砂漠の街の脅威ですか?
白いタイルの上には、黄色い砂がのっていて、ブーツで歩くとじゃりじゃりと音がなる。
口の中も足と同じようにじゃりじゃりしている。目もショボショボする。
僕の長い髪にも砂がだいぶ絡まっていて、
まあ、要するに、シャワーが浴びたい。
「シャワーが〜シャワーが〜あび〜たい〜」
「やめろ!惨めになってくるだろ。」
砂漠の街...…つまり、キングビースト?を歩き続けること一時間ほど。
シャワー付きの宿どころか、オンボロ宿まで満室。
外を歩いている人はほとんどいない。
唯一空いているのは、僕らの所持金をぜーんぶ集めたら、一室一泊できるかできないかくらいお値段がお高い、宿というよりはホテル。一室だけ空いてますよと言われた。
そんなところに泊まっているセレブもいるんだなあ。それもたくさん。
せめて、水が噴き出てくるところがあればなあ……この際水たまりでも構わないから……。
時刻は午後五時。今、そこの細い棒に時計が……表面が砂で黄色くなっちゃってる時計で確認したから、間違いない、はず。
すると、噴水が見つかった。水がない噴水が。
「また街の中心に戻って来たのね……。最後の宿泊街は抜けてしまったのね……。」
「もう一回探しに行くか……」
キングビーストは、地下に市場があって、地上は宿泊街らしい。噂で聞いた。
でも僕らは、どこの宿が狙い目とか知らないから、こんな事になってるのだ。
サンクとジュンは宿泊街に戻りかけた。が、僕は不意に、噴水のそばでため息をついている人が気になった。それは、ホテルとか、宿屋とかにいる人以外で初めて見た人だった。
白いターバンが、かわいそうに黄色い砂色に染まっている。なんだか親近感を覚えて、僕は話しかけた。
「あのー。」
「おお。ドリーマー様。私の悩みを聞いてくださるのですか。」
え。
え。
え。
え?
「うっわ。なんでお前この非常時に街頭クエストなんて受けてるんだよ。」
がいとーくえすと。
「要するに悩み相談だ。つまりは。一旦始まると長い上に制約もあって面倒くさい。その上報酬も微々たるものだったりする。」
「それは結構偏見だとは思うけど……今受けるようなものではないのは確かね。」
ふむ。
「あのー。」
「そう、全ての始まりは一週間前。あの日はまだこの噴水に水が張っておりました……」
僕はジュンにぽかっと殴られた。
「!?」
「何なんで殴られたのか意味わかんないみたいな顔してんだよ。話しかけたら話が進むに決まってんだろ。」
ほうほう。
「と、いうことらしいのでその話」
「ある日突然、謎の白い粉でできた怪物が街を襲い、水を根こそぎ持って行ってしまったのです!」
「えっと。また今度でいいですか。」
「おお。ありがとうございますドリーマー様。討伐しに行ってくださるのですか。そのモンスターはおそらく、吹き荒れる砂嵐の中に城を構えていることでしょう。ぜひお願いします!」
ぽろろぽんぽんぽん。クエスト受注しました。とスマホが鳴ったので、見てみると、制限時間残り四十分と書いてあった。
「……どうしよう。」
「諦めましょう。それがいいわ。」
「ああ。」
僕は切ない気持ちになりながら、スマホをスクロールしていった。キャンセルボタンがあると思ったからだ。
ほう、しゅう、一人につき10万スター。レア装備の、ドロップ?可能性……大。かっこ、指輪など……
10万。
じゅうまん……まんじゅう……は今、水分が欲しくなるからいらないかな……じゃなくて、10万、10万って、ええっと。
「あのさ。これって、あんまりよくない報酬なの?」
僕が画面をジュンとサンクに見せると、二人とも目の色が変わった。
「受けましょう。10万スターあればあれもあれも買えるし、今日の宿も困らないわ。」
「ああ。レア装備……くくへへへへ。」
王道が王道とは限らない……ってこと?
つまり饅頭も水を吸わないかもしれない?
それは少しばかり違う?うーん。
タイムリミットまで、あと三十五分!
僕らはまた、体に激しく打ち付ける砂嵐の中にいた。
「城を!探すのが!まず!大変!だったね!」
「そうね!」
うがーーー!砂嵐やだー!
「ああああああ城でてこおおおい!」
「それで!出てくるわけ!ないだろ!」
「と、見せかけて!」
「出てこねえよ!フラグじゃねえよ!」
ふらぐ?あげたクラゲ?
「揚げ物食べたいーーー!」
「海に行きたいわーー!」
「いい装備が欲しいんだよーー!」
「砂嵐だからって、何でもかんでも欲望を叫んでいいわけではないと思いますけどーー!?」
あ。この声は。
「こんにちは!またお会いしましたね!」
「お城の場所知らないーー!?」
フューは砂嵐の中でもフッと鼻を鳴らした。器用!
「教えて!欲しい!ですか!?」
「誰が!」
「お願いします!もう砂嵐は嫌だあ!」
僕はもう嫌だったので、プライドなどなしに思いっきり頭を下げた。
「素直で大変よろしい!」
褒められた!えへ!
「では案内しましょう!」
「ふう……もう喉がカラカラよ……」
「砂嵐の中で叫んでたわけだもんな。そりゃ喉も渇くよな……」
なんかこう
「水が……飲み水が出るスキル欲しい……」
「ウォーターメイキングならあるわよ?ちょっと今、スキル使う気力がないけれど……」
「ま。自分が案内して「あげる」のはここまでですから。このクエストは自分らのギルドがクリアするので。邪魔しないでくださいね。」
フューが立ち去った。
サンクとジュンも、間髪入れずに、フューの後ろについて行った。
ついて行くのは邪魔になんないのかな。どうなのかな。
……一人は嫌だしついてこうっと。
やっとキングビーストに入った!
キングビーストは武器や防具……装備の街です。




