あれから一ヶ月
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異界【廃坑】の探索から一ヶ月。
「はぁ……新人ハンターが増えるのは良いんだが、これといって注目出来る奴がいないな。まぁ……ネスティスを基準にすると駄目なんだが……」
俺は今日も今日とて、協会で仕事に打ち込んでいる。異界の映像の確認。書類整理、それと新人ハンターの能力が成否。
最近多いのが新人ハンターを見る事だ。
ハンターの証消失事件によって、ハンターの身元確認は厳しくなったが、それとは別の理由だ。
勇者達の活躍により、ハンター候補者が増えている。勿論、活躍した勇者の中にネスティスも含まれている。
同じパーティーになりたいとか、勝負がしてみたいとか、会ってみたいとか理由は様々。
ネスティスは【廃坑】で受けた骨折の治療を終えた後、破竹の勢いでランク1の異界や、適したクエストを達成。ランク2の異界もソロでコアの破壊に成功。
それは全国放送されるほど。どれも本部からの依頼ではなく、彼女自身の選択。
今はランク3の異界。【廃坑】と同等……といっても、進化する前の状態ぐらいに挑戦するつもりらしい。
といっても、イズン帝国のランク3の異界は別のハンター、パーティーが挑戦中。
別の国を訪れ、その国のランク3の異界に挑戦するしかない状況だ。
それも俺達職員が別支部に連絡を取り、許可を取る必要があり、探し中。その仕事は俺が担当しているわけじゃない。
その間にも、彼女は色々と修行をしている。戦士ギルド、魔法ギルド、盗賊ギルドを回ってるらしい。
回復魔法を得るために教会……はまだらしいが。
こんな有名人になっても、彼女の相談役は継続中。三日に一回は来てるんじゃないか?
俺を相談役に選ぶのはネスティスぐらいしかいないせいで、どの時間でもOKになってしまったんだが……
今日のところはまだ来ていない。昨日来たばかりだから、問題がない限りは二日連続は最近ない。
「はぁ……また似たような依頼が届けられました。ハンターになるのが厳しくなったからって……本来の仕事じゃないですよ」
フレアは受付の時間ではなく、裏方の手伝い。新しい依頼を確認して、掲示板に貼る。
直接、依頼者が協会に頼みに来る時もあるが、手紙で送られてくる時もある。
その場合、手紙に書かれた依頼と報酬を確認。直接ハンターが見に行くのか、職員が確認するのかも判断する必要がある。
彼女が見たのは手紙。最近はこういう手紙による依頼が多くなっている。それも異界関連ではない。
「勇者……彼女のせいじゃなくて、本部のせい……ですよね? レイさん」
「そこを俺に振るなよ。俺も本部が嫌いみたいになるから」
実際、本部は嫌いなわけだが、そんなパスを渡さないでくれ。一緒に依頼書も渡してくるし……




