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草木竜 ブルーム


「ドラゴンは、ドラゴンだろう。」

「?」

「説明のしようがない生き物だ。」

なるほど。

「わかった。」

「わかったの!?」「理解したのか!?」

ジュンとサンクが驚いていた顔をした。説明できないならしょうがない。そういうものなのだ!


ドラゴンは今までの、普通の動物の亜種?みたいな見た目だったモンスター達と、違う皮膚感をしていた。

まるで作り物のような……。ゴム感。


「このドラゴンは、この森のボス……って所かしら?」

「ああ。そうだと思う。一定数狩ったからボスの出現条件を満たしたんだろう。確かに、目的なく狩るのもいいかもな。」

「ぼすってなに?」

ジュンとサンクの張り詰めた空気に、僕の張り詰めた空気が混ざった。

ジュンとサンクは同時につんのめった。仲がいいな〜。


「お前……今の空気は、質問せずに、"それらしいこと" を言う空気だろう………場違いにもほどがある……」

「らいうちゃん、ボスっていうのはね、たくさんのモンスターを束ねている、普通のモンスターよりも強いモンスターのことよ。」

ちょっと待って。モンスターという横文字がいっぱい出てきて処理できない。つまり……

さっき、歩くキノコがいて。

それをいっぱい倒して、

それの上司が出てきたってことか?

……きっとそうだね、そうに違いない!


「どうする?私たちの冒険ランクだと、ボスはこっちを見てもいないみたい。でも、攻撃したら流石に襲ってくるわよね……」

「ボスが出るなんて珍しいことなんじゃないのか?少なくとも俺がやってきたゲームではそうだ。」

うー……珍しいと言われると。

やっぱ、珍しい物はその時に手に入れないと……後で後悔する……。

「よーし!じゃあ戦おう!」

「いや、らいう!お前ボスの強さ分かってないだろう!」

「いいえ、案外弱いかもしれないわよ?なにせ、最初の森のボスだしね。」

最初の森?この森の名前はそんな名前だったの?


「しかし……」

「あら?珍しいドロップ品は欲しくないの?」

反論するジュンに、サンクが囁いた。

「ぐ……うん、多分、そうだ!そうに決まってる!弱い!はずだ!

……ボスを倒したらレア度の高いドロップアイテムが……良い装備に良い武器…へへへ……」

「言っとくけど、保証は無いわよ?」

ジュンがまた気持ち悪い。

これが彼の平常運転に違いないわとサンクがボソッとつぶやいた。


「マジックオープン![冷剣装着]!」

「マジックオープン![プレデクテッド・アイ]!」

「……ってらいうちゃんは?」


僕はボスに向かって走り出した!


せんてひっしょう!一番槍は何とやら!


緑色の皮膚に……さっき拾った枝で…切り掛かる!

「とりゃあああ!」

「グガ?グガアアアアアアア!」

おおっ!?すごい雄叫び!案外攻撃効いてる!?

《スキル 無鉄砲を取得しました》

無鉄砲!?

「あーー!もうこのクソらいう!」

サンクたちが攻撃している間にスキルを確認してみる。


(スキル[無鉄砲]

効果…指で作った鉄砲から敵に3ダメージを与える。

SP…10

取得条件…自分より格上のモンスターに飛びかかり1ダメージを与えること。)


……ってことは、1ダメージ入ったんだやった!

「おい!らいう!ガッツポーズしてないで戦え!」

見ると、ジュンとサンクが必死に攻撃している。

ジュンは銀色のオーラがかかったような剣を持ち、頑張ってドラゴンに切りかかってる。

サンクは杖からなんだかよくわからない不思議な光線を出して戦っている。

お〜モンスターに傷がついてる……!

あれかな、あのスキルの出番かな!

「えーっと、スキルスイッチ……スキルスイッチ……」

「らいう!避けろ!」

ぱ?

僕がスマホから目を離すと、緑色のドラゴンがこちらへ向かってくるところだった。

「ひいいいいいっ!?」

僕は転びつつも避けた。僕才能の塊かもしれない……!

ドラゴンがこちらをまた見た。なんで僕なのーー!?


はっ!


たぬきになれば、生き残る可能性は高いのでは?

ビルの十階から人間が飛び降りたら死ぬかもだけど、カブトムシなら大丈夫。のはず。


それと一緒で、たぬきの方が体重は軽いわけだから。


万が一吹き飛ばされても大丈夫!


……マジックってどうやって発動するんだっけ?

確か……確か……サンクは……

サンクとジュンはモンスターに攻撃をしている。モンスターも尻尾で攻撃を仕返しているが、やっぱりモンスターの目は僕を見ている……。


あれ、尻尾の攻撃でも当たったら二人とも痛そうだし、僕が突進食らったら……。


なんとか逃げなきゃ!

そのためにはやっぱりすばやいたぬきにならないと!


そう、えー…叫ぶんだっけ!


なんて?


マジックの名前を!


名前を……

名前………あったかな〜?


確か……

僕はたぬきを思い浮かべながら叫んだ。あ、そうだそうだ、あの変な言葉も言わなきゃ!


「マジックオープン![たぬき変身]!」


ぽふん!

なんだか鳩が出るときの音のような音がして、僕の視界が低くなった。

手は茶色く、ぬいぐるみのようで……。

おお……たぬきになった……!


《テクニックを獲得しました。》

(固有テクニック「狸鍋を回避するために」

効果…目の前で使われたスキル、テクニックの詳細を把握できる。(初回のみ)

取得条件……命の危険があるときにマジックを使い狸になる。」)


そんな声がしたけれど、僕はよくわからなかった。

とりあえず……よーし!


「たぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ……」

「うわっ!?」

「なんか壊れた感じのモンスターがすごい勢いで迫ってきてるわ!?」

失礼な!僕はにげ……いや、モンスターをひきつけようとして走ってるんだぞ!

でも……なんで、走ってるとたぬぬぬぬって声が出るんだ?


「グガアアアア」

あっ!?怖い!

で、でも戦わなきゃ……

「た、たぬっ!?」

スマホが、ない!

そりゃそっか、たぬきは胎盤類だもんね、袋があるわけない。つまりスマホの入れ場がない。つまりはたぬきに変身したらスキルは使えないと。


そもそもたぬしか喋れないのだからスキルの名前も言えないし……。


ドラゴンと目があった。

ドラゴンの無機質な瞳に、どこか間の抜けたたぬきの姿が映る。

「た、たぬーーーー!しゅーーー!」

僕は尻尾を膨らませて威嚇をした。

「グガ…グガアアアアアアア!」

ひいい!

「たぬ〜たぬぬ〜ぬぬ〜!」

な〜か〜よ〜く〜しようぜえ〜だんすを僕は踊り狂う。

「グガアアアアアアア!」


「あ、あれ?あのモンスター……、ドラゴンの気を引いてくれてる……?」

「そうっぽいな。」

サンクとジュンがぽけーっとドラゴンと僕を見た。

「こ、これはチャンスだ!そうだよな!?一気に畳み掛けるぞ!」

「え、ええ!」

ジュンとサンクがドラゴンに集中放火!

危ない!僕にも当たりかけたんですけど!


ドラゴンの気がサンクたちに向き始めたので、僕は爪でドラゴンをひっかく。

見て見て!黒曜石みたいな綺麗な黒い爪!

えいや!

「たぬ!」

「グガ」

「たぬ!」

「グガアアアアアアア!」

怒った。怖い!

うーん、しかも爪の付け根が痛い……この方法はやめよっと。


あ、やべ、

「たああぬうううぬううううう!」

「グガアアアアアアア!」

またドラゴンが僕を追い始めた!

「たぬひいいい!」


「今だ!」

ジュンの声が響いた。

その声と同時に、サンクの声が響く。

「スキルスイッチ![サンダー]ーー!」

(スキル「サンダー」

効果…敵に雷ダメージを与える

SP条件…10

取得条件…雷ダメージを喰らわせてくる敵を倒す)


ワンテンポ遅れてジュンの声。

「スキル![スラッシュ]!」

(スキル「スラッシュ」

効果…敵にダメージを与える。急所に当たりやすい

SP条件…25

取得条件…剣で5回ほど敵を斬る。)


文字が目の前で浮かび上がって、消えた。


ドラゴンは僕に鉤爪を当てようとして……

硬直し、横に倒れた。


僕はそっと近づいて、そこらへんの枝を持ってちょんちょんと突いた。

ドラゴンは動かず、消えて……

ジュンとサンクのスマホがぴこんっと鳴った。


《草本竜 ブルーム 討伐完了

報酬1000スター

ドロップアイテム

草本竜のかけら×1

草本竜の鱗×10

草本竜の牙×2

草本竜の翼の皮×1

ブルームソード×1

ブルームのステッキ×1

ブルームの加護×1》


響き渡る、男とも女ともわからないような機械音声。しばらくの沈黙。



そして全員で叫んだ。

「やったああああああ!」

「たぬううううううう!」


らいうが遂にマジックを使いました……うわあ、長かったねえ……よくがんばったね……ヽ(´ー` )ヨシヨシ

ブルームは竜ですが、ドリーマーズワールドに生息している竜の中では小さい方です。大体ブラキオサウルスくらいのイメージ。それよりも小さいかも?

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