金と友情
アリオールに斬られて……。
リルは白い部屋にいた。
そこには複数人のドリーマーが居て、みんなイベントに参加していた人たちだと分かった。
リルはルイの姿が無いことに気がつく。
(そっか、まだルイルイは残ってるんだ……)
人を操る系統のマジックにも、いくつか種類がある。
例えば、ある人は七人もの人を呼び出す事ができるが、彼らにドリーマーとしての権利は存在しない。そのため、彼らはドリーマースマホを持たない。
例えば、ある人はモンスターをおおよそ無尽蔵に召喚できるが、それは一時的な顕現であり、共に歩くのには向かない。
リルのマジック[ルイ]は……現実世界では生きていないハズの人形をドリーマーにする……という、この世界では、そう珍しくもないマジックである。
最も叶えたい願いが、一番の理解者を得る事であったり、死人を蘇らせる事である人間が、少ないわけがないから。
だから、ルイはリルとは別枠でこういうイベントに参加することができるし、逆に言えば、"死"は二人分としてカウントされる。
ルイが必死に残っているのは、きっと、リル達が死んだことで失われたお金を稼ぐためだろうと、リルは勝手に納得した。
リルとルイは昔から一緒だった。
昔からいきあたりばったりのリルと、それを見守るルイ。
リルはよく、素敵な秘密基地が欲しいねなんてルイによく話しながら、近所の森を探検したりしていた。
その思いは成長するにつれ、多少薄れていったが、それでも変わらずルイはリルのそばにいた。
神様に会って、ドリーマーズワールドにきて、二人で同じ夢を追いかけられる様になって。お金をためて、もうすぐで、森のログハウスを買えるという矢先だった。
二人で、お金目当てにダンジョンに潜ったのだ。
ルイは、そのダンジョンの情報を調べて、二人じゃ危ないと思っていたらしいけど、
「あのね〜。リルちゃん〜。」
「なになに!?ルイルイ!?」
「このダンジョンね〜二人じゃその〜ちょこっと難しいかも〜。」
「ちょこっと、でしょ!?なんとかなるって!」
「あ……。うん……うん〜!そうだよね〜!」
その時のリルは気づかなかった。ルイの曇った顔に。
ずっと一緒にいた?
いいえ、現実世界では彼女は物言わぬ人形だったのだから。顔色なんて、今まで無かったのだ。
そして二人とも死んで…合計20万スターの出費だ。
あと、たったの1万スターで念願のログハウスが買えたのに、二人で29万貯めていたのが、一気に9万になってしまった。
アリオールだとか、そこら辺の、バンバンドラゴンを倒せる…自分たちだけでドラゴンを倒せる人たちならば、30万スターなんて稼ぐのはわけないだろう。
でも、リル達は違うのだ。
リルはあまりの仕打ちに、思わずルイを責めた。
「どうしてあのとき、やめよう、ってはっきり言ってくれなかったの!?」
「だ、だって〜……ちょっと難しいかもって言ったじゃん〜…」
「それじゃ分かんないよ!もっとはっきり言ってよ!」
「じゃ、じゃあ!はっきり言うけどね〜!昔からずっと思ってたけど~!他人に任せて全然自分で調べない、リルちゃんはどうかと思うよ〜!」
「なっ…!だっていつもそれで上手くいってて、違う、最初から、そう、昔から!ルイルイが調べてて!それで」
「私が調べるっていつ決めたの〜!」
「でも、でもでも!」
そうして無言の一週間後。
「あのね〜リルちゃん。アリオールギルドから、ギルド招待が来てるんだけどね〜。」
「え。」
「私、ギルド入ろうと思う〜。」
「どうして!?二人で頑張ろうって…!」
「だって〜無理だもん〜。このままじゃ〜。しょうがないんだよ〜」
「ひどい!ルイルイ!」
「え、」
「だって、だって、…っ!」
リルは、泣きながらその場を去った。
(ルイルイは、リルリルと一緒にいるの嫌になっちゃったんだ!リルリルにはルイルイしかいないのに!もう、リルリルにお友達、いないんだ……)
ルイの気持ちも露知らず、リルはそう考えた。
(お金…貯めなきゃ、いけないから…お金稼げる、アリオールギルドに入ったのに…また、言葉が足りなくて、私、リルちゃんを傷つけた〜…?)
一通り、思い出して、リルはそっと体育座りをして、白を見つめた。
(ルイルイ、強くなったのかな…?リルリルの手の届かないくらいに、強くなっちゃったのかな…?もう、リルリルのこと…誰も必要としてくれないのかな…?)
言葉が無ければ、良かったのに。
借金をすると、スター残高がマイナス表記になって表示されます。
この状態だと、必要最低限度の生活しかできなくなります。
生きるための最低限度の食べ物や武器は買えるけど、贅沢品であるホールケーキやキャビア、砲台、戦闘機などは買えません。
生きるための最低限度の施設は使えるけど、娯楽の為だと判定される様な豪華な施設は使えません。




