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DREAMERS WORLD 〜たぬきはせかいをすくえるか?〜   作者: からかさたぬき
第6章 砂漠の街、キングビースト編
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おそろしきもの?


 「ふゅう、ねえ、ふゅう?」


 「はいそうですね。自分の名前はフューですよ。」


 フューの目の前の男の子……あの人がハイヤル、えっと、ねちっこい人、そう、そのハイヤルは、可愛らしくコテンと首を傾げた。うーん、見えない、そんな、ヤバそうな人には見えない。


 「あれえ、ふゅう、おこってるう?」

 「そうですね。閉じ込められて怒らない人はいないでしょうね。」


 フューは大きな鳥かごの中で腕を組んで、ため息をついた。わー嫌そう。


 「貴方ほど、糸通しを使わずに100本の針に刺繡糸を通すくらい面倒くさい人はいないから会いたくなかったのに。」

 「うわあ。あいかわらずのどくぜつ、ぶりだねえ。ふゅうひどおい。」


 フューは舌打ちをした。はじめて聞いた気がする、フューの舌打ち。そしてちらりと、鳥かごの鍵を見た。


 「大体、自分が何をしたというのですか?なぜそんなにも執着するのですか?全く身に覚えが無いのですが。」

 「んんう。ほんとにい? そうだねえ。りゆうのひとつはあ、ふゅうがねえさまを、たぶらかしたからあ、かなあ。」


 フューは口を開け、眉をしかめて何かを言おうとした、けど、すぐにその口を閉じて言った。


 「……ああ危ない危ない。これでは無粋なジュンさんと同じではないですか……」


 「誰が無粋だ」

 「ジュンくん静かに。」


 フューの小声に僕の隣のジュンが悪態をついた。フューもハイヤルも……気づいてないみたいだ。よかったー。


 「知ってますか?たぶらかすというのは、騙し惑わすという意味ですよ?」

 「へえ〜……あっ」


 僕が十分にフュー、ひいてはハイヤルにも聞こえる声を思わず出してしまった。やっべ。


 「……らいうさん?」

 「だれえ?」


 二人がこっちを向く。


 「おい!静かにしろよらいう!バレるだろ!?」

 「大丈夫じゃ!妾の弟君は妾のマジック[もういいかい]を使わないと敵の姿を発見できん!」

 「さすがにこの距離……気づいてると思うけれど。」

と、三人が騒ぎ始めた。


 もう〜全く〜。おかげでバレちゃったじゃないか〜。最初にバレたの僕だけど。


 しょうがない。バレたからには正体をあらわにしないとな!


「ぬ〜〜〜〜〜〜でゃふ!僕の名前は木隠らいう!らいうって呼んでね!」


 ちなみに、ぬ〜〜〜〜〜〜のとこはたぬきでアクロバティックな動きをし、でゃふのとこは人型に戻ったら顔面から床に落ちた音だよ!どやっ!どやどやあ!


 かの師匠から教えを受けてから何度も練習した名乗り向上だよ!見たか!うーん、浪漫が足りないって言われそう!だってこのアクロバティックたぬきの習得の方が大変だったんだもん!


 「変な顔してないで、早くここから自分を連れ出してください……あなたなら余裕でしょう?びっくり人間らいうさん。」


 さあぷらいずひゅうまん?僕が?

……さあぷらいずらくうんどっぐが良かったなあ。


 しかし僕なら余裕とは。随分と僕を高く買ってくれてるじゃあないか!

 ならご期待に答えなきゃな!!

 あの最新のスキルをお披露目してやんよ!


 「なにをするつもりなのお?」

 「スキルスイッチ![君臨!たぬきんぐ!]」

 「は?え、自分的には、巨大化、を期待してたんですけど……」


 僕はたぬきんぐになった!フューの困惑した声が聞こえたけど気にしない!


 よおおうし!


 「たぬぬぬうううう!」


 ばーん!たぬきんぐになるための爆発う!檻破壊!大破!少しばかり痛い!


 「ちょっ!何してくれてるんですか!自分死ぬとこだったんですけど!瓦礫の下敷きになったら4kg以上の重さが自分にかかってお陀仏なんですけど!」


 しーらない!


 僕はフューをすくって背中に乗せた。さあさあたぬきの快進撃の始まりだ!


 まずう……壁を破る!グーで!全体重を乗せた、たぬ拳をくらえええ!


 ばーん!壁!大!破壊!大破!


 「うわあ。こまったなあ。」


 困ってるのか困ってないのかよく分からないハイヤルの声を尻目に、僕ら……フューを背中に乗せた僕と、ジュン、サンクはその穴を通って外に出てきた。


 「え、らいうちゃん。あの壊した壁どうするの?」

 「たぬなあああ!」


 問題なし!必要な犠牲!


 「……俺は関係ないからな。知らないぞ。」

 「あ、自分も壁を突破しろとまでは言ってないんで、今後あ(・)れ(・)の相手はらいうさんに。」


 えーー。……だめなやつだったー?

 あ(・)れ(・)、って……さっきから視界の端にちらちら見えてる、あれ?


 「まじっくう、おおぷん、[もういいよ]こかとりすう」


 こかっ!?え、こかって、あのこかっ!?こかこか!?


 「らいうさん。何目を抑えて震えているのですか?巨体のくせに。」

 「たったぬぬ…ぬむぬ…」


 僕は目をつむったまま、コカトリスの方に丸い手を向けた。来るな来ないであっちいけえ!

 見えなければ怖くない!やっぱ怖い!



「どうしよう、皆石になっちゃうわ!」


 たぬしか喋れない僕の代わりに、僕サンクが青ざめた声をあげた。


 「ああ……あのサイズのコカトリスでしたら、尾羽の棘にさえ気をつけていれば石にはなりませんよ。もう少しサイズが大きいと、全身に棘が出現しますが。」


 え、まじで!?なーんだ!

 ハイヤルは何回もマジックの名前と、モンスターの名前らしきものを言いながら様々なところに魔法陣を出現させてモンスターらしきものを召喚させている。

 ……たぬきいるかな?


 「なあフュー。」

 「何でしょう?」

 「あいつ、あの場所から動かねえけど、召喚されたモンスターも、行動できる範囲とかあるんじゃねえか?」


 フューが口角を上げ、ジュンに笑ってご名答、とつぶやいた。


 「ジュンさんにしてはなかなか鋭いではないですか。」

 「だってさらいう!逃げるぞ!」


 うん。

 ごめん。

 戦うんだと思ってた。


 「……なんでそんなに動きがのろまなんだ?」

 「私は!そのほうがいいと思うわよ!らいうちゃん!」

 「……やっぱり、戦闘モードなんですね?それ。」


 せんとうもーど。

 多分そんな感じだと思う……。


 「あれか。スピートよりも攻撃力を重視した、一撃が重いタイプか。」

 「なんですかその説明くさいセリフは。ロボットですか。ロボットの説明ですか。」


 ジュンは息を吐いた。


 「らいうを囮にできる量でもねえし、」


 囮にする予定だったの!?僕!?


 「らいうを置いておいて、俺らの足の速さがあのモンスターの大群に敵うとも思えねえしな。しょうがねえか……戦うか。」


 ……やっぱり、囮にできたら囮にするつもりだったんだ!ひどい!


 えーー、戦わずしてあれだよ。話し合いで解決する道もきっとあると思うんだよ。もう確かに僕は戦う感じになっちゃってるけど!けどね!もう周りをかなり囲まれてるけどね!突かれてるけどっ!翼竜にっ!綿がっ綿が出るっっっ!こらっ!ちゃっかりジュンもサンクもフューも僕を盾にするんじゃないっ!戦うかとか言って隠れるんじゃない!


 「スキルスイッチ[アイスフォール]!」


 うあああああああ!


 続々と氷の尖ったやつが、空から落ちてきて、飛竜に当たる!

 でかい氷の尖ったやつが飛竜の翼の付け根の所に上からぶっささり、どんどん落ち……てない!見た目派手だけど怒らせてるだけだっ!?


 そして僕にもあたってる!


 もっとたぬきを労ってええ!


 喧嘩だよ!これきっと喧嘩ふっかけてるよっ!なぜ手加減する!?


 「あ、そうだ、雪降ってないと弱体化食らうんだっけな、この装備。だから環境効果無効のあの腕輪が欲しかったんだよなー……いやいや、他の装備を一式揃えるという手も……いやでも俺はこの装備が……」


 ただ今のジュンがよわよわなだけだった!


 ぽかっとブツブツ言い始めたジュンの頭をフューが殴る。


 「なにすんだよ!?」

 「今そんなことブツブツ言ってる場合じゃないでしょう!?つまり今ジュンさん戦力外ってことじゃないですか!」


 フューはフューより大きな杖を砂地に突き立てて叫んだ。


 「スキルスイッチ[結界]!スキルスイッチ[ハイ☆パワー]!」


(スキル[結界]

効果…簡単なバリアを人一人分展開する。耐久力は低い。中からの攻撃は不可能。

SP…15

取得条件…致命的なダメージを受ける。)

(テクニック[全体化]

効果…SP使用量は1,5倍になるが、杖を突き刺したところから半径15m範囲の味方にスキルをかける。

取得条件…人助けポイントで交換する。)


 という文字が僕の目の前に。あぱぱぱぱぱ。


 え、え、なに致命的なダメージって!?僕の、アリに追われて崖から落ちたのとか、SP切れでダウンとかはだめなの!?


 でもでも、人助けポイントの方はうっすら覚えてる。人助けポイント久しぶりに聞いたなー。そういやフューは料理スキルもとってたし。そうかああ……人を回復するようなスキルを持っていれば貯まりやすいのかなあ……。やっぱ僕、人助けポイント0だから借金まみれなのかなあ……。


 僕、ジュン、サンク、フューの周りに小さなドーム状の何かが広がり、みんなのがつながった。


 「スキルスイッチ[アイスフォール]!お!フュー!さっきより効くようになったぞ!?」

 「聞いてなかったんですか!?自分がバフをかけたんですよ!!」


 ハイ☆パワー……なんだっけ。強くなるんだっけ。攻撃が。


 「フュー!それよりもらいうちゃんよ!らいうちゃんに、ジュンくんにツッコミを入れるよりも先に!スキルを!SP回復を!」

 「!?なぜ!?何故戦ってないのに倒れてらっしゃるのですか!?まだ一分くらいしか経ってないですよ!?」


 そういや王様は効果時間一分、だったかも。ジャイアントたぬきは10分で、それえそれえ。


 「フューっ!らいうちゃんが虚ろな目をしているわ!はやくっ!はやくっ!」

 「あ、はい!スキルスイッチ[SPヒール]!」


 出た!聞き馴染みのあるフューの技っ!僕を水色の光が包み込み、こう……拳をしっかり握れるようになってくる、気がする。気がするだけだ、これなんて言うんだっけ、えっと、ぷら、ぷら、お歳暮効果?


 「はううう〜……」



 くーーるたーいむーーー。


 「らいうさんっ!さぼんないでください!」


 わっはっはああやる気でねえ〜。

 サンクがスマホをぱっと開いてフューに見せた。


 「フュー、見て、これ!」

 「え、あの翼竜のモンスター図鑑ですか……」


 翼竜はくちばしでフューの結界をつついている。あー…割れそー。


 「『怠惰のエキスをくちばしで傷つけた傷口に染み込ませ、相手の戦意を消失させる』!?ダルノドン…厄介なモンスターを……。さすがねちねちねとねとねちっこいハイヤルさんですね……」


 ダルノドン……。ん〜名前聞くだけで力が抜けてくうる。

 でお、厄介なの?


 「やっかい〜い?」

 「相手の戦意を消失させれば、煮るなり焼くなり好きなようにできるってことよ。抵抗しないんだから。」


 サンクが腕をさすりながら言った。ふうん。


 「つまり、本当にハイヤルさんは、まるで全身を嘗め回されているかのような気持ち悪さを相手に与えることができると言うことですよ。」

 「ぜえんぶきいてるよお?」

 「盗み聞きですか、はしたない。」


 一番近いダルノドンのくちばしに向かって、驚きもしないフューがゴミを見るかのような目で言った。そんな目で見てやるなよ〜。ダルノドンがかわいそうでしょーー。


 「でもお、きいてるのはあ、わかってたんでしょお?」


 ダルノドンのくちばしがパカパカとして、そして、かくん、と首をもたげた。

 フューがまたもや舌打ちをした。あ、怒ってる。


 「サンクさん。」

 「なあにフュー。」

 「あの忌々しいダルノドンを、全部焼却してください!」


 サンクがえー……と言った。そーだよ。ダルノドンが居れば世の中の人が合法的に休めるんだよ?みんながいつでも好きなときに休める世界って最高じゃない?


 「私、ジュンくんみたいな広範囲攻撃ができるスキルも持ってないし、らいうちゃんみたいな規格外に全部を薙ぎ払うタイプの攻撃ができるスキルも持ってないわよ?」


 それ2つとも一緒なんじゃ……?というか僕、規格外だって!やっぱね、たぬきだからね。たぬき的なね。ね。たぬきぱわーがね。炸裂裂するからね。ふふん。これからは、サンク公認規格外たぬきって名乗ろうかな!あーでも疲れたああ。


 「それでもですね、らいうさんは端から論外ですし。ジュンさんは今無用の長物ですし。」


 えっ。論外……?


「なんだよ使えないって!」


 僕とジュンのバッシングが飛ぶ。いや、僕は口を開くのが面倒だから心の中でバッシングを飛ばす。あーー働きたくない。ごろごろ。


 「でも……」

 「んんん〜なんかさー叫んだらさーなんかーできそうな気がしないようなするーようなー?」


 サンクが困っているみたいだったから、僕はでまかせを言った。


 「……ふう。それもそうね。」

 「そうだよがんばっ!」


 サンクは、僕に、両手の親指を一直線になるようにして、その状態で両手の人差し指をくっつけた形……つまりは、手で三角形を作って、僕にその手のひらを向けて、言った。というよりは言い放った。……言い捨てた?


 「スキルスイッチ[エートル・マリオネット]!」


 しーん……。

 ま、そういうもんだよね〜。適当に言ったし。でもサンクがニコッと笑ったのが気になる……。


 「スキルスイッチ[エートル・マリオネット]!!」

(スキル[エートル・マリオネット]

効果…ターゲット一人を操作する。

SP…25

取得条件…恥に勝つ。)


 そんなの、アリ?恥に勝つって、え、え、え!?

 途端に、僕の体がふわふわ浮いた。


 「あ、らいうちゃんのスマホが落ちてきたわ……うーん……えいっ!マジックオープン、[たぬき変身]!」


 「べぱあああああああああああ!?」


 途端に、腹の方から何かがぐわああっとこみ上げてきて、僕は小さくなった。え、マジックはスマホ使わないじゃん!え!?ええええええええええ!?


 「ああ、もう一度かけておきますね。スキルスイッチ、[SPヒール]」

「スキルスイッチ、[君臨!たぬきんぐ!]」


 どがあああああああああ!!!!

 また爆発!爆発、した!神殿に続いてまたもやっ!

 結構爆発痛いのよ!?よ!?よいよいさっさ!?え、これ、働かないバツ!?働かざるもの鞭打ちの刑的な!?いやだあああ!


 「えーっと……何か強そうなのあるかしら……?」

 「あ、これとかどうですか?[建国!たぬきんぐだむ!]」


 あああああ!それはああああ!僕の秘蔵の!僕のとっておきなの!僕が最初に使いたいの!


 「たあああぬううううううぬううううう!」

 「じゃあそれで。スキルスイッチ[建国!たぬきんぐだむ!]」


(スキル[建国!たぬきんぐだむ!]

効果…108匹以上のたぬきを呼び出す。そのたぬきどれもが同時にたぬきんぐの命令を受諾し、スキルを発動する。ただし、攻撃力が÷108

SP…たぬきんぐを発動していること。

取得条件…たぬきんぐの取得。)


 あああああ!!


 「たぬぬぬぬ!」


 途端に、あたり一面に小さな魔法陣が出現した。そして、僕の下にはひときわ大きい魔法陣。

 ハイヤルの魔法陣とは比べ物にならない位、小さくて、少ない魔法陣。


 うっ……。で、でも、みんな魔法陣に乗ってるし……強いかも!浮いてるって、良いよね!


 そして、遂にたぬきの仲間たちが姿を表したのだった!サイズは、たぬき変身時の元のたぬきサイズ!


 ……サンクの。恨みは。恐ろしい。かも。分かってたのに……うっうっ。僕が最初にたぬきたちを呼び出したかった……。


・グラマー和風コス美女、エアサルのマジック

[もういいかい]

任意の捜索対象にマーカーを付ける。

マーカーはいずれのスキルで無効化することはできず、隠蔽もできない。

ただし、対象の滞在する街が変わるとマーカーは解除される。

マジック[もういいよ]と対になっており、ハイヤルが同じ街にいないと発動できない。



・ふわふわ粘着系弟、ハイヤルのマジック

[もういいよ]

好きなだけ魔物を呼び出す。ただし魔物召喚中はその場から動けない。また、呼び出した量に応じて命令が効きづらくなっていく。

先にエアサルのマジック[もういいかい]を発動する事で命令が効きやすくなる。


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