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DREAMERS WORLD 〜たぬきはせかいをすくえるか?〜   作者: からかさたぬき
第6章 砂漠の街、キングビースト編
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この押し問答は無くてもいいもの?


 「それで、お主らはどうなんじゃ?」


 「ぱえ?」

 「仲間が連れて行かれたというのに、助けなくていいのか?」


 女の人……妾妾言ってるから妾さんでいいや……妾さんは、その顔くらいある胸を揺らしながら首を傾げて、そう言った。


 えーー。


 「えーーーー。」

 「えーーーー。」


 僕とサンクは顔を見合わせて、微妙な返事を返した。僕ら仲良し。

 そういえば、妾さんとフューも仲良さそうだったね。旧知の仲みたいな。呼び捨てだったし。


 「だって、置いてこうとしたしー。」

 「らいうちゃんに無理やり乗せたもの……私は逃げなくてよかったのに。」


 妾さんはえ、え、と戸惑った姿勢を見せた。十二単(じゅうにひとえ)の肩見せ版みたいな服が風で揺れる。


 「え、でも、でもじゃよ?パーティメンバーじゃろう?助けるじゃろう?」

 「「えーーー。」」

 「ええええええええ……」


 今度はハモった。

 妾さんは困ったような顔をした。

 うーん……。


 「じゃあさじゃあさー。ハイヤルさん?はフューに対してなんか恨んでたんでしょー?そんなん勧めていいのー?」

 「妾の弟君は妾が何をしようと許してくれるのじゃ!妾的にはフューを気に入っておる故、傷つけられるのを見たくないまでのこと。」


 ……ん?


 「ハイヤルさんって、妾さんだよね?」

 「なんだよ妾さんって。」


 ジュンに小声で突っ込まれた。なんでジュンはさっきから僕の後ろに身を隠してるの。


 「だって一人称が妾だから……」

 「違うぞ?妾はハイヤルではないのじゃ。」


 違うの!?

 あー。やっぱりイメージ違うと思ったんだよねえ。リーゼントの人想像してたのに、来たのは癖っ毛の二人組……妾さんと、フューを引きずってった人、だったし。


 アリオールのところの、ワープゥとまだ名前がわからないメイドさん、みたいな立ち位置、の人達なのかなあ。その、ねばねばハイヤルにとって。この人達は。


 「ハイヤルは妾の弟君の名じゃ!妾はエアサルじゃ!」


 名前がローマっぽい。見た目は和装なのに。それにさっきの、弟君?妾さん、つまりエアサルさん?の弟の方は砂漠に似合わない暑そうな……ん?


 つまり、さっきフューの髪の毛掴んで連れてった人が……あの、"サイテー"な人?


 「しつこさと執念深さと面倒くささと血の気が多い……そうは見えなかったけれど。」


 サンクも、うーんと首をひねった。薄紫色のサラサラの髪の毛が揺れる。僕もそう思う。リーゼントじゃなかったもん。


 「妾の弟君はとっても素敵じゃよ?」


 ふーん……。


 「こ、こんなところで立ち往生してたら時間食うぞ。真逆だっていうからな。早く行かないとな。」


 その通りだ。でもねジュン。ジュンのせいで道に迷ったんだよ?そしてなぜそんなにキョドってるの僕の後ろで。

 まあいいや。謝ってたし。


 「じゃあ行くかあ〜!」

 「ちょっとまって。今思ったけれど、フ(・)ュ(・)ー(・)がいないと回復ができないわ。それって、キングビーストに挑むには、かなりの痛手なんじゃ……」


 あー……。そうかあ……。もうなー。怒りもなー。収まってきたしなー。

 それにしても、サンクはよっぽど先程の事を根に持っているらしい。フューを呼び捨てのまんまだ。何気に怖い。


 「そうかも」

 「ん?フューをお主らが助けた後に、お主らのパーティに再度加えていいなんて、いつ誰が許可したんじゃ?」


 ……えっ。


 「きゅ、急にどうし」

 「当然、お主らがフューを助けた後は、妾と共に行動させるに決まってるのじゃ!」


 ……ええええええええ!?

 妾さん、え、僕らの味方じゃないの!?

 フュー、フュー取るの!?


 「あ、あら?そうなの? ……フューはそれを望むかしら?私の事が好きみたいだけれど?」

 「顔だけじゃろ。」

 

 余裕な顔をしていたサンクが、端的に返されて黙ってしまった……。近寄ると、それはそうなのよねとか言ってる。そんなことないよ!?少なくとも僕はそうじゃないよ!


 う、でも確かに、さっきの……姉弟との仲良し?な感じを見てると……フューが僕らのとこに残らない可能性も無きにしもあらずかも……。


 「なら助けなくていいんじゃないか?ポーションもあるしな。」


 ジュンがなんか言ってる。生憎と金欠である僕はその提案には乗れない。


 「それは困るのじゃ!」

 

 意気消沈しているサンクと、エアサルさんとは目を合わせないジュンしかいないので、必然的に僕が会話するしかないな?


 「じゃあエアサルさんが自分で助けるのはダメなの?」

 「妾の弟君は妾が何をしても妾の事は許してくれるのじゃが、妾が慕っている人に対しては容赦がないのじゃ。」


 ほーん。


 ……八方塞がりってやつじゃない?これ。


 僕らがフューを助ければ、フューはハイヤルギルドに取られちゃうかも。

 でも助けなかったらフューは今頃……ひいいっ!

 

 「助けるわよ。」


 サンク!?何言ってるの!?

 助けても助けなくてもフューは取られちゃうんだよ!?


 「そうするのじゃ!フューを助けるのじゃ!」

 と、エアサルさんが子供っぽく、大きく頷いて返してきた。エアサルさんは見た目はすごいオトナなんだけど、行動がいちいちとっても子供。


 「待って待って、でもでも」

 「最、終、的、に!決めるのはフューよ。……私はどちらでもいいけれど!」


 明らかに何か、僕には分からない何かの感情がサンクを邪魔して、正しい判断ができなくなってるって!


 「サンク落ち着いて」

 「ならフューには妾を選んでもらわねばのう。」


 エアサルさんはサンクを煽らないで!?こういう時だけ妖艶で大人っぽいの意味分かんない!


 「なら、とっととフューを回収しに行くぞ!」


 ジュンが僕らに背を向けて歩きだしつつ言った。

 ジュンまで!?

 あっ違う、ジュンはこの場から逃げたいだけだ!


 エアサルさんは満足気に胸の下で腕を組んでいる……うわあ……僕にはない谷間がある……僕は決して下品たぬきではないけど、でも、うん、ついつい見ちゃうね。


 サンクがエアサルさんの胸を見、自分の胸を見て、しょんぼりした。大丈夫サンク。サンクもおんなじくらいあると思う……いや、エアサルさんのほうが少しばかり、いやだいぶ大きい?

 でもフューはそんな観点では選ばないはず……だよね?



 ……。



 はっ!



 と、ともかく、ともかくね。こんなおやじたぬきみたいな事考えてないで!


 「ジュン。」

 「ふぁっにゃっひゃっうっ!……なんだ?」


 なんなのだろう今の動揺。

 ……もしかして、さっきから、エアサルさんの大人のミリョクで緊張してたりする?え、ジュンきもーい。


 「あのさあ。」

 「あ、ああ。なんだ?」

 「どっちに行けばいいのか分かるの?」

 「……多分、こっちだ。」


 ジュンが砂漠の向こうを指差した。


 その指をエアサルさんがそっと手のひらで包む。ジュンが息を呑んだ。サンクがさらに、気分を害した様な顔をする……はっ!まさか!エアサルさんはジュンも欲しい……!?


 「!?」


 エアサルさんはそのまま、ジュンの指をくいっと真反対に向けた。ゴキッ……。ゴキっっ…って言ったよ!?ゴキっっ…って!


 「いっっっっっつっっっっっ」

 「ギルドはあっちじゃよ?」


 エアサルさんが小首を傾げた。ああああ気づいてない!ゴキっっに気づいてない!天然だ!天然だ!


 ジュンは人差し指をおさえつつ転げまわっている。うわ痛そ。


 ……とりあえず行くか〜。


 考えるのが面倒くさくなった僕は、折られたジュンの指が指した、遠くの方に陰になって見える建物に向かって、歩き始めた。



エアサルはジュンはタイプではないです。

もっと細身の少年がタイプ。


サンクは実は負けず嫌いだったりする。

ジュンは女の人が苦手。その理由の一つは、都会に来た時に美人局にあいかけたため。

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