例えば、その人達はギルドと呼ばれる組織を結成しているらしい?
とにかく、フューのヒールで一時的に回復し、僕らは砂漠の街まで戻った。
看板にはking beastの文字。もしかして、この砂漠全体がking beastっていうのかなあ?それとも、街だけなのかなあ?
ブルーム、キングビースト。
僕が上を向いて歩いていると、ドンっと前を歩いていたフューにぶつかった。
そういえば、さっきからフューは一言も喋っていない。
「えーっと、フュー?どうかしたの?」
「怒られます……もっと悪ければむごたらしく殺される……最悪はギルド追放です……」
え?え?なんでなんで?
急にすごい怖いこと言うじゃん。
「ど、どうして?」
「さっきの泥……よくよく見てみれば、泥を無限に発生させるマジックの泥でした……アリオールギルドと協力してた方の……つまり、アリオールギルドがさっきのモンスターを倒してたんです……あのままだったらモンスターは窒息して倒せてたのに……自分が解除しちゃったから……」
ごにょごにょ喋りながら、あわあわわわと青い顔して震えるフュー。
「え、えっと、泥を取るように言ったのは僕だし!フューは悪くないって!」
「泥を取ったって?」
声のする方を見ると、鞭のようなものを持ったきれいなお姉さんが仁王立ちしていた。綺麗だけど……サンクとはまた違う綺麗さ、かな?大人っぽい〜。その、なんせ、ぼんきゅっぼん。ピチピチの服……年は…20、いや30?
「え…あ…」
「泥を取ったのかといきいているんだ!」
「はいいいいいい!」
僕は思わず答えてしまった。圧に負けた。
お姉さんはため息をついた。お姉さんは僕じゃなくて、フューに向き合って言った。
「どうりでいつまで経っても報酬が手に入らないわけだ。相変わらず使えないやつだな。来い。アリオール様が呼んでいるぞ。」
ひいいい!こわいい!
フューがうなだれて引っ張って行かれた。抵抗すらしない。
あ………うわああ……!
「どどどどうしよう!」
「ほっとけばいいんじゃないか?」
「多分、ああいうのをカツアゲって言うのよ。そういうのはかかわらないほうが良いってじいやが言ってたわ。」
多分勝てないし。と二人は口を揃えて言った。じいやって、誰?
「えー!?なんで勝てないって分かるの?というか、戦うの!?」
「あれは明らかに戦闘系だろう……」
「アリオールギルドの人でしょう?絶対強いわよ。願いを叶えるまであと一歩、って言われているみたいよ。ほら。」
サンクがスマホの画面を見せてきた。
えーっと、ドリーマー掲示板??
「アリオールギルドまたドラゴン倒したって」
「願いを叶えるのもすぐかもなw」
「絶対なんかチート使ってるよ」
「何いってんの実力だよアリオール様の」
「うわ出たwアリオール信者w」
「アリオール教w」
「あのドラゴン十二星座司ってるらしい。」
「14匹いるだろ。ありえんw」
「どっかのギルドが考察してたンゴ」
「らいうちゃんどこまで読みすすめてるのよ……」
サンクが呆れ笑いでスマホを閉じた。少しばかり元気がない。
うー…ん。
十二星座の話しか覚えてないけど、とにかくアリオールギルドはありえんほど強い、んご?
黄道十二星座といえば……ちな僕は水瓶座。ユニークな独創性のカタマリ。
「サンク何座ー?」
「さそりよ。」
「じゅ」
「ふたご。」
僕が何を聞きたいか、よくわかったね。
「よくわかったねー。」
「わかるだろう。」
お前は分かりやす過ぎるんだよと、ジュンはそうため息をついた。そうかな?僕は特技、ポーカーフェイスなんだけどな?
少しばかり、くだらない話をして、僕らは大きなため息をついた。あまり言いたくはないけども、やっぱり僕は口を開いた。またおんなじ話をはじめた。
「フュー、どうしよっか。」
「その話はさっき終わったばかりだろう。」
でもさ、
「で〜も〜さ〜〜?」
ジュンは再度ため息をついて言った。ため息多いな。
「俺の意見は変わらない。放っておいたら良い。それだけだ。」
えー!?で、でもさー!あんまりじゃない!?
サンクも同じことを思っているようで、すっと目をそらした。
そんなに怖いのか、アリオールって。
しばらくの沈黙。
ジュンがまたため息をついて、というよりかは吐いて、面倒くさそうに言った。ジュンは今、一生分のため息を吐いたのではなかろうか?
「わーったよ!好きにしろ!ただし、面倒事は嫌だからな?俺を巻き込むなよ?」
はーーい!了解!
「なんだ~結局ジュンもフューが気になってたんじゃーん。」
「お前は常に一言も二言も……いや、常に無駄なことしか言わないな。」
一言、二言の話じゃねえわ、とジュンは言った。
んんん?ちょっと…ひどーい?
こうして僕は、この後因縁の相手となる、アリオールとやらに会ったのだった。
……ただし、因縁の相手だと、見たくもないと、言ってたのはジュンだけだけどね。
あーあ、沸点ドライアイス少年が仲間だと苦労するよ。
……目の前で言ったら、みじん切りたぬきのチンジャオロースにされかかったけど。
泥を使う女性の名前はセザーネさん。




