最初の街……最初って何の最初?
僕はバレないように、そーっとその男の子をつけていった。男の子のアホ毛がふわふわ。僕も生やしてみようかな?
こういう時に限ってお腹がすくんだよねー
うう……お腹すいた……。
他の事を考えよう。
僕が歩くこの道は……この道の材質は……
これって、えーっと、何ていうんだろう、お城の床?あの、某ガラスの靴を履いた美少女が主人公の物語の、挿絵の城のゆか、みたいな。
ちゃんとした名前は…石畳……かな!
僕が下ばかり見て歩いていたので、人にぶつかった。
「ふえ!?」
僕も相手も、幸いにも尻もちをつく事はなかった。
「イッタあ〜い!もうっ!地面ばっかじゃなく、前も見て歩いてよね!ぷんぷん!」
「あっ、ご、ごめんなさい!」
ごめんって言葉がすんなりと口を滑った。ん?当たり前?そっか。悪いことしたらごめんは常識だもんね。
しっかしこの人も身長高いなああー!
「もうっ、リルリル、転ぶとこだったんだぞ!ぷんぷーん!」
「まあまありるちゃん〜、謝ってるから〜それに〜この子、子供だから〜大人げなく見えるよ〜?」
目の前のツインテールの女の子は、後ろのウェーブのかかったロングヘアの女の子にたしなめられて、怒るのをやめてくれた。良かった。怒られるのは悲しい気持ちになるから嫌なんだよね。
「んまっ、それもそうだね!今度からはちゃーんと前を見て歩くんだぞ!」
「はーい……」
「そんじゃねー!」
「さようなら〜。」
「……さよならー」
注意された僕は顔を上げた。
そこには、
大勢の人がいた!
何だか変な人たちに会って、しかもよくわからない動物に会って、血を被った僕は久しぶりの活気さに心が和んだ。おお〜!元気いっぱい!でもみんな身長高い!でかい!こわい!
あ、あれって、もしかしてカフェかな!そうだ!久しぶりにカフェで一服といきましょう!大人のティー・タイムだ!……僕はカフェに行った事ないからドレ……ドリ……ドリルコーデとか知らんけども!
まあ、いいや!めんどくさいこと考えるの、やめ!
「お腹すいた〜!」
ところが、僕は何故かお店に入れなかった。
何かよくわからないもので通せんぼされたような……。
ふう。世知辛い世の中だあ……やっぱドリルコーデが必要なんだあ……。
僕はカフェの前に座り込んだ。
「はあ……」
ため息をついちゃう。
「おい。」
「ふえっ!?」
僕が顔を上げると、目の前には紺髪のキリッとした顔の……うーん。ダメだね。他の言葉じゃ言い表せないや。
率直に言うと、気難しそうな顔をした同い年くらいの少年が僕を見下ろしていた。顔つき的にそうだと思う。でもこいつもでかい……。
「そこ、邪魔。どけ。」
「えっ、あっ、ごめんなさいっ」
少年は僕を押しのけてカフェの中に入っていった。
今の少年、さっき会った美少年と同じ様に、剣みたいなの持ってたなあ……。ぼろぼろだったけど。
僕は辺りを見回した。
よく見てみると、歩いている人全員、何かしら持っている。
弓、杖、ナイフ、あ、あれは教えてもらってないから分かんないや。誰に?まあいいや。打出の小槌に似てる……。木こりさんもいるなー……。一方の僕は、なんーも持ってない。
僕は今度は邪魔にならない様に、カフェの入り口の隣に座った。カフェの店員さんが出てきたら、何故入れないのか聞くつもりだ。
しばらく……30分ほど、僕はカフェの入り口に座っていた。
しかし、カフェの店員さんは出てこない。
欠伸する僕の隣を通るのは、弓や、杖や、ナイフを持った人たち。
みんな楽しそうに笑いあって入店していく。
僕はポケットに手を入れた。何かないかな。もやしとか。
あれ?
「もしかして僕……一文無し?」
思わず独り言。
そんなはずはない。だっていつも僕はお財布をかばんの中に……。
かばんの中に……。
かばん持ってないや……。
……どこで落としたんだろう?
「どうしよう……。」
お金がなければ、せっかくカフェに入れても、何も食べれない。
お腹も空っぽ、ポッケも空っぽ。
僕は疲れ切ってもう一度つぶやいた。
「どうしよう……。」
「おい。」
「ふえっ!?」
「まだそこ座ってんのか。」
顔を上げると、あの気難しそうな顔をした少年が、邪魔とでも言う様に僕を見下ろしていた。
「あれ……ここも邪魔だった?」
「邪魔というか目障り。」
そっかあ……目障りかあ……。
「ごめんなさい。」
どうせカフェには入れないんだし、どっか行こうっと。
僕は立ち上がって、あてもなく歩き始めた。
「……?おい、ちょっと待て。」
「?」
「カフェに用があったんじゃないのか?」
「へ?えーっと、ううん、僕結局カフェ入っても何も頼めなさそーだから、どこかへ行こうと思っただけだよ。」
少年はきょとんとした後に眉間にしわを寄せた。
「つまりそれ、お前……金がねえってこと?」
「そうかも……だけど」
「ど?」
どうやってお金稼ごうかな……。なんせ職業学生なんだよな……。親のスネかじって生きてたのにな……。お金稼ぐ手段なんて持ってないよなあ……。
おっ!そうだ、たぬき!たぬきに変身できるじゃん僕!
狸に変身して、火縄くぐりとかしたらおひねりを貰えるんじゃ……!
「で、まあそういうことなんで、じゃ!」
「は!?話が繋がってねえぞ!?」
ぐうううう……。
僕のお腹がなった。
あー……早めにお金を集めて、何か食べないと……。おにぎりがいいかな。せめて、もやしかな。
「ら〜らら〜」
鼻歌で気分をごまかす。
ところで、火縄はどこにあるんだろう?
「えー……おっほん、おい。」
「あの。」
少年と僕の声が重なった。
「あ、どうぞお先に。」
「おほん、あれだ、その……」
「うん。」
「えー……何か食べるか?」
「はい。……はい?」
「えっとだから、何か奢ってやる。」
えー……知らない人におごってもらうのは駄目だと習ったんだけど……。
「奢ると言われても……知らない人にゴ●ブリホイホイされちゃいけないって僕道徳で習った。」
「そのワード出すのやめろ!飲食店の前で!」
少年は決まりが悪そうに続けた。
「……こ、このまま見なかったことにしたら……俺がガキを追い返したみたいだろ?だから、あー……この店で一番安いピザでも買ってやる!」
もしかしたらいい人なのかもしれない。
何よりも、そう、お腹がすいたし。
「じゃあごしょーばんにあずからせていただきまする!」
「声がでけえよ!ベンチ行くからとりあえずついてこい!」
「わーい!」
よくわからないけれど、そう言われたからついていくことにした。
いやっほいふろうしょとく!意味は知らないけど!
やっと街に入りました。




