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イマジナリー・ライク・ア・ジャスティス  作者: もちもちアゲイン
第四章 それでも、あなたはわたしの側にいてくれた
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第五十三話 機竜、蒼穹を穿つ



「止めてみな。できるもんなら。」

結局のところ、アタシにとってはあの子しかいない。

彼らにも多少の情はあるけど、あの子とじゃあ優先順位が違う。


「……ここで、ぼくらの道は分かれたよ。」

スティーブ君は地面を叩いて立ち上がる。

その鉄の拳は、硬く握られていた。

彼の本気の拳。多分、当たれば一撃で死ぬ。ガードなんざ意味をなさない。


─────ここは。

「…悪いけど、アタシは遊びに付き合う義理はないんだ。」

クラゲちゃんが、アタシの体を包む。

ここで、アタシはやられるわけにはいかない。


────────────────────────────────

スティーブが、家へと戻った。

彼の機体は締め付けられたように一部が変形している。

僕は何があったのか知らないが、まあ碌なことはなかったんだろう。


「話は通信で聞いています。厄介なことになりましたね…」


「四十四番街か…メカ社の支部がある地だ。

そこの住人を虐殺する…それが何を意味するかは、皆なら分かるだろう。」


「……軍団長クラスが、また投入される可能性がある。」


ヴラドは指を立て、それだけじゃない、と言わんばかりに口を開く。


「軍団長で済むのなら楽なものだ。六大勢力が支配する人々に危害を加える、あろうことか鏖殺を宣言したのだ。

…始まるぞ。全面戦争が…」


メカ社との抗争は、ここにいるみんなが経験している。

トラキュレンス、レックレス、リベリオス、プレデターワーム、ドレッドノート、ドゥーム。

この六体との戦闘は、それは思い出したくない。酷い目にあった。

プレデターワームはなんとか撃破できているが、それ以外の五体はどうしようもない。一体で盤面が破壊されるほどの力だ。


「…しかも、だぞ。

白日卿、妖光卿、君らは戦えるか?」


ヴラドは僕らを指差す。

僕はスティーブとポールの件で肋骨が数本逝った。それに、まだ全身の傷は治っていない。全身痛い。

エリはさらに酷い。手の指の骨折、内臓にダメージ、脳震盪の後遺症。


彼女と目を見合わせる。

いつもの煌びやかな笑顔はなく、暗い顔をしていた。


「軍団長とも引けを取らない君ら2人、覚醒者の荒龍卿が戦闘不能の今、我々に出せる手はほぼ潰えている。」


こちらが出せる最強のカード、スティーブがあるとは言え、軍団長を複数相手取ることは危険が過ぎる。

それにだ、軍団長が率いる部隊もどうにかしないと。


「……待ってください。

全面戦争が始まれば、奴が必ず現れます。」


「………スパークル、だろう。それに、花火職人やホットネスト・ファンクラブの残党も現れる可能性がある。」


エイヤとメカ社の相手をしないといけないというのに、さらに漁夫の利を得ようとする連中の対応もしなければならない。

…あまりに不利が過ぎる戦いになりそうだ。


「…また天翔け屋を使うか?シリウスさんなら多分来てくれるだろう。」


「彼女はまあ来てくれるというよりもういますが、それ以外はもう頼れないでしょう。

彼女から聞きましたが、彼らは次は金を取る…とのことでした。天翔け屋へ依頼する金は、現在ありません。」


「なら師匠たちに頼ろうぜ。あいつらフットワーク軽いから来てくれる…よな?」


「……連絡はしてみます。

今回の戦い、今使える全てを使います。

ですが……代償は重いでしょうね……」


────────────────────────────────

けたたましいサイレンの音が鳴り響く。


「現在、四十四番街にAランク都市災害『ザ・ナイツ』が接近中。至急住民は最寄りの安全な所へ避難してく───」


触腕が、サイレンの頭を握りつぶした。

血に塗られた女は逃げ遅れた人々を睨みつける。

涙を流す大人、泣き叫ぶ子供、立ち向かおうとする親。

そのどれもが、彼女にとっては『餌』に過ぎない。

赤黒い触腕が、『餌』を一瞬にして肉塊へと変えた。

足元に転がった子供の目玉を踏み潰し、彼女は進み続ける。

たった1人の家族のために。


瞬間、女の前に1人の男が立ち塞がった。

灰色のスーツ姿の男は、アタッシュケースを広げる。

展開された機械の鎧が、男の全身を包み込む。

そして、その姿を獣へと変えた。

四つ足。巨大な三本の角。盾を思わせるフリル。

おそらく、地球上でこの生物の名を知らない人間はいないだろう。『トリケラトプス』。


「嬢ちゃん。俺が誰だか、分かるだろ?」


「…アサルトファランクス軍団長、トリケラ・トラキュレンス。でしょ?」


「そうさ大正解。

そして、お前を殺す処刑人の名だ。」


揺蕩うクラゲの触腕から、赤黒いレーザーがトリケラトプス目掛け照射。

辺りは爆炎に包まれる。


「そん程度か?」

炎が過ぎ去った後、女は目にした。

正面を覆うように、蒼穹のホログラフィックシールドが展開されていた。


「───へぇ。

守るだけで、アタシに勝てるって思ってるんだ。」


「あぁそうだ。

嬢ちゃん程度、屁でもねぇ。」

最近新しいシリーズ描きたくなってきた今日この頃

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