御指名です
「そういえば……何もやってないんだよな」
【廃坑】の探索は置いといて、ネスティスの異界探索はランク1だとしても、全国に流れたわけだ。
しかも、ソロでコアを破壊する功績もある。こういう時は相談役として、祝い品を贈るべきなのか。
初探索から結構日が経ってしまったわけなんだけど……
ネスティスが興味がある物、好き嫌いなんて知らないんだよな。
いや……【無法者】のファンなのは知っている。だからといって、メンバーに加入されるのは無理な話だ。
それはレイニーじゃなく、【道化師】としてになる。そもそも、他メンバーは彼女の事を知らない。
【殺戮】にネスティスの事を言い忘れた。勇者という事だけは彼女も知ってるから、ましな方ではある。
「私の事を考えてくれてるんですか? そろそろなんで、期待してくださいね」
俺の独り言に耳を傾けていたのか、フレアが答える。
【廃坑】の異界探索は、別の支部への出張扱いになっていて、フレアはお土産を要求。駄々を捏ねられて、何でも言う事を一つだけ叶える事になってしまった。勿論、無理難題は✕。無理難題というのは恋人……そんな要求される事は流石にないか。そんな事言えば、フレアだけじゃなく、周囲からも変な目で見られそうだ。
「『期待してください』って、逆だろ……仕事に戻らないと、また怒られるぞ」
不安でしかない。俺が与える側じゃなくて、貰える側な言い方になっている。
期待と不安。与える側と貰える側が反対だ。
若干、その方が楽かもしれない。ネスティスに渡す物も決められないぐらいだ。
「それはレイさんも一緒だよ。手が止まってるし、呼ばれてる事にも気付いてないんだから」
「ゼロストさん」
「す、すみません。呼ばれてるのに気が付かなくて」
フレアの言ってた事は正しく、フレアとルイーズとは別の受付嬢が俺を呼んでいた。
「いえいえ……こっちこそ話の邪魔をしてしまって……フレアちゃんの声には気付くんですね……というのは、冗談です」
受付嬢は嫌味というわけではなく、笑顔でそんな事を言ってきたんだが……事実であり、悪いのはこちらだから、強く言い返す事も出来ない。
俺とフレアは関係はどんな感じで見られてるんだ?
「あははは……用件はなんでしょうか?」
「相談室に指名が来ています。けど、今日は担当の日じゃないので。ルイーズ先輩はゼロストさんが許可すればという話になって」
「俺を指名!? しかも、担当の日じゃないのに?」
俺を指名するのはネスティスだけなんだが、ごく稀にあったりする。なんせ、俺の職員は編集者で、ベテランハンターではなく、職員から相談役をしていると表示されている。
別日に言ってくるのは、遊び半分じゃないのかもしれない。相談というよりも、パーティーメンバーの愚痴で終わる時もある。
そのハンターに俺次第と伝えているのなら、俺が悪い奴でしかなくならないか?
勇者だけがいつでも良いとされているのが問題なんだが……




