第四十九話 ただ独り、揺蕩う海月
「生き返らせてもらったの。」
言葉が聞こえた瞬間、僕の頭に一瞬ノイズがかかった。
立ちくらみがして、地面に膝をつく。
「……なにか、妙な気がする。」
「…えぇ、あたしもよ。」
その場にいる全員が、えも言われぬ不快感を訴えた。
この状況で、出てくる選択肢は一つだけ。「何者かの能力の影響を受けた。」それだけだ。
「……待て、誰かがいなくねぇか?」
僕はキッドの言葉で、それを自覚した。
1人、足りない。
とりあえず数えてみる。
この場にいるのは、確か14人。
まず僕、皇楓、エリ、キッド、アンサー、シャムル、ユウ、ベンジャミンさん、ヴラド、ヘヴン、レヴェル、スティーブ、レイラさん。
全員……いる。いや、いない。
「……エイヤだ。」
「…彼女は何をしているんだ?」
「……わからない。けど、なにか良くない気がする。」
突如、レイラさんが片膝をつき、頭を強く押さえる。
「かあさん!?どうしたの!?」
「…頭が…痛いの。それに、昔のことが…思い出せない。
まるで、誰かに記憶を掻き出されたみたい。」
「記憶…長姉卿で間違い無いだろう。
彼女の召喚物には、記憶を改竄する力があるからな。記憶を盗むことも容易だ。
しかし…何故?」
「レイラさんのどの記憶が盗られたのかも、彼女の目的も分からない以上、僕らにはどうしようもない。
彼女が裏切った、その線も考えないといけない。」
「……私に考えがある。」
ベンジャミンさんが立ち上がる。
「私がこの周辺の過去を覗く。そうすればエイヤ殿が何をしたのかが分かる。」
ベンジャミンさんの両手に、黄金の魔法陣が現れる。
辺りに、時計の針が進む音だけが流れる。
「…………成る程な。
君たちにも見せよう。」
ベンジャミンさんが手をかざすと、黄金の影が現れた。
身体や仕草からして、エイヤだ。
「……死者の蘇生。
うん、アタシが求めていたもの。
レイラとスティーブには感謝しないと。こんな大事な記憶をアタシに教えてくれたんだから。」
エイヤの影は指を鳴らす。
瞬間、彼女の姿が変わった。
深紅の瞳から光が漏れ、ショートウルフだったはずの髪から、長いピンクの触腕が伸びる。
「待ってて。今逢えるから。」
「…逢える、まさかな。」
エイヤが探す人物…皇楓には心当たりがあるようだ。
「彼女には…確か1人の妹がいる。
名は知らないが、故人であることは事実だ。」




