第七章エピローグ
第七章プロローグの続きです
手に入れたスキルは。
スキル[擬態]
効果…たぬきサイズのアップルパイに変化する。食べられない。
SP…10
取得条件…アップルパイに見える様になる事。
これだけ……か……?
私はノートを見ながらため息をついた。
後ろでは、放心状態の紺色の髪に紺色の目をした少年が、虚空を見つめて座っている。
私達は一時的にボロアパートに帰ってきていた。
リュックからツナ缶を取り出し、パキュッと開けて、少年の前に置いた。
「たべ、たら。」
たぬき娘はこんな時だっていうのに、くーくーと平和そうに寝息を立てて眠っている。さっきりんごのスライスしたやつをあげたばかりだ。どうやら、お腹がいっぱいになって寝ているらしい。良かった。もやしを取られたらたまらない。
「……。」
少年は食べようとして、ツナ缶に添えようとした左腕がないことに気づき、また叫んだ。
タオルをぶつけて黙らせた。
外は雨がざあざあと降っていて、水たまりの水面が絶えず変化している。
空は暗く、分厚い雲が重たくのしかかっていて、到底この雨は止みそうにないことが分かる。
私が住むこのボロアパートは、天井から水が滴り落ちて来ていて……つまり雨漏りしている。
もう電気も止まりかけていて、ピカ、……ピカ……と蛍光灯が点滅している。
なんかコンビニ行く前よりもっとボロくなったんじゃないか?
「ね、えた、ぬき……」
あ。
そうだ寝てるんだった……。
ジュンとかいう名前だったような気がする少年は、ツナ缶には手を付けずにそのままベッドに倒れ込んでしまった。
せっかく開けたのに……。
乾いて不味くなったらもったいないので、私が食べることにした。
じゅわっとツナ特有の味が口の中で広がる。刺し身とはまた違う味。
ちょっとしょっぱいような、魚の味が舌の上で踊る。
歯が、もっと食べたい、もっと食べたいとうずく。
さあここで、主役のもやしの登場だ。
もやしパックを開けて、ツナ缶と一緒に食べる。
はあああ……うまあじ……。
……はっ。
だめだ。気を抜くとあのたぬき娘が侵食してくるような気がする。
しっかりしなければ。
どうやら追憶の中のたぬき娘は、メイドロボット?とやらと共に金を稼ぎに行くらしい……。
雨漏りで垂れた水がばちゃっとノートにかかった。
……本当に遺憾だが……このボロアパートから拠点を移すべきだな。
私はジュンとたぬきが起きるのを独り、しとしととした雨の中、待った。
第七章はここで終わりです!!
ここまで読んでくださり本当にありがとうございます!!!
11月更新の第八章では、来羽はDSIAと共に借金返済の旅に出ます。訪れるのは、先進の街、バランスです。
バランスは、一番インフラがしっかりしていて、人々がゆうゆうと暮らしています。街中で危険な事にはめったに遭遇しないでしょう。
その理由は、管理者が管理組合であるのと同時に、裁決竜バランスその人だからです。
裁決竜バランスは人になれます。
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