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イマジナリー・ライク・ア・ジャスティス  作者: もちもちアゲイン
第三章 リターン・トゥ・サイド・オーダー
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第四十三話 マイ・ファーザー・トールド・ミー

 

 爆炎、爆発、斬撃、濁流、拳撃、桜花、電撃。ありとらゆる攻撃が、怪物へとぶつけられる。

 このままダメージを与えていけば、いずれ倒せる。勝てない相手じゃない。

 怪物は翼で自身の肉体を包み込み、全身をガードする。

 しかし、猛攻の嵐に押され、体が徐々に下がり始める。


─────────────────────────────────


「……If you're scared, remember me」


 ……父さんは、あの時のぼくを抱きしめながら言った。

「one day, you'll leave this world beyond.」


『so, live your life for the futures.』

 ぼくが生きていた時、彼はそう言ったんだ。

 その言葉は、決して忘れられない。

 だから、未来を生きるんだ。

 でも、父さん。

 ぼくはこのまま怒ってていいのかな。

─────────────────────────────────

「グルァアァァァァーーー!!!!」


 天地を揺るがす咆哮と共に、全ての猛攻が撃ち返される。

 爆風も、劫火も、濁流も、全てが吹き飛ばされる。

 そして、翼を大きく広げ、怪物は俺たちへ向く。


「……あれは流石に映えより命取るべき…じゃない?」


「…この程度…」


 翼から、無数の赤いレーザーが放たれる。

 天は一瞬にして真っ赤に染め上げられ、怪物の『怒り』を露わにする。


 逃げられない、防げない。

 目の前に、水や炎の障壁が築かれるが、気休めにすらならない。

 炎は消し飛ばされ、水は蒸発。俺たちを、猛る竜の怒りが包み込んだ。


「ガルルルル……」

 誰も立ってはいなかった。

 覇導観宗主も、執行官も、英雄も。誰もだ。

 俺たちは皆、『死』を感じた。


「……グルル」

 しかし、それ以上の怒りは向けられなかった。

 怪物は大翼を広げ、飛び去っていった。どこかへ。

 皆立ち上がらない。喋るのでやっとだ。

 瓦礫が崩れ、炎が燃ゆる音だけが響く。

 瞬間、誰かが大きく息を吐いた音が聞こえた。


「………まじチョベリバじゃない…?あんなバケモン、誰が止められんのよ。」


「……あいつ、どこへすっ飛んでった?」

 研冶の言葉を境に、誰も口を開かなくなった。


 少なくとも、俺たち以外に狙いがある。

 思いつくのは、たった1人だ。


「……ポール。」

 その場の全員が、同時に口を開いた。


「最初に攻撃したのも、私たちではなくポールです。

 スティーブ、彼はポールを殺したい。そう願っているはずです。

 皆さんも勘づいているでしょう。秩序を謳うポールという男が、なぜ私たち英雄を引っ張り出して、世論をスティーブ、基いヘンリーに向けたのか。」


「局長は、秩序ではない。混沌である。そう主は言いたいんじゃろう?」


「大正解。初対面ですが、100点をあげましょう。」

 …ポールはヘンリーを誘き出すために、俺たちを、オーダー・セレモニーを利用していた。こう考えれば、全てに合点がいく。


「…とにかく、今は立て直そう。

 いつスティーブが帰ってきて、僕らに牙を向くかわからない。」

 ソルが一番に立ち上がり、服についた埃を払った。


 皆が去ろうとする中、たった1人の男だけが立ちあがろうとしなかった。その男は、最も強いのにだ。

「………どうして。

 彼が言っていたのは、嘘だったのか……?」


 太陽に最も近い男は地に倒れ、目に涙を浮かべる。

 俺は彼の元へ行こうとした。

 しかし、緋桜が俺の腕を掴んだ。


「しーっ、首を突っ込むな。

 彼は裏切られたんじゃ。そっとしておいてやれ。」


「………ポールにか?」


 彼女は、無言で頷いた。

「…日輪の秩序への想いは本物じゃ。

 それに私欲のためにつけ込む、そんな事をするのは1人しかおらんじゃろう。」


 俺は、何も返す言葉が見つからなかった。

 そのまま、都市中央区を後にした。

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