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DREAMERS WORLD 〜たぬきはせかいをすくえるか?〜   作者: からかさたぬき
第8章 先進の街、バランス編
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たぬきと完璧ロボの旅路と意思?



 緊張の時間が流れる。



 城を右手に、僕とメイドさんが並ぶ。

 城を左手に、バランスが僕らと背中合わせで立った。


《対戦ルールを説明します。

1、対戦は特殊フィールドで行います。この環境下では、重力が10分の1になります。また、マジック、スキル、テクニックを自由に使うことができません。戦闘開始の合図が鳴った後、マジックの使用が認められます。

2、挑戦者が使えるスキルは一人一つのみです。

3、挑戦者はアイテムを使えません。

4、裁決竜は挑戦者が保有中のスキルで戦います。尚、挑戦者が選んだスキルは使えません。

5、10からカウントが始まり、0でスタートします。その間、挑戦者と裁決竜は1カウント1歩ずつ離れていってください。

20秒後にカウントが始まります。準備してください。》


 聞いたことあるなー……この明るい女の人の声。どこだったかな……えーっと……あ、多分ブルームのドリーマーカルスで聞いた声だ!あの人だ……えーーっと、そう、キングビーストが出たよーって知らせてた人……。


《ten》


 全然何言ってるか理解できなかったなあ……。たぬき変身は普通に使えるのかな?

 ……ああ、今はできないのかあ……。戦闘中はどうなんだろう?


 《nine》


 メイドさんに服を引っ張られた。あ……えーっと、え?


 「歩いてください、マスター。」

 《eight》


 僕は三歩歩いて、メイドさんの隣に立った。


 「……これ歩く意味って何?」


 いきなりドッカーン!ババーン!でも良くない?


 「検索中です。少々お待ちください。検索結果」


 《seven》


 「イギリス式の決闘方法と酷似している部分があると発見。しかし、実際はこの半分ほどの距離だったそうです。」


 へー。


 《six》


 あれ、で、歩く意味は?

 ……きっと、見つからなかったんだな。


《five》


 「メイドさん、メイドさんはどう思う?」

 「……どう思う……とは?」

 「歩く意味!なんで歩くのかの理由!」


 メイドさんはきょとん、として立ち止まった。


 《four》


 「わたくしが……考える……何故……?」

 「僕はねー、かっこよかったからだと思う!」


 てっててー!

 メイドさんの服を少しばかり引っ張って、一歩進ませた。


 《three》


 「わたくしは……DSIA3470です。」

 「……?そうだね?うん。知ってるよー!」


 メイドさんは淡々と続けた。


 「自分自身で考えるというプログラムは組み込まれていないのです。」


 ぷろ……?ぷろぐらむ……?

 う?ん?


 「僕、なんかよくわかんないけど……」


 メイドさんの服をもう少し引っ張って、もう一歩進ませた。


 《two》


 「メイドさんは意思が、ないってこと?」

 「そのとおりです、マスター。」


 ふうん?

 メイドさんも僕も、立ち止まった。 


 「じゃあさじゃあさ、」


 《one》


 「メイドさんが僕に呆れたり、僕に怒ったり、僕に意地悪したりするのは、その……ぷろぐらむ、なの?」


 それは本当に些細な変化だった。メイドさんの上まぶたが少しばかり、ほんの少しばかりだけ上がったのだ。


 僕はメイドさんに意思がないなんて思えない。だって、あまりにもメイドさんの動きは……僕より人間じみているもの。僕はたぬきじみてるから……。


 「……わたくしは、意思を持つことを……許可されておりません……。」


 メイドさんがぽつっと言った。

 僕はメイドさんの手を取った。


 《zero》


 僕は思いっきりジャンプした!

 メイドさんもつられて、少しばかり跳ねた。


 「じゃあさじゃあさ、お金が貯まったら、一緒に綺麗な景色を見に行こう!素敵な服を着て、美味しいものを食べよう!うぃんどう・しょっぴんぐをして、映画とか見に行こう!」

 「いきなりどうしたのですか。マスター。」


 うまく説明できないけど……僕は今まで、お祭りで美味しいものを食べたり、作ってもらったり、風の匂いとか、草露(くさつゆ)の冷たさとか、砂の当たる感覚とか、そういうのを感じた時に、僕しか知らない僕の感情を感じてた。

 たぶん、意思?ってやつを感じてた。


 意思っていうのが何なのか、僕はやっぱりうまく説明できないけど。きっとフューやメイドさんに聞いたら、端的に模範的で正確な答えを返してくれるだろうけど。でもでも、聞きたいのはきっと違う。

 つまり、えっと、


 「何かを考えたり思ったりする事が、悪いことな訳がないって思ったんだ。」


 だから、許可っていうのもさっぱりだけど、そんな許可なんてもので縛れるものじゃないよね、きっと。

 僕はメイドさんの良き隣人、いや良きたぬきとして、メイドさんの意思をメイドさんと探しに行きたいんだ。

 全部誰かの言うとおりなんて、きっとつまらないから。


 僕が頭の中で整理して、声に出そうとした時にはもう、戦闘は始まってた。



 「……話すのは、あとにしましょう、マスター。」


 メイドさんが僕をめいいっぱい押した。


 全部伝わってたら良いのにな。


メイドさんはタイプ・プロトコルと同じで人の心が読めます。来羽がメイドさんの前でスキルを使用した時、メイドさんがそれを認知できるのはこのためでもあります。

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