↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イマジナリー・ライク・ア・ジャスティス  作者: もちもちアゲイン
第四章 それでも、あなたはわたしの側にいてくれた
PR
55/55

第五十四話 愛憎、永夜を紡ぎて



「嬢ちゃん程度、屁でもねぇ。」

トラキュレンスは、そう断言した。その言葉に、嘘偽りはない。彼には勝てる策があるからだ。

エイヤの目が鋭く光る。本気で殺す、その意を示した。


駆動音と共に、トラキュレンスの背中が開く。そこから、銀色の小型ミサイルが飛来。

しかし、こんなジャブ程度は彼女に効きはしない。

触腕から放つレーザーが、ミサイルを迎撃。


「あのさぁ。この程度効かないって─────」


「わかってるさ。」

瞬間、エイヤの全身に高圧電流のような痛みが走る。

彼女が自身の腹部を見ると…


「………電気の…鎖……?」


「T-98式プラズマアンカー。新武装だ。」

三本の角のに挟まれるように、蒼穹のプラズマアンカーが射出され、エイヤの腹へ突き刺さっていた。

トラキュレンスは大きく首を振り、エイヤを引き寄せる。

クラゲの触腕が地面と繋がり、彼女の体を繋ぎ止める…が。

体を動かすたびに、電流が全身を駆け巡る。

感覚が同期されているクラゲも同様。力を失い、彼女の体は宙へと投げ出された。


そのまま振るわれ、エイヤはビルへと叩きつけられ、穿ちながら地面へと投げられた。


「グッバイ。」

トラキュレンスの2本の角に電流が纏われる。

背中のブースターが、轟音と共に起動。

トリケラトプス十八番の突進だ。


エイヤへと角が突き刺さる瞬間。

トラキュレンスが爆ぜた。


「………面倒な奴が来たな。」


カメラに向かって、大袈裟な笑顔を見せる少女が現れる。

「今回の企画はねー、英雄の裏切り者!軍団長!全員ぶっ飛ばす!以上!分かりやすいでしょ?」


爆裂@すぱーくる!ちゃんねること、スパークル。

彼女の指が鳴る瞬間、トラキュレンスの全身が真っ赤な炎で包まれる。


爆破の中を縫うように赤黒いレーザーがスパークルへ。

スパークルは爆風で空へと舞い、ビルの上へと着地した。


「……邪魔しないで。」


「あれれぇ?大義名分を謳ってる英雄ちゃんたちを裏切ったクラゲちゃんが、ネットの神様のこのすぱに楯突く気ぃ?」


「お前ら両方指名手配犯だろうが!」

トラキュレンスのプラズマアンカーが、スパークルへと飛ぶ。

が、彼女の指鉄砲から放たれた爆裂によって捻じ曲げられ、プラズマアンカーはあらぬ方向へと吹き飛んでいった。


なんという偶然か、吹き飛んだその場所には逃げ遅れた市民の一団が。


「しまっ────!」


「あーっ!メカ社経営のタワマン住みの住人を、あろうことか軍団長が傷つけちゃってるぅ!これは大スクー──」


プラズマアンカーが、一瞬にして切断された。


爆風で揺れる街に、双剣が煌めく。

「今回の仕事に、市民を守ることは含まれてないのだが。」


三者の目の色が変わる。全員、一瞬にして緊張が走った。

「……コールサイン096、シリウス・アナンタシェーシャ。フライアウェイ。」

コールサイン、従業員に割り振られる識別番号。

フライアウェイ、従業員の任務開始のサイン。

天翔け屋で用いられる暗号の一種だ。


女は後ろの市民たちを一瞬流し見て、正面の三者を見据えた。

「…やろうか。今回の依頼は、ワタシの彼からの頼みなのでな。殺す気でいくぞ。」

彼女が一歩前へ出る。瞬間、エイヤとトラキュレンスの足首まで、水が浸る。


エイヤが一度舌打ち。その後、シリウスの背後へ触腕が回り込む。

1秒にも満たない間で、彼女は触腕で締め上げられる。

しかし、その余裕そうな表情は変わらない。


なぜ避けなかった。その疑問を口にしようとした瞬間。

シリウスが消えた。


彼女の体が文字通り液体と化し、地面へと流れていった。


「……は?」

エイヤの首元に、双剣が押し当てられる。


「水に浸ってる時点で、キミたちに勝ち目はないさ。諦めろ。キミじゃあ、何があろうとワタシには勝てない。」


────────────────────────────────

………諦める?

その選択肢が、アタシにあるとでも?

まだ負けられない。まだ死ねない。あの子が、ヒルマが生きてないんだから。

まだ、まだまだまだ。


アタシは負けてない。

なんでもしてやる。全員殺してやる。それで、ヒルマが1秒でも長く生かせられるなら。


────────────────────────────────


エイヤの瞳の色が、消えた。

赤黒いその色すら。あるのは万色が溶けた、濁った暗闇だけだった。


「………!キミ、正気か…!?」

シリウスは滑るようにエイヤから離れる。

彼女の目には見えた。


エイヤは、『永劫の長夜』は。


エイヤの体から、クラゲの触腕がバキバキと音を立てて現れる。その体が影のように暗くなり、姿が変わりゆく。


「………縺ゅ�蟄舌↓莨壹>縺溘>」


「………あーあ。『異化』しかけてる。

こうなるから下手に能力のリミッターを外すなっていっつもすぱは配信で言ってるんだよ?」


「……お前の結末には同情してやるよ。嬢ちゃん。」


永劫の長夜は、三者へ顔を向ける。


「谿コ縺励※繧�k」


永劫の長夜は触腕を掲げた。

その手から黒い霧が巻き起こり、世界はまさに永夜に包まれた。


「……」


空に、赫い星が浮かぶ。

星に見えた。

それは、クラゲだった。


クラゲが、シリウスの方へと揺蕩う。

刹那、大鎌がクラゲを貫いた。


黒いコートを来た男が、立っていた。

「全く…俺が来て正解だったな。

コールサイン044、エグゼキューター、フライアウェイ。」


赤いフルフェイスヘルメットを身につけた男は、永劫の長夜へ鎌を向ける。


「エグゼ、キミが来てくれて良かったよ。

…勝てると、思うか?」


「いいや全く。

覚醒能力者の異化は前例がない。

召喚、結界、自己強化、あらゆる能力の反応がある。

ボスが来るまで持ち堪えるしかないだろう。」


シリウスはため息を一つ。


「…まあやるとするか。行くぞ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。