そしてまた朝は来る
「はっ!」
サンクが何かに気がついたように言った。
ジュンは戦利品の確認をスマホでしながら不敵に笑っている。
僕は……人に戻れず右往左往。
「ねえ、モンスターちゃん……なんだかたぬきっぽいわね……ねえ、たぬちゃん。どうして私たちを助けてくれたの?」
えーっと、さっきまで一緒にいた人たちだからです。見捨てることは、できないから。
結構イケメン顔で言った。
「たぬー、たぬたぬたぬぬ、たぬぬぬぬ。」
「うーん……わからないわ。それに、えっと。歯に何か挟まってるの?」
ううー……良いこと言ったのに……。
らいうだよ?僕は戻れないらいうなんだよー!
サンクは必死に説明する僕を切なく思ってか、すまなそうな表情をした。
「ごめんね……」
すると、そこまで一言も発せずニヤニヤしていた気持ち悪いジュンが口を開いた。
「ともかく、もう18時の鐘が近づいている。そのモンスターはほっといて、どこかに安全な宿を取るべきだ。」
サンクはそれを聞いて急いでスマホを取り出した。
「ほんと!あと30分しかないわ!らいうちゃーん!らいうちゃーんどこーー!?」
「もう街に行かないと。安全な場所に行く前に、おちるぞ。」
おちる?何に?
「う……。ごめんねらいうちゃん!じゃあね、たぬちゃん!元気でね!」
サンクとジュンは森の中へ入っていった。
どういうことだろう?
周りの木は黒く染まり、風は笑うように吹き抜けていく。
僕が経つ草原は月が雲で隠されているせいで暗い。でも、たぬきの目は辺りを捉えている。たぬきは夜行性だっけ。
暗さよりも問題は寒さ。春とはいえまだ寒い。一人ならなおさら。
僕は震える前足を右、左と前に動かした。
暗い森へ入っていく。
視界ははっきりしているけれど、今、わー!って言われたら逃げる。
それくらい怯えている。
サンクとジュンは街にたどり着けただろうか?
ジュンは方向音痴だったしなあ。サンクはどうなのだろう。
足裏に伝わる草の感覚。チクチクする。
夜となれば怖い虫もいるよなあ。
不意に、僕は誰かに見られている気がして右を見た。
誰もいなかった。
と、そのとき、取り出せないはずのスマホから声がした。
「Dreamer's World 、1フィールド目お疲れ様でした。
お元気ですか?
なりたい自分にはなれましたか?
それぞれの街にはそれぞれのドラゴンがいます。
全部で14種類。そのうち12種の加護を集め、世神竜を討ち取り……いつか偉大なる願いを、叶えてくださいね。」
優しい声だった。
途端に、なんだか眠くなってきた。
まるで、重力には逆らえないような……でも気持ちよく、おちていく感じ。
僕は近くの木のうろに足を突っ込んだ。そのままコロコロコロとうろの中へ。
何もいないと良いな。何も確認できぬままに
僕の瞼はくっついて。
そして僕は、おちた。
第一章もそろそろ終わりです。




