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妄想受付嬢

「ゼロストさん……というより、勇者を担当している相談役を指名しているんですけどね」


「……なるほど。それはそうだよな」


 俺を選ぶにも理由がある。それがネスティスの相談役だから。彼女の活躍を俺のお陰だと思ったからか?


 その理由なら、内緒にして欲しいぐらいなんだが。彼女も頻繁に通ってくるから、他のハンターにバレてる可能性はある。


「はぁ……やりますよ。次からは勇者限定の相談役にして貰おうかな。これ以上相談者が増えるのは面倒だし」


 相談者が増えると、それだけ追加報酬が増えるわけだが、面倒臭い気持ちが高くなる気がする。


【閲覧】の能力も知られたくないし、ハンターでもない編集者が何様だと思う奴も出てくるはずだ。


「独占したい気持ちが……勇者とフレアちゃんで両手に華とか、羨ましいです。ゼロストさんがOKしたので、相談室に案内しますね。二番に来てください」


 俺の了承を得て、受付嬢は相談者が待つフロアへ移動した。


 フレア以外にも特徴的な受付嬢はいるようだ。


 妄想だとしても、フレアとネスティスで両手の華とか……面倒事が多そうで、腕が折れるわ。


 フレアは華呼びされて、ウンウンと頷いているぐらいだぞ。


「行ってくる。ちゃんと仕事をしとかないと駄目だぞ。俺の仕事を増やすのもなしだからな」


 フレアはたまに俺の仕事量を増やそうとするからな。機嫌が悪い時に限るけど、今回はないとは思うが……


「分かってるよ。私も所長室に行く時間だから」


「そうなのか?」


「うん!! 色々と話をして、お願い事もあるから」


 所長は職場環境を良くするため、職員相手に面談する事がある。今回はフレアがそうなんだろう。悪い事をしたわけじゃない……はず。


 フレアもなんだが嬉しいそうな顔をしている。俺に仕事を振る時間もない。お願い事というのも……美人秘書が許すかどうかだな。


「所長も大変だな。今回限りにするとして、ちゃんと相談に乗るか。スキルも【閲覧】で見るんじゃなく、相手から聞くなりすれば問題ないわけたし」


 相談者が嘘を言えば、それは相談者自身が悪い。【閲覧】で答え合わせは出来るが、そこを突っ込むのは……した方がいいのか。


 相談者のハンターの情報は、最新ではないが、受付嬢が相談室に置いてくれてはいるはず。


 相談室の前に移動する。相談者と同時に入るのは気まずいから、少し時間を開ける。若干の緊張を解す時間でもある。


 相談室に入る音と、妄想受付嬢の声が聴こえてきた。先に入り、書類を置いてくれてるのだろう。


 俺が入るタイミングを教えてくれるのは、流石の配慮だ。


 続いて相談者が中に入り、妄想受付嬢が離れていく足音も聴こえてくる。


 ここから十数えて、俺は相談室に入る。


「お待たせ……」


 思わず、声が止まってしまった。予想外のハンターが相談者として来たからだ。

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