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不運な僕ら?


多分僕らは、不運なのだろう。

運が悪いから、こうなったのだ。

まさか……こんな島に着陸してしまうとは……。



一時間前

目覚めたら突然、気球が急降下し始めた。

もしくは、目覚める前から?


どちらにせよ、緊急事態だ!!


「えっえっ…これ、えっとさ」

僕が落ちると思い、あわあわと両手を震わせると、

「落ち着け。とりあえず落ち着け。大丈夫だ落ち着け。酸素がなくなる落ちる落ち着け。」

とジュンが言った。


そそそそうだよね!落ち着こう僕落ち着こう!


「お二人ともものすごく焦っていますね……」

「焦らないお前がおかしいよ!」

あれ?ジュン焦ってたの?


「なんせ、自分、もう生きがいないですし?

この世界で生きる意味ないですし?

はあ……。」

フューのネガティヴオーラ全開、だね!?

これだけでモンスター倒せるんじゃ……って程のネガティヴオーラをフューが発している……おもいっ!


「っ……俺も……あの島で新機能解放できなかった時点で……?次のパーティー戦は望み薄いし……?未来の伝説の勇者なのに……」

あああ!?ネガティヴがジュンにもうつった!


「え、これ、僕もネガティブった方がいい?ねえ良い?これ、僕、疎外感があるんだけど!」

「なんですか、ネガティヴったって。」

ふふん。

「なんでも、〇〇ったってつけるとJKっぽくなるんだよ!」


あっそうですかとフューは拍子抜けしたような顔をして、真顔になったあとにフッと鼻で笑った。なんか笑うとこあったかな?


……馬鹿にされた……?


「なんだか、はあ、落ち込んでるのが馬鹿みたいですね。まあ自分は馬鹿じゃないんですけれども。」

うん?うん。


「たぬさん、あなたはやっぱり変人ですね。」


へ、変人!?……あっ。まだ人だ。


「僕の名前はらいうだよ。……僕はフューも変だと思うよ?」


僕が皮肉を返すと、自分の名前のことを言われたと思ったのか、

「自分の名前はフューチャーのフューですよ?」

と言った。

え!?そうなの!?名前の元それなの!?そんなことがあるの!?

「過去は振り返らない!未来を見る天才!なんせ、天才ですから!」

キラーン。背後で爆発は起きない。なるほど。フューの自己紹介の口上はそれなのねー?僕は……僕はどうしようかな……


「うーん……後ろが爆発したら戦隊モノっぽいのに。」

「あ、良いですねーそれ。東の島国の文化でしたっけ?」

案外フューが乗ってきた。すごい言葉に、やけくそ感がある。やけくそこなくそ。焼いた粉物は美味しい。


「うん。そう。」

「ジュンさん、なんかありませんかね?爆発するスキル。」


フューがジュンに話しかけたが、ジュンは気球の縁に手をかけて遠い空を眺めている。

「……装備……武器……新しい……珍しい……ドラゴン……龍……竜の装備…欲しい…」


怖い!


「ジュンさん、壊れましたね。」

やっぱり、サンクが取られたのがショックだったんだろうなあ。僕も心配だし。この気球が降りたら、いや、落ちたら?すぐにキングビーストに向かわないと……!


「ジュン、大丈夫!サンクは絶対取り戻そう!」


「……装備……機能……は?さんく?あー……サンクか。うん、そうだな、うん。」


フューが冷めた目でジュンを見て、一言。


「もしかして……忘れてました?」

ぎくりと硬直するジュン。


「……うっあっ……俺の頭は、今新装備と新スキルと新機能で埋め尽くされてるんだよ!」


ジュンは開き直った!えええ!?それ威張ることじゃないと思うよ!?

「うわー」

「サイテーですね……」

「べ、別に本人が楽しいなら良いんじゃないか!?アリオールってやつ、すごく強いんだろ!?」


楽しいとは。楽しそうに見えたのか?ただ、うっ……そうだったそうだった……気球降りたらすぐにでもキングビーストのあのホテルに乗り込むつもりだったけど、歯が立つかどうかの問題は考えてなかった……。


もしかしたら、歯型くらいは残せるかもしれないけど、それじゃあサンクを取り戻せない。


じゃあどうやって取り戻す……?


「……奇襲?」

「たぬさ……らいうさんの思考回路は永遠に不明な気がします」

……あっ!らいう呼びになった!嬉しい!


「ともかく、どこかに上陸しないと意味がないよな。」

上陸って、海から陸に上がることなんじゃ……?

空から陸だと……下陸?

まあこの気球は墜落中だけど!あはは!!


「あっ!島がありますよ!」

「んー……?でもあの島、ちょっと寂れた感じがするー」


なにせ、島の中心はほぼジャングル。人がいる気配はなさそう……。それに、砂浜にはなんか変な石がいっぱいあるし……。


「おい。なんか、さっきよりも火が弱まってる感じがしないか?」

ほんとだ。離陸した直後は声が聞こえないほど轟々と燃え盛っていた熱い炎が、今はこんがりマシュマロにちょっとしたやけ目をつけられそうなくらい、弱まっている。

さっきよりもさらに気球が落ちる速度は上がってるし。間違いない。


「焼きマシュマロが食べたいかも……」

「タピオカドリンクじゃないんだな……」

「あ、貴方達!そんなノリツッコミにもなっていない漫才をしている場合ではありません!」

ん?


「この気球が落ちる先!海です!」


え?

「は!?嘘だろ!?」

「えーっと、海に墜落すると、まずい?」

ジュンとフューが馬鹿なものを見るかのような目で僕を見た。


「海に墜落すると、呼吸ができなくなるだろ?」

「最悪、気球に足を取られて…溺れて……」


ひいいいいっ!こわっ!

そんなことを言っている間にも、気球は急降下し続け……


「わああああ!!」

「なんかスキルねえのか!?」

あっ!僕は思いついた。


「スキルスイッチ![巨大化]!か〜ら〜の〜マジックオープン![たぬき変身]!」


僕の重さで、気球はさらに速度を上げて落ちた。


「らいうばかあああ!」


あっ!ひどい!

バシャアアアアン!

まるで空まで届きそうなくらい大きな水しぶきを上げて、僕らは海の中へ落ちた。


すい〜すい〜

僕は、ジュンとフューを背中に乗せて、岸まで平泳ぎ、いや、たぬ泳ぎで泳いで行った。


「まるで、リフトみたいですね……うっ……」

「揺れがすごいけどな。だが、陸で乗った時よりはマシだな。」

「たぬっ!たあああああぬうううう!」

乗客うるさい!文句言わない!


お腹に響いてくるような声を聞き、フューはおえっと酔いの限界が完全に来たみたいだった。


僕の上に……吐くなよ?



一分で岸まで到着し、(もともとそんなに落ちた場所が離れてなかった)僕らは岸に上がった。10分が限界といいつつ、途中で大きくなるのをやめることもできるらしい。

やめたらやめたで、限界まで働いた時と何も変わらないけど……。


僕にSP回復の呪文を唱えた後、フューはとててててっと草むらの陰に隠れ、

「ううう……」


と吐いた、っぽい。えー……そんなに乗り心地悪いかなあ?


「とりあえず、この島はなんて島なんだ?」

僕は、先ほど気球から見た、ジャングルのまわりに散乱している石に近寄った。

よく見てみると、文字が書いてあることが分かった。


KONOMATISTONEMOSSTOIU KONOMATISTONEMOSSTOIU

DREMERYOHAIIRONOSTARWOTENISINEGAIWOKANAEYO


……読めない……

えわいおいわえお?

……これは……いいや!



しばらく僕が順番に石を見ていると、ジュンが走ってきた。


「おい、らいう!フューどこいったか知らないか?」

え?フュー?


「いや……知らないけど……」

「さっきまでそこの草むらで吐いてたのに、いつの間にかいないんだ。」

やっぱり吐いてたんだ。


と、その時、フューの悲鳴が聞こえた。

向こうのジャングルの木が揺れた気がした。


あそこ……かな?

「行く?」

「罠なような気がしないでもないが……仕方が無いだろ。あいつ回復役だし。」

そういやそうだったね。



こうして、僕らのサンク奪還作戦は始まったのだった!

……その前に、フューを救出しなければいけないのだった!


果たして、ジュンの厨二病癖は治るのか!?

それはフューの治癒スキルで治せるものなのか!?

そして襲い狂うたぬき!暴れるたぬき!今僕が新世界の神となるのだ!


乞うご期待!



……ま、後の3行は多分起こりえないだろうけど。


気球が順当に島に落ちれば、柔らかい砂浜がクッションになるか、木々に引っかかって何事もありませんでした。

それはそれとして死んでもブルームに行くので、そこまで大変な事でもないのです。

死ぬのは嫌ですが。

あと、サンクを助けるのに旅費が必要になっちゃいますが。それはここから脱出しても同じか。

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