イベントの前にはイベント用の準備をしたほうがいいんだって?
僕は笑顔のルイに言った。
「それで、どうしたらいいの?」
「えっと〜リルちゃんといるときは」
とまでルイは言い、コチン、とルイの笑顔が固まった。
そしてふるふると首を振り、元の笑顔に戻った。どうしたんだろう?
「どうしたの?頭でも痛い?」
「うう〜ん、何でもないよ〜、大丈夫〜。
あのね、PvP戦の時は、モンスター用の装備じゃなくて〜、きちんと対プレイヤー用に揃えないと困る事になるから〜。だから、装備とかを揃えるところから始めよう〜!」
ふーん……そうなのかあ……。
装備……。いやいや、僕も装備くらい知ってるよ!?そうじゃなくて、
「僕……、変えなくていいよね……?」
「えっ。たぬきさん、その初期装備で挑むの!?エンチャントも、強化もしてないその装備で〜!?」
えっ。なぜ初期装備だと!?というか、初期装備って何だろうっ!?想像はつくけど!
初期の、装備でしょ、つまり生まれたままの姿って事……なんか恥ずかしくなってきた。
僕が驚いた顔をしたら、ルイは困ったような顔をした。
ま、別にいいよね?えん…とかよく分かんないし!今までもこれでやってきたし!
「だめ?」
「ん〜あ〜え〜っと。だめ〜とまでは言わないかな〜…たぬきさんがそれでいいなら……。」
はっ、とルイが頭を振って言った。
「いや!!やっぱだめだよ〜!えっと、強化はお金かかるから、せめて絶対、追加の装備を買わなきゃ〜!」
え、えー……。ルイにしては少しばかり珍しいくらいの押しの強さ……。
でもまあ、ルイがそこまで言うのなら買ったほうが、いいのかも!?
「わかった!買いに行こう!」
「……うん」
ルイに少しばかり元気がなくなったように見えた。
それでも、そう思えたのは一瞬で、すぐにルイは暖かい笑顔を僕に向けて言った。
「じゃあ、ブルームの、装備屋さんを見に行こう〜」
おー!!
ちゃっらっららんらんちゃらららん♪
店内にはそんな軽快なミュージックが流れている。
装備、というくらいだから、とてもごついものを想像していた僕は、明るい感じの華やかな店内の様子に驚いた。ほら、ヘルメットとかさ。
「お店の人にね〜、どんな装備がほしいかって伝えると〜、ピッタリの装備を持ってきてくれるんだよ〜」
そんなに便利なのかっ!
現実のお洋服屋さんでもそうだったら楽なのにー!
……現実?いやいや、ここがリアル……だよね?
「たぬきさ〜ん、たぬきさ〜ん?」
ルイが目の前で手を振っていた。
「どんなのがほしいですか〜って聞かれてるよ〜?」
考え事をしていて話しかけられたことに気づかなかったみたいだ。うーん……悪いことをしたなあ。
「ごめんなさい。えっと…」
「どんな装備がほしいですか?」
目の前の女性はにっこり笑った。よかった、怒ってない。
「えっと、なんか、強いやつ!」
「今このお店にあるもので一番強力な装備はこちらになります。」
女性は店の奥にすすんで行って、おしゃれな緑色の服を取り出してきた。
妖精みたいなポンチョだー!可愛い。
「かわいい!」
「ブルームの素材を使った装備です。
防具スキルとして、ターゲット解除、素早さアップ等がついています。」
何かよくわかんないけど、凄そうなのは分かった!
「試着なさいますか?」
僕は少し心配になってルイを見た。
「ん〜?」
「……試着したら絶対買わなきゃいけないとかないよね?」
ルイはニッコリ笑った。……多分大丈夫だな。
「はいっ!試着しまーす」
「では……」
パッと女性の手が白く光り、僕は白い閃光に包まれた。
と、同時に、全身に痛みを感じた。
「ぎっ!」
白い光がおさまった頃、僕は地面にお腹が痛い人みたいに横たわっていて、目の前には服が横たわっていた。服との添い寝。変態みたーい。ワープゥのことではない。
……攻撃された?
「え〜!?どうして〜?」
珍しくルイが驚いた。
「お客様は装備を装着できないようです。装備解除のスキルがかけられたままではないかなど、今一度お確かめ下さい。」
どうやら攻撃されたわけではないみたい。
そうびかいじょのすきる?
起き上がり、困った顔でルイを見ると、ルイは言った。
「どこかで倒されちゃってブルームに戻ってきたなら〜、そのときにはもう〜、状態異常は〜、解除されてるはずだから〜、多分ないと思う〜。」
そうなのか。
というか、そもそも、着れないのは異常なのかなあ?
僕は立ち上がりながら考えた。
装備を着るためにはなんかテクニックが必要だったりして。
「う〜ん、なんでだろ~。戦いもしてないから〜、装備をつけられない〜スキルが〜発動してるわけも〜ないよね〜…」
装備を、つけられない?
どこかで見たような気もしなくない…けど、多分思いすごしだと思う。
「とりあえず〜、なんでか〜、分かんないから〜、装備は〜、諦めよっか〜……」
落胆したようなルイの声。
「ごめんね」
「え、いや〜、たぬきさんのせいじゃないよ〜。」
ルイはまたにっこり笑って言った。
そして、さらに言葉を続けた。
「じゃ〜、スキルやテクニック集めを〜、頑張ろ〜」
「おー!」
なにするんだろー!?
木隠来羽はマジックのせいで、ブルーム装備を装着できませんでした。
ブルームの装備(防具)の方は、ブルームの素材を持ち込むと安くなります。




