カルスとは?
少年はのびをするようにベンチから立ち上がった。
そういえば少年の服装は、なんともみすぼらしい。最初に会った、あのイケメンの人が着ていた服装とは全く違う。半ズボンと、季節外れのマフラーと、よくわかんない鎧みたいなのが付いてるボロボロの服。
どりいまあかるすに僕も行ったら、こういうみすぼらしい格好になるのだろうか。
今の僕は、真っ白の飾りのないベストに、フリルのミニスカート。ニーハイ。うんうん。少年よりも豪華だ。
……そうだ、どりいまあかるすとは何なんだろう。
「ドリーマーカルスは……あ、あった、あれだ。」
少年が指さしたのは、森の奥に、ちょこんと突き出た塔だった。
「あそこまでいくことができる、それこそがドリーマーである証である。
……っていうのがドリーマーカルスの名言だ。」
「ふーん……」
ものすごく簡単そうだけど。だって、塔に向かって一直線に歩けば良さそうだしな……。
「じゃあ行くか。」
僕は少年について、森の中へ入った。
森の中は、まだ日が高いというのに暗く、しばらくして高い木で塔は見えなくなった。
でも、まっすぐ歩いていけばいいんじゃないだろうか。
僕らは黙々と歩いた。
延々と……。
赤い花のついた木の隣を通った頃、僕は少年に尋ねた。
「あのさ……」
「なんだ?」
「まだ?」
「……まだだ。」
僕らは黙々と歩き続ける。
あ、あの木、赤い花が咲いてるー……。
「ねえねえ」
「なんだ。」
「さっきも、あの赤い花を見たような気がするなー……なんて。」
「……こ、ここら辺に群生している花なんじゃないか?」
「そっかあ」
僕は少年が歩き始めた後、赤い花の上にそこら辺の緑の葉っぱを乗せておいた。
僕は少年の後をついて歩いた。
ああ……やっぱり……。
赤い花の上に緑の葉っぱが乗っている木に辿り着いた。
「あのさ……」
「なんだ。」
「ループしてる?」
「してない。」
「迷った?」
「迷ってない。生まれてこの方一度も迷ったことなどない。」
へ〜すごいな〜。
「じゃあとりあえず僕が前、歩いてみていい?」
「……ああ。」
僕が前を歩いてみた。
慎重に一直線に……。
あ。
「ついた……」
「は!?嘘だ!」
目の前には背の高い塔。
斧やら弓やら杖やらを持った人々が入り口に入って行く。
ここじゃない?みんないるし。
「嘘だろ……俺二時間かかったのに……。あの位置からたったの10分って……」
「つまり少年。君は方向音痴ということだね。」
キラッと歯を輝かせて、僕がホームズ風に言うと、少年は首をかきむしった。
「すげームカつく!」
「えー?なんでー?」
「ムカつく……」
短気だなあ〜。やっぱり短気だこの少年。
「ふう……とりあえず入ろう。」
少年は塔へと入っていった。
外から見ているよりも、中は広かった。ビングーの家だ!そうかどりいまあかるすってビングーの家だったのか!ビングーって誰!?
たくさんの人がいるのだが、全然窮屈じゃない。
カウンターのようなものがあって、そこにはいくつかの人の列ができていた。
「ここに並ぶんだ。」
僕らは一番奥の列の一番最後に並んだ。
前に並んでいる少女がぶつぶつと何かを言っている。綺麗な声だ。
「スキルプレゼントで……何を入れようかしら……やっぱり王道のファイア?……うーん、でも人とかぶるのは嫌ね……そうだわ……サンダーでも入れようかしら………ちょっとしっくりこないけれど……」
僕は暇だったので、その少女の言葉を聞いていた。
……すきるってなんだろ〜?
隣の少年に聞こうと思ったが、少年も何か考えているので聞かないことにした。僕は空気が読める。
あっという間に僕らの番になった。
「ドリーマーカルス、ブルーム支店です。
ご用件はなんでしょうか?
ブルームについてですか?
スキルチェンジですか?
チーム編成ですか?
今なら、初心者魔道士へスキルプレゼント!キャンペーンもやってますよ」
少年に向かって、ピンク色の事務服を着たお姉さんが言った。美人!美人!美人!美人だよ!
少年が僕の背中を押した。
僕がそのお姉さんの前に立つと、お姉さんは言った。
「あなたは、まだドリーマースマホを受け取っておりませんね。
ドリーマー手続きを行います。ドリーマー番号81−04−261番」
「どりいまあってなんですか?」
「はい、登録しました。」
「う、うん。えっと。僕は何をすればいいんですか?」
「これからは、ここで
この街についての説明、スキルウォッチ中のスキルチェンジセット、一部テクニックの習得、チーム編成などが行えます。
また、あちらのモニターから、今出ている依頼をこのスマホに受け取ることができます。依頼は毎日更新されるので、欠かさずお近くのドリーマーカルスで更新してください。
ドリーマー専用端末です。使い方は講習通りに、分からなくなったらヘルプをご覧ください、ではどうぞ。」
え!?タダでスマホが貰えるの!?
僕はほとんど聞き流していたが、最後のスマホという言葉に反応した。えっへへへへえへえへ。
僕がもらっていいのかな、とちらりと少年を見ると少年は面倒くさそうにいいから早くもらえ、と手を振った。なら……遠慮なく……
「ありがとうございます。ふふ、……もうもらっちゃったし!返せって言いませんよね!」
「またのお越しをお待ちしております。」
「え?うん……」
僕は後ろがつかえているからと少年に引っ張られて列を抜けた。
「あっ!大きなモニター!」
「ああ。それだ、それで依頼が見れる。じゃあ今日は何があるのか……」
少年はスマホを取り出して右上のアプリを押してモニターに向けた。
僕は見よう見まねでもらったばかりのスマホを向けてみた。
ぴこんっと電子音がして、画面が切り替わった。
「俺らで倒せそうなのは……ハリモグラ五十匹の討伐……面倒だな。あとは……ジャイアントハニービーの討伐……これも無理だな。毒食らって終わりだ。」
「どれを見ればいいのー?」
少年は僕のスマホを覗き込んだ。
「倒せそうなやつの見分け方ってことか?そうだな、最初は人についてきてもらうのがいい。今は俺に任せておけ。」
少年はドヤ顔をしてきた。む。
暇ならこっちを見とけ、ここでドリーマーの詳細が見れる、とまた違うアプリを少年は起動した。何がなんだかもうわかんない。
「よくわかるね。」
「え?普通だろ?」
普通なの?そうなの?そうか?そうなのか〜。
僕はもう少し努力をした方が良いかもしれない。
僕は詳細を見た。
{$user->id}
ドリーマー番号:81−04−261番
HP:100
SP:100
マジック:狸変身
所有スキル数:0
所有テクニック数:0
なんか弱そう。
9999!とかあれば良かったのに。
ふと、目に止まる。
……なんかこの英語の羅列は、ぞわっとする。
僕は羅列を押してみた。
あっ。打ち込める。
《ドリーマーネームを打ち込んでください》?
木隠…来羽と。
ああ、僕の名前は、木隠来羽だ。
「おい。やっぱりお前も探せ。お前でもできそうなやつだ。」
「ん?ふーん。んー……」
少年はどうやら見つからなかったらしい。僕でもできそうなの、ねー。
「あ、これは?クマロスの討伐!」
「クマロス?そんな名前のモンスター……。ちょっと待て、今モンスター図鑑で調べる。」
少年はスマホをぽちぽちと押して、しばらくして言った。
「やっぱり。俺がまだ倒してないやつだ。危険だからやめておこう。」
えー……。
「せっかく見つけたのになー」
僕はクマロスの依頼をみた。クエストって書いてある。何か食べれるのかな。
じゃあ、猫探しとか?依頼…猫探し……。
「……ない!面倒だ!これで良い!」
いきなり叫んだ少年はため息をつきながら、クマロス討伐の受注ボタンを押した。
これ、僕も押したほうがいいのかな?ま、いっか、押そうっと。
僕はスマホの電源を落とし、スカートのポケットへ入れた。
僕らはドリーマーカルスを出て、森に入った。
遂に主人公の名前が本文で明かされましたね。
とりあえず一区切りかな……可能なら少年の名前も早々に明かしていきたいですね。




