、3まで上げてるのも評価はするべきか。
「そうだろう!! 僕は優秀なんだ。ここまで出来る人間は限られている。選ばれた人間は僕みたいな者だ」
ラーンは褒められたと勘違いして、嬉しそうだ。
彼は優秀だとは思うけど、【無法者】メンバーに比べると……選ばれた人間は言い過ぎだ。
それ以外にネスティスを含めた勇者がそう呼ばれるのに相応しいんだと思う
それを率直に伝えるのもありなんだが……
「そんな貴方の相談は何ですか? 実力があり、ハンターランク3と順調に進んでいます。何も問題があるとは思えませんが」
自慢話をしたいだけなら、お引き取り願う。ギルドメンバーにでも言ってくれ。
「…………」
ラーンは黙っている。自慢話ならペラペラ話しそうだと思ったが、彼にとっては深刻な話かもしれない。
勇者の相談役を選ぶという事は、ソロを考えているのか? ネスティスは一人で異界攻略をしているのもある。
とはいえ、魔法使いのはソロは難しい。魔法の豊富さも必要だが、どれだけ詠唱を短くして、噛まずに動けるか。近接系並の動きを要求されるのは間違いない。
彼がソロで行動している時、助っ人として、別パーティーの仲間になるのが多かったはず。
「勇者みたいに完全なソロを目指すなら、他の職業へ修行へ行くのを薦めます。でなければ、【殺戮】みたいな圧倒的な力が必要になります」
【殺戮】の名を出せば、ラーンも納得するはず。魔法使いのソロは、【殺戮】ぐらいでないと無理だ。
ネスティスみたいに様々な職業を修行するしかない。勇者の特権はどの職業、ギルドにも無料で修行が可能。そのお陰でもある。
普通の奴だと、才能とお金が必要になるわけだ。




