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DREAMERS WORLD 〜たぬきはせかいをすくえるか?〜   作者: からかさたぬき
第8章 先進の街、バランス編
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たぬきと完璧ロボの旅路と天秤?


 「よくぞここまでたどり着いた。」


 場所は……さっきと全く一緒だ。たぶん。家具がおいてある場所も全部、そっくりそのまま、二つ前の場所、一つ前の場所と何ら変わりない。


 僕らを迎えたその人は、目つきは突き刺すように鋭く、ワシの鉤爪にそっくりなかぎ鼻を持った、ダンディなおじさまだった。

 余計な肉を削ぎ落としたかのように鋭い顔は……確かに、まあ、竜と言われても納得できてしまうかもしれない。それほどまでにその目は強そうで、何もかもを見透かすようだった。まるで僕は蛇に睨まれたカエル、いや、竜に睨まれたたぬき。



 「彼が、決断の竜、裁決竜バランスです。」


 決断の竜……。

 何を決断するんだろう……。


 僕が疑問に思っていると、椅子に座ってるおじさま(バランス)は、その長い足を組み替えながら、僕達に突然聞いてきた。


 「少女たち、ここまで来るのは大変だったかい?」

 「え」


 思わずびっくりしちゃって声が出た。

 今まで竜と話したことなどなかったからだ。


 「えっと……僕は、特には。大変だったのはメイドさんの方で……。」

 「あの程度の計算問題なら問題ありません。」


 まじで!?じゃあじゃあ、えーっと……!


 「円周率は!?どんくらいまで行ける?1億桁!?」

 「わたくし単機ですと、12桁までになります。1億桁の円周率計算ですと、膨大な計算量になり、タイプ・プロトコルでも太刀打ちできなくなりますので、ご了承ください。」


 すっげーー!


 「そうか。なあに、聞いたからといってどうするというわけでもないがね。では、次の質問だ。ワタシ達の様な、ドラゴンと喋ったことはあるかい?」


 ドラゴンと……?

 喋る……?


 「もしも順(・)番(・)通(・)り(・)に(・)ドラゴンを倒し続けているならば、ワタシと話すのが、ドラゴンと話す初めての機会だろう。君はここに来たとき、瞳孔が数センチ開いたから、人間の姿のドラゴンに会うのは初めてのはずだ。」


 どーこーがすうせんち!目は口ほどに物を言うってこのことか……。うーん。まだまだポーカーたぬきには程遠いようだ。


 「そだよー。はじめてだよー。喋ったこともないし、人型のを見たこともない!」

 「マスター。それは」

 「では、おしゃべりはここまでにして、はじめようか。いつものように、ワタシを倒してくれたまえ。」



 メイドさんの言葉を遮るように、バランスは立ち上がって、言った。



 その言葉が引き金になったかの様に、アンティークな色調の重い壁が、ドアが、本棚が、床が広がるように外側に倒れた。


 部屋が全て床になった後で、周りに現れたのは、建てられてから随分と経ったような……大きなお城と、芝生だった。


 遠目から見ても古い!とわかるほどに、そのお城はくすんでいたし、ヒビが入っていた。


 「……えっと、ここで、戦うの?お城、崩れちゃーない?」

 「この空間は仮想現実ですから問題ありません。」


 かそー、げんじつう?


 「問題に答えることで挑戦権を獲得し、質問に答えることでこの空間に脳波がアクセスします。」


 じゃ、じゃあ、現実の僕は……いや、現実は……寝てるんだっけ。

あれ……なんで寝てるって思ったんだ?なんでだろう?

 どうし


 《全スキルロック。お使いのスキルを一つ選択してください。》


 機械音声と共に、目の前にたくさんのスキルの絵が描かれたパネルが出現した。え、え!?なにこれなにこれ!?僕何すればいいの!?


 「メイドさ、メイドさん!これって!?どうすればいいの!?」

 「マスターが一番好ましいスキルを選んでください。」


 一番好ましいスキル……?

 そりゃあやっぱり……[巨大化]でしょ![君臨!たぬきんぐ!]とも迷うけど……1分よりは10分だよね!


 僕が選ぼうとすると、メイドさんに手を掴まれた。


 「マスター、すみません。訂正します。神スキル以外で、一番マスターが好ましいスキルをお選びください。」


 えええええええーー!?


 「なんでなんでどうしてー!?」

 「バランス戦ではアイテムの使用が禁じられているからです。裁決竜を10分で倒すのは統計上、アリオール様以外不可能です。」


 ほう?


 じゃあ……[無鉄砲]かな〜!だって撃つときの見た目がかっこいいし!


 「マスター。わたくしのおすすめでは」


 ポチッとな!


 「あっ。」


 メイドさんの驚いた顔始めてみた!声は少しばかり無機質だけど、顔がポカーンとしてる!


 あー!スマホ向けたら直っちゃった……残念……。


 「メイドさん!もう一回その顔して!もう一回!」

 「……嫌です。」

 「ねええ〜おねがあああいいい〜写真撮りたいい〜!」


 僕は寝転がって地面をバタバタ叩いた。


 「これが……データにある、"おもちゃコーナーの前で駄々をこねる子供" ですか。」


 その例えは……嫌だ!

 僕はあくまで高潔なたぬきなのだ!僕はすくっと立ち、スカートのホコリをつまんで誇りあるたぬきになった。


 「戦いを、始めてもいいかな?」


 僕らの準備ができたとみなすがいなや、バランスはそう僕らに声をかけた。


 僕は元気よく答えた。


 「おっけー!」



裁決竜バランスとは、完全に平等な条件で戦うことになります。まるで水平に保った天秤みたいに。

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