ジュンがモンスターになりフューがモンスターになり、そして僕は?
鬱蒼としたジャングル。
じめじめっとした、まるでサウナみたいな森の中を、僕らはフューを探して歩く。
全身から汗が噴き出る。うーー
「暑い!」
「言うな!」
間髪入れずにジュンの、これまた暑苦しい、お叱りが飛んでくる。
キングビーストといい、ここといい、なんで暑い場所ばっかなの!?
暑い暑い暑いいいい!
……そういえば、暑いっていうと体感温度が一度上がるらしい。
じゃあ、さむいっ!
……やっぱ暑いいい!!!
うーーうーー……。
「ねえ〜ジュン〜なんかさ〜ジュンのマジックってなんか冷たそうじゃ〜ん?氷とか出せないの〜?」
「またかよ!あーっもう!
マジックオープン![冷剣装着]!スキルスイッチ![アイスフォール]!」
(スキル「アイスフォール」
効果……氷の刃を降らせる
SP……15
上級……アイスキャッスル
取得条件……氷系スキルと剣系スキルを同時に使うこと)
ジュンはそう叫んで、僕らからちょっと離れた場所にいくつも氷の刃を突き刺した。
「わ〜いっ!」
冷た〜い!と僕が氷の刃で楽しんでいるというのに、だんだん氷の刃は溶けてきた。
「はあ……SPの残りも少ないんだぞ……早くフューを見つけないと俺が倒れる。」
SPが10以下になると、HPががりがり削られていく上に、うごけなくなるんだっけね。十秒に1のペース。体力が0になると、しぬ。まるで、砂漠の街に向かおうとした僕みたいに、ほっておくと二次被害が。SPとHPの上限は増やす手段が見つからないから、ずっと100のままらしい。神様からもらったスキルは、一回で100使うから……つまり危険……。
うんうん、だいぶ僕もこの世界のルールってやつを覚えてきたぞ?
もう一人前のドリーマーなんじゃないかな!?
一人前になったら何ができるかな……とりあえず、うどんとかは一人分食べれる……もやしうどん……
「そろそろ、さっきフューが悲鳴を上げたらしき場所じゃないか?」
え?いや、全然違うと思うけど。
「方向音痴。結構まだあるよ?」
僕は優しく語りかけた。
「優しく言ったからって失礼な言葉が失礼じゃなくなるわけじゃねえからな!?」
わ〜、どっかで聞いた言い回しだね〜。
僕はふいっとその言葉を無視して、また歩き出した。ジュンの氷、持ち歩ければ楽なのにな~。
僕は、僕が氷を持ち歩いている姿を想像してみた。
……!なんか、食べ歩きしてる人みたいっ!シャレオツだ~!
「ねえねえ、氷を手に持って歩いたらシャレオツだ、よ?」
ジュンがいなくなった。
あれ~?もしかしてジュン、一人で歩きだして、見事に道に迷ったのかなあ?
「お~い!ジュン~!」
声がこだまする。
その瞬間、僕は嫌な気配を感じて、たぬきに変身して草むらに逃げた。
僕がいた空間を、矢が貫く。
ひいいいい!?おかしい、おかしいでしょ!
なに、あんな石を尖らせたみたいなの……
その瞬間、僕はいきなり持ち上げられた。
「ぴゃああ……」
「がる……がるがる……」
僕の首根っこをくわえていたのは、藍色の狼だった。僕を連れて、藪の中を走っていく。
痛たたた……
僕をくわえてどこに行くつもりなんだろう
待って。
……お、おいしくないよ!?
僕はしてはいけない想像をしてしまった。いやだあ!いたそう!食べられたくなあああい!
「たぬー……たぬー……たぬー……たぬー……」
僕は泣いた。
「が?る?クウう……」
狼はちょっと困ってるみたいだった。
やがて、少し開けたところに出た。
開けたところといっても、ブルームと戦った時の比ではなくて、僕と狼、そして、狐が入るくらいのこじんまりした大きさだった。
狐?なぜ狐がここに?と、いうか、狼って狐食べないの?
「コンコンクウ~コン!」
狐が鳴いた。金色の体毛。
……なんか、この組み合わせ、見たことあるぞ~……特に色が。
可能性の、あくまで可能性の一つとして。
僕は人に戻って聞いた。
「ジュンと、フューだったり、しない、よね?」
そのとたん、二匹が激しくうなずき始めた。
え?え?どっち?我ながらおぼろげな聞き方をしちゃった……
「ジュンと、」
藍色の狼を僕は指さした。狼はこくりとうなずいた。
「フュー。」
金色の狐を僕は指さした。狐はこくりとうなずいた。
「ええええええええええええ!?」
うそだ!うそつけ!嘘に決まってる!
だ、だ、だって、だってさ、あんなに僕のたぬき変身をバカにしてたやつらが、なんで動物に変身してるわけ!?
「ありえなっ」
「ガルルルル……ガウー!」
「コーンコーンコン!」
狐、なの?狐ってコンって鳴かない。アーとかだった気がする……。
そのとき、近くの草むらがガサガサっと動いた。
そして、日焼けした、原始人みたいな恰好をした少女が出てきて、一言。
「みいつけた!」
みつかっちゃった




