食物連鎖って何ですか?
たああああぬうううううきいいいいい変、身!
「マジックオープン![たぬき変身]!」
僕の声が、夜に染まった森に響いた。
ブルームの中心部にある街から歩いて10分。
それとも、あの街をブルームと呼んで、周りの森は違うのかもしれないけど。
街に隣接するようにある森の中を、僕らは歩いている。
赤い体毛の狼に出会った。
「うーん。俺が欲しい色じゃないな……。」
「ガルルルル……!」
僕が先頭を歩く。たぬきの姿で。
失礼なジュンの発言に怒ることもなく……狼は、嬉々とした、たぶんそういう表情で、獲物!と言っている。そう少なくとも明らかに狼の目はそう言っている。
ガクガクブルブル。
「ガアアルルルル!」
「たぬうううううううーーーーー!」
僕は一目散に木を目指して走る走る!
「ガルルルル!」
「たぬーーーーーー!」
ぎゃああああーーー!
「スキルスイッチ![ファイアボール]!」
「グガウ!」
サンクのスキルが狼に直撃!
狼は、霧になった。
(スキル「ファイアボール」
効果…空中に火の玉を発生させ、敵にぶつける。
SP…20
取得…ファイアで敵を十匹倒す。)
こんなことを何回も繰り返している。
と、いうか、あの火の塊、僕に当たったら僕大変なことになるんじゃ……。
「なかなか道中、噂で聞いた銀の狼は出てこないな……。」
ジュンが最初は前をずんずん歩いていたのだが、やっぱり道に迷っちゃって困っていたとき、森の中で三人組のドリーマー?に会った。3人ともローブを着ていて、変なお面をつけていた。……たぶん、僕がブルームのあの変な店で会った人……の仲間なんだと思うんだけど、少しばかり結構自信がなかった。でもカラフルなフードだし。変な怖いお面だし。
その中でも、ちびっちゃい赤いのが、饒舌に話してくれた。
「この森この森この森銀の狼が出るんだよらしいんだよ道行く人。夜にきらめく銀の体毛にこちらを射抜くようなその瞳!見惚れる人は後を絶たず、きっと道行く人、あなたも魅了されてしまうね、少なくとも尉はそう思うよそう思うんだよ。」
もう一人の変なお面の人が、緑色のローブを着た人が、小さいのをつまむ。
「こら。誰から構わずそのマシンガンみたいな口を開かない。すまないね。びっくりしただろ。弐が尉に代わって謝るよ。」
「も一つ良いこと教えてあげるよ道行く人、銀狼は満月の時にしか出ないんだよ!それよりも離してほしいな、行動の自由発言の自由話しかけの自由は守られるべきだと尉は思うよ、ボスだって許してくれてるよ尉がこうであることこうあることこれからもこうであること!」
赤色のローブを着た女の子を緑色のローブを着た女の子がさらに人差し指で小突いた。女の子……だよね?
「急に話しかけてすまんな!ドリーマーの方!とりあえず、ブルームに戻るならあっちの方向だ!ぜひブルームに行ったときには新装開店するうちの店にも来てくれ!例えば、どんな商品をお求めだい?並木堂は何でも、あなたのお望みどおりの商品を」
「こら。」
最後に、紫色のローブを着た、笑ってるのか怒っているのかは分からないけど、なんとなく近所のおばちゃん味があるお面の人がそう言って、緑のローブの人に、まだ店は無いのだから、商売っ気を出すなと叱られていた。
その間も、赤い小さいのはずうっと何か喋ってた。……なんか、強いとか倒すの大変〜とか、聞こえたけど……。
そうやって、まだ僕達に何か売りつけたそうな紫ローブと、ずっと喋り続けている赤ローブを緑ローブが引っ張っていくことで、ようやく僕達は彼らと別れた。
彼らと別れた後、ジュンがぼそっと言った。
「俺はあの緑のローブのやつにひどく今共感を覚えている。」
「なんで?ジュンとの共通点なんて一個もなかったよ?」
「いやいや、ありまくりだろう。変なやつに囲まれているとか。」
サンクがジュンを睨んで言った。
「変なのは全般的に変ならいうちゃんと方向音痴のくせに自信持って進んでくジュンくんでしょ?私は変じゃありません!」
教えてもらった通りブルームに行き、そこからまた僕らは、当然今度はサンクを前にして森に入り直して、今ここにいる。
今日はちょうど満月だそうだから、僕とジュンとサンクは四時からここで、狼を狩っているのだ。
「そろそろ三十分経つわよ……。まだ出ないのかしら……」
この世界では5時になるともう真っ暗だ。
月も昇っている。
ちょっと寒い……。
僕は、たぬきの小さな手で、もふもふの尻尾みたいなマフラーをつかんだ。
誰かが落としていったのかなあ〜大きい〜。
「ら、ら、らいうちゃん……」
ん?
「それ……狼の尻尾じゃない?」
「たっ!?ぬっ!?」
尻尾はよく見ると……千切れているようで、そして、銀色だった。
「銀色の狼はすでに狩られた後……か?」
「でもドリーマーが倒したら霧になって消えるんじゃないの?」
僕はたぬきから人型に戻って、言った。
「つまり……狼を狩るくらい強力なモンスターが、この森には居るってこと?」
サンクが微妙な顔をして言った。
「ま、まあ、会わなければなんとかなるだろう!」
「そうね!」
会わなければ……。
会わな、ければ。
僕らは視線を感じて、なんとなく森の出口に向けて走り出した。
「コケコケコケコケ……」
「なんっか!変な声しない!?」
「振り返るなよ……振り返ったら終わるぞ……!」
「コケコケコケコケ……」
僕らは我慢できず振り返って、そして後悔した。
「びゃあああああああーーー!」
後ろにいたのは大きな大きな鶏であった。
赤いトサカと……黄色の目!!
「ひいいいいいいいいい!!!」
「コケコケコケコケ……」
なぜ鶏が夜に!?
「コカトリスか!?」
「なにそれ!?」
「棘に刺さると金属になってしまう獰猛な鶏だ!有名なやつだぞ!」
いやああ!僕はショックで目から涙が出てきた。
「金属はやだーー!」
「コケコケコケコケ……」
「金属に、なる、前に、踏み潰される、と、おもう、けどね。」
「それもやだーーー!」
僕らはがむしゃらに走り、
とうとう森を抜けた!
コカトリス、きっと金属で硬化させるからそういう名前なんだな……コカトリスは、森からは出られないみたいだ。街には入ってこれない。親切設計。
「ふひゃああ……」
「もうだめ……走れない……」
サンクは完全にばてている。ジュンは余裕そうだ。僕?僕はね、腰が抜けちゃった。
「とりあえず宿に泊まらなきゃな。」
街には、いくつか宿があった。
そのうちの一つにチェックイン。
各自の部屋で、吸い込まれるように僕らは休息をとった。
部屋に入ると、姿見がおいてあった。
そういや、僕、自分の姿を他者の視点から見たことなかったな?
…子供だー……。
なんかジュンがガキガキ言うし、周りはみんな大きいし、少しばかり頭の隅に浮かんだことではあるけども……。
小学校…中学年、高学年くらい?
……僕はちょっと平均よりも身長低いからなー……。
べ、別に、低学年と間違われたことなんてないんだからね!
誰に言うでもなく、そう取り繕ってみる、実際は、そう、何回か……
そして僕は急に眠くなった。
よろよろ、よろえいとベッドに倒れ込む。
そうして視界が、ブラックアウトした……。




