第四十三話 マイ・ファーザー・トールド・ミー
爆炎、爆発、斬撃、濁流、拳撃、桜花、電撃。ありとらゆる攻撃が、怪物へとぶつけられる。
このままダメージを与えていけば、いずれ倒せる。勝てない相手じゃない。
怪物は翼で自身の肉体を包み込み、全身をガードする。
しかし、猛攻の嵐に押され、体が徐々に下がり始める。
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「……If you're scared, remember me」
……父さんは、あの時のぼくを抱きしめながら言った。
「one day, you'll leave this world beyond.」
『so, live your life for the futures.』
ぼくが生きていた時、彼はそう言ったんだ。
その言葉は、決して忘れられない。
だから、未来を生きるんだ。
でも、父さん。
ぼくはこのまま怒ってていいのかな。
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「グルァアァァァァーーー!!!!」
天地を揺るがす咆哮と共に、全ての猛攻が撃ち返される。
爆風も、劫火も、濁流も、全てが吹き飛ばされる。
そして、翼を大きく広げ、怪物は俺たちへ向く。
「……あれは流石に映えより命取るべき…じゃない?」
「…この程度…」
翼から、無数の赤いレーザーが放たれる。
天は一瞬にして真っ赤に染め上げられ、怪物の『怒り』を露わにする。
逃げられない、防げない。
目の前に、水や炎の障壁が築かれるが、気休めにすらならない。
炎は消し飛ばされ、水は蒸発。俺たちを、猛る竜の怒りが包み込んだ。
「ガルルルル……」
誰も立ってはいなかった。
覇導観宗主も、執行官も、英雄も。誰もだ。
俺たちは皆、『死』を感じた。
「……グルル」
しかし、それ以上の怒りは向けられなかった。
怪物は大翼を広げ、飛び去っていった。どこかへ。
皆立ち上がらない。喋るのでやっとだ。
瓦礫が崩れ、炎が燃ゆる音だけが響く。
瞬間、誰かが大きく息を吐いた音が聞こえた。
「………まじチョベリバじゃない…?あんなバケモン、誰が止められんのよ。」
「……あいつ、どこへすっ飛んでった?」
研冶の言葉を境に、誰も口を開かなくなった。
少なくとも、俺たち以外に狙いがある。
思いつくのは、たった1人だ。
「……ポール。」
その場の全員が、同時に口を開いた。
「最初に攻撃したのも、私たちではなくポールです。
スティーブ、彼はポールを殺したい。そう願っているはずです。
皆さんも勘づいているでしょう。秩序を謳うポールという男が、なぜ私たち英雄を引っ張り出して、世論をスティーブ、基いヘンリーに向けたのか。」
「局長は、秩序ではない。混沌である。そう主は言いたいんじゃろう?」
「大正解。初対面ですが、100点をあげましょう。」
…ポールはヘンリーを誘き出すために、俺たちを、オーダー・セレモニーを利用していた。こう考えれば、全てに合点がいく。
「…とにかく、今は立て直そう。
いつスティーブが帰ってきて、僕らに牙を向くかわからない。」
ソルが一番に立ち上がり、服についた埃を払った。
皆が去ろうとする中、たった1人の男だけが立ちあがろうとしなかった。その男は、最も強いのにだ。
「………どうして。
彼が言っていたのは、嘘だったのか……?」
太陽に最も近い男は地に倒れ、目に涙を浮かべる。
俺は彼の元へ行こうとした。
しかし、緋桜が俺の腕を掴んだ。
「しーっ、首を突っ込むな。
彼は裏切られたんじゃ。そっとしておいてやれ。」
「………ポールにか?」
彼女は、無言で頷いた。
「…日輪の秩序への想いは本物じゃ。
それに私欲のためにつけ込む、そんな事をするのは1人しかおらんじゃろう。」
俺は、何も返す言葉が見つからなかった。
そのまま、都市中央区を後にした。




