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DREAMERS WORLD 〜たぬきはせかいをすくえるか?〜   作者: からかさたぬき
第4章 妙薬の街、ミファスム編・ドリーマー戦線前半戦
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三人よれば?


 もうすぐブルームだ!


 という時、ほんとのほんとに一歩手前で僕の変身がとけた。ちょっと気が緩んだみたいだ。ふわふわのベッドを想像したのが原因かもしれない。気が緩んでも変身、解けちゃうのか……。


 「きゅ〜」


 ルイの顔色が悪い。


 《スキル[蹂躙]を獲得しました。》


 蹂躙。なんか強そう!…でも、使えないんだよなあ。スキル。

 ジャイアントたぬきの状態の一歩は、普通の僕の一歩の30歩程、くらい。だと思ってる。測ったことは無い。

 でもその30歩の距離なんてどうでも良かった。

 僕とルイは、揃って目を回していた。いや、僕は頑張れば、頑張れば動けますけど!?ちょっと力が出なくて〜。


 「らいうちゃん!?また肥ったの!?」


 どこからかそんな声が聞こえた。ルイじゃない。

 というか、ふ、ふとっ……太ったのかなあ……。


 「また大きくなったんでしょ」


 あう。


 「だってだって」

 「らいうちゃんSPポーション持ってるの?」

 「持ってない。」

 「ルイちゃんは?」

 「知らない。」


 聞いてないから……。ルイは今目を回しているし。


 「……大きなたぬきになる事について、ルイちゃんに、ちゃんと了解取った?」

 「え、してない。」


 倒れている僕の視界に入ったのは、綺麗なパステルパープルの髪色をした、顔の整った女性だった。


 「サンクう…へるぷみい。」

 「じゃあ口開けて。」


 僕はぐわあっと口を開けた。そこに流れ込んでくる液体。


 「っっっっばあばばばあば」

 「らいうちゃん、我慢して。まだHPポーションも残ってるのよ。」

 「ぼふえっくぐえくぐぼふ」


 僕はサンクにSPポーションとHPポーションを上から口の中へ注ぎ込まれたあと、立ち上がって背伸びをした。あんなことされて溺れかかったのに、体は妙に快活だ。


 SPポーションとHPポーションは、美味しかった。どっちも少しシュワシュワしていて、炭酸が苦手な人には苦行かもしれないと思った。僕は炭酸が好きなので、普通に美味しかった。上から注ぐもんでもないと思うけど。



 サンクは次に目を回して転がっているルイのところへ行き、優しく助け起こした。


 「大丈夫?」

 「ふええええ〜……」

 「僕と対応が違うっ!寂しい!」


 僕の叫びは無視された。


 「とりあえず、私が今取っている宿に運びましょうか。」


 サンクは疲れたように微笑して言った。



 日がもうすぐ落ちそうだ。

 サンクが止まっている宿は、ベッドとシャワー付きの一室だった。素朴な感じ。

 オレンジ色の光が、ベッドのフチの木の部分を優しく包み込んでいる。

 そのベッドに、サンクはルイを横たわらせた。


 「ところでらいうちゃん。」

 「ん?」

 「スマホの通知って、来た?」


 え。ん?

 確かに……なんか、イベントの通知は来てた。

 予選が2日間。本戦がトーナメント戦。予選の戦い方は未公表。武器、防具、アイテムの制限なし。……って書いてあった。

 あくまでもPVP戦だから、予選のほうが厳しい戦いになるかもね〜ってルイが言っていた。

 それのこと?


 「うーん。イベントの、通知は来たよ?」

 「あ、えーっと。私の伝え方が悪かったわ……。」


 サンクは少しばかり困った顔をして言った。

 そして、言い直した。


 「ミファスムを、倒したとき、の話をしたかったのよ。」


 あーー。ミファスムか。

 なんだっけ、とはさすがの僕も言わない。あれは結構印象に残る案件だったからだ。


 「あの、倒してないけどアイテムもらえたやつだよね?」

 「その、もしかして、私が倒されちゃった後も……しばらくそこにらいうちゃん、いたりした?」


 確かにいた。それで、アリオール集団に見つかって、いや見つかりかけて、


 「どうしてか分からないのだけれど、ブルームにきてしばらくしたとき、アリオールの……取り巻き達に戦闘を挑まれたの。ろくに戦っていない人も報酬を貰うのはおかしい、受け取ったミファスムの報酬を全て寄越せって……。それで、なんかイベントで?戦うことになって……決勝まで来たら許すとかなんとか……?」


 えっ。



 「ふええ〜〜?」


 声がした方を見てみると、ルイが起きていた。


 「ルイちゃん。起きたのね。大丈夫?」

 「え、あ、たしか〜サンクさん〜」


 ルイは珍しく目をかっぴらいていた。そんなに驚く…あ、そっか。起きたら場所が変わってるんだもんね。


 「それ〜どういうことか〜詳しく〜聞かせて〜……」


 ルイの勢いがなくなってきた。と同時に、部屋が暗くなってきた。眠い……。

 サンクがルイの隣に座り、毛布を被った。この状態の僕が入る隙間は……多分あの狭いベッドにはないだろう。


 「……マジックオープン……[たぬき変身]……」


 二人を、起こさない様に、小声でそっと僕は言った。ねむう……。

 視界が低くなり、体が身軽になる。そっとサンクとルイの間の毛布に、僕は潜り込んだ。

 ここはブルーム。春らしい昼の陽気と夜の少しばかりの寒さ。毛布のあったかさが僕を眠りへと引き込んだ……。



春眠暁を覚えずとはよく言ったもので、ブルームは寝付きやすい気候です。現実は7月、寝付くのにちょっと暑いけど夜中は寒いという…夢の中が羨ましい。

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