パーティー価格で買ってちょうだい?
「よし!決めたぞ!!」
今日、会って開口一番にジュンはそう叫んだ。
「決めたって……何をよ?」
「当然だろ?狼は諦める!俺は乗合馬車にでも乗って、砂漠の街に行く!」
僕はクエスト一覧を見て、今日のクエストに良さそうなものを探しながら、ジュンの話を聞いていた。
「へー。」
「あらそうなの。」
「反応薄いな!予想はしてたけど!」
ジュンが大声で叫んだ。
「じゃあ…イキナリナンデソンナコトヲシヨウトオモッタノ?」
「棒読みだな……」
サンクの棒読み具合が激しい。
「砂漠のドラゴンなんだが、もう何匹かは討伐され始めているらしいんだ。それに、新しい街だから、新しい武器も、防具もあるらしい。どこかでギルド対抗戦があるかもしれないからな。なるべく流行には乗り遅れないでおきたいと思ったんだ。」
ジュンはそう得意気に言った。……ぎうど……ぎうどん……うどん対抗戦?
「だから、一時的に俺はパーティから離脱する。ま、お前らはお前らで頑張れよ。じゃあな!」
「あら?ふーん……」
サンクが納得がいかないような顔をしている。
「なんだよ?」
「いいえ。あなた、私たちの事、置いてく気満々みたいだけれど。私たちだってお金は貯まってきているのよ?」
「だからなんだ。」
「あなたが、おにぎり一つ分くらいの……具体的には……5スターくらい、私とらいうちゃんにそれぞれくれれば、私たちも一緒に砂漠の街に行けるのになーと。」
僕は乗合馬車の値段を調べた。500スター。スター、スターね。高いの?安いの?円に直すといくら?
頭の周りにはてなをいっぱい浮かべている僕を置き去りに、二人はどんどん話を進めていく。
「5スター?なんでだよ。なんでお前らに払わなきゃなんねーんだよ。」
「そうね〜そうよね〜私たち、まだ、パーティー、なんだけれど、な〜」
サンクがちらっ、ちらっとジュンを見ながら、リュックからおにぎりを取り出してきた。
「ところでジュンくん、このおにぎりを10スターで買わない?パーティー価格で。」
「いやいや、おかしいだろ!パーティー価格なら普通安くなるだろうが!
だいたい、モンスターランク星一のモンスター五匹で5スター、星二で10スターだろ!十分自分たちでなんとかできる額だろう!」
ジュンがびしっとサンクを指差す、サンクはうーんっと腕を組みながら言った。
「あら?私達はそうかもしれないけれど。らいうちゃんは今、一匹もモンスター自分で倒せないじゃない?」
「ぐ……それはそうだが……」
「え、いやちょっと待って待って!」
スタースターでこんがらがってたけど、別に僕だってモンスター一人で倒せる……と思うよ!?
「一人で、多分、大丈夫だと思うよ!」
「そこはかとなく無謀だと思うのだが……」
「心配ね……」
二人ともなかなかに辛辣。
「じゃあ、じゃあ、今から僕はこの、ジャイアントアントを倒しに行くから!一人で!」
先程とっさに見つけたクエストを二人に突きつけて、僕はその場を後にした。
僕にだって攻撃手段はあるもんね!ほら、このグローブつけてるしー?
ま、スキルの使い方とか、いまだによくわかんないけど。
いやいや、ノーマルアタックとやらを使えば良いんじゃないかな!
……使ったことないけど。
いやいやいやいやいや!僕にはこのたっかいグローブがあるしい!
僕が元気よく駆け出していったその後、サンクとジュンは困ったように顔を見合わせた。
「あのクエスト……昨日のよね。」
「しかもジャイアントアントって、結構強い……星二のモンスターだろう?ブルームが星三の強さなの、あいつ知ってんのか?この前倒したキノコは無印だし……」
サンクはできればこの3人でいたいと思っている。
気を使わなくていい関係ははじめてだから。




