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脱出と救出?


おはよう!

僕はそう言おうとして、


「たぬっ!」


と言った。


「ガアルル……」

と、隣の檻の多分ジュン。多分、朝からうるさい……か、おはよう……だな。顔を見るに前者だ。狼の顔色なんてわかんないけど。


「コーン……」

こちらはおそらくフューの狐。おはようございます……だなきっと。



二人とも相当弱っている。と、いうか諦めている。


しかし、僕は一晩寝て、いいアイデアを思いついたのさ!


僕は檻の外に手を出して、土を檻の中へ入れた。僕の手じゃ、ちょびっと、少しばかりだけだけど。

「がる?」

なにやってるんだ、

かな?


「たぬっ!たーぬぬったぬたぬっ!」

「がるるる……」

わかんねえよ!かな?


まあ、見てなはれよ!


僕は少しずつ少しずつ、土を檻の中へ入れて、形を作っていった。



僕らを解放してください。


僕はそれを土で作った。

ジュンもフューも驚いた顔をしている。まあ、狼と狐の顔色なんてわかんないけど。だからきっと、してるに違いないって意味だ。


やがて、

「あっさごはんだぞ〜ウェウェら〜!」

と少女が現れた。


「ふふん。やあウェウェたちにも〜あっさごは〜ん!……ん?」

少女は僕の文字に目をとめた。


そして、言った。

「な、なんか変な記号書いてある!えーーい!み、見てないもん!ビアンカ、見てないもん!」

少女は僕の文字を消した。あーーー!そんなーーー!


心なしか、少女の語彙力が昨日より上がった気が……昨日?あれ、この記憶、いつの?

……。

僕が頭の中で考えていたことは、全部どこからか、ガルルルルという唸り声が聞こえて、忘れてしまった。



隣の狼が怒っている……さすがザ・短気……ただ、問題なのは、いつも通り行動に移ったら、目の前の少女が大怪我をする可能性があるってこと……。分かってるかな……?


「ガウルルルルル!」


檻がガシャンっと鳴った。ジュンが檻に体当たりしたのだ。普通の人間の状態ならば、問題はなかった。

問題だったのは、その大きな体と重い体だった。


案外檻は脆かったのか、ジュンは簡単に檻から出ることができた。……えっ。


「あれー?出てきちゃったー?どうしよどうしよ!」

でも少女は余裕そうな顔をしている。そうだった、つい昨日?僕は、僕らはこの少女に引きづられて檻に入れられたんだった。


いろんな檻の中の獣たちが、少女とジュン狼のにらみ合いを見ている。もちろん僕も。


「ガウルルルルル……」

「遊ぶ?いいよ!わおーん!」


思わず体がすくむような声を上げて、ジュン狼が少女に飛びかかった!


少女はそのジュン狼を受け止め、ぽいっとなげた。

す、すごい怪力!こわっ!


僕は檻に必死に体をくっつけて、どうにか出ようとした。もう少し……あとちょっと……。僕の体は、たぬきの骨格というよりかは、たぬきのぬいぐるみみたいだ。

僕は、ぽんっと檻から抜け出せた。


「たぬーたぬー!」

「ん?遊んで欲しいの?」


僕はしょうがなかったので、人型に戻った。


「あっ!ヒト!まじっく、おーぺん、[あにまるにい……」


「ちょっと待ってちょっと待って話を聞いて頼むから!」

「な」

「らないっ!ならないっ!!!!」

ならないっ……らないっ……らないっ………


僕の大声によって呪文?をかき消された少女は体を震わせて硬直した。僕も自分の声が予想外に大きかったこと、予想外に響いたことに驚いて硬直した。


……って、あっ!硬直してる場合じゃない!事情を話してサンクを助けに行かないと!ついでにジュンとフューも治してもらわないと!


「あのっ!大変つつがましいお願いではありますがね、僕とそこの二人をここから出してほしい!友達を助けに行かなきゃ、なので!ついでに、そこの二人を治して欲しいなぁなんて。」

「トモダチ……」

しょうじょはうつむいた。


「ガウっガウガウがうっ!?」

ジュン、何を言ってるんだろうね。僕知らない。

「コンコン。コンコンコン。」

檻の中のフューが何か言ったらしい。


ジュンも首を傾げている。


あー……。話が、言葉が通じないって、これほどまでに大変なことなのか。もう、たぬき変身で経験済みのつもりだったけど、あの時はジュンもサンクもリルもルイも、人語をしゃべってたし。


ルイとリル……。別れたのは、二、三日前のはずだけど、もう随分と会ってないみたいな気持ちだ。ドリーマーカルスで別れたっきりだし……。あっ!しまった、ルイに、料理スキル取れなかったよーって報告すんの忘れてた!せっかく会えたのに〜あーあ。ルイが作る料理も食べてみたいなあ。リルによると絶品だったっけ……?

サンクと、ジュンと、フューと、リルと、ルイと、僕がテーブルに座り、ルイの作ったご飯でパーティ。うん。楽しそうじゃないか!


僕が脳内バーベキューを楽しんでいると、ずっと考えこんでいた少女がいきなり大泣きし始めた。

「うわあああん!」

えっ!?なに!?どうしたの!?え、僕が泣かせた!?そんな目で見ないでよ狼ジュンと狐フュー!



「ワタシは、ワタシは、トモダチが欲しいの!トモダチと遊びたいの!神様にそう願ったのに!神様がくれたのはこんな意味がわかんない能力なの!それでも、それでも、トモダチが欲しかったのに……」



誰も遊んでくれない、みんな逃げ出す、と少女は嗚咽が混じった声で言った。そんな声を聞いていた僕は、自分も悲しくなってきた。

「ガウッ!?ガウガウ?」

きっと、どうしてお前まで泣いてるんだ?涙は君に似合わないぜ的なことを言っているのだろう。


「よくもまあ、そんな歯が浮くようなセリフを放てるようになったね……動物になって顔色が分かりづらくなったから?」

「ガウウウ!」

ちげえよ!だな。今のは。確実に。


「コンコン。コンコンコン。コンココン。」

え、まって、わかんない。ジュンは短気だからなー、なんとなく容易く想像ができるんだけど。フューは言ってることが難しいというかなんというか。決して僕が馬鹿なわけじゃない。これほんとう。


……どうしようかな。ジュンとフューが獣のままなのは良いにしても、このままこの少女を置いて、この島を出るなんて、心残りがすごく残るだろう。ものすごくだ。この島一個分くらいの心残りを背負って、生きていくのはちょっと嫌かも。うん、嫌だ。


かといって、ここにずっといるわけにもいかない。なぜなら、僕はサンクと約束したからだ。


絶対戻ってくると、迎えに行くと。


あれ、どういう風に言ったんだっけ?


……まあ、助けると。



この少女も仲間にする。これが僕的には最善の方法だと思う。提案してみようかなどうしようかな。ジュンにも、フューにも、サンクにも提案も合意もなしでいきなり言って良いものなのか悪いものなのか。僕にはちょっとそれが分かりかねる。


「ねえ」

「ガウっガウ。ガウガウ。ガウガウウウガウ。」

「え?ワタシと、遊んでくれるの?」

「コンコン。」

「人の姿に戻してくれたら?わかった!約束だよ!」

え?今、なにがどうなった?話が飛んでないか?超電撃展開。

多分だけど………、ジュンとフューが少女を説得した……うん。


僕の頑張りは……?


少女は、

「まじっく、おーぺん![あにまるにい……ならなかった]の!」

と叫んだ。ジュンとフューはまばゆい光に包まれて、人型に戻った。


と、同時に、檻の中にいた多くの動物たちが人に戻った。檻も空いた。どういう仕組み!?


みんな嬉しそうに檻から出て行き、人に戻れたことを喜び、どこかへ逃げるようにあっという間に消えた。

薄情者め。


この場にいるのは、もう、僕とジュンとフューと少女だけだ。

「あ……あ……あ……ああ……俺、人語をしゃべってる……!」


ジュンが、感動したような声を出した。


「こういう状態を、人はエウレカした、というらしい」

「いや、らいうさん。どちらかというと、ウォーターした、では?」

フューが僕の隣に立った。おおー!フュー!フューも人だ!

「あれ……フューとジュン……」

この漂うこの香り。

「なんだ?」

「なんでしょう?」

「獣くさい。」



そのあと、僕は逃げ回った。


そろそろ十万字かな……見てくださりありがとうございます!

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