えっさーほいさー!?
「ほいさっさー!えっさっさささ!」
「貴婦人よ。あの娘は……一体何なんだい?なんであんなにノリノリで仕事をしているんだ?」
ヘルメットを着けたおじさんがサンクに小声で聞いている声が聞こえた。
「え、ええっと、わたしの、友達よ。」
「そうかい。まあ働いてくれるならべつに良いが……」
「……いいのかよ……」
ジュンのか細いツッコミが入った。
良いんだったら良いよね!さあ!今日もはきはき頑張りませう!
おらー!口よりも手を動かせやろーどもお!
「たぬっさ!ほいさっ!」
「今日はここまで!ご苦労さん!」
「総督!まだ僕はやれます!」
「ほら、らいうちゃんも!仕事のし過ぎでテンションがおかしくなってるのよ!行くわよ!」
ちゃんと労働基準法を守って仕事してたのに!?
ずるずるずると僕はサンクたちに引っ張られつつ現場を後にした。
おしゃれなレストランで僕らは談笑していた。
うーん。こういう風にまともな食事をとったのはいつぶりかなあ……ああ、涙が出てきた。ここんとこは僕は食パンを毎日食べていたけど、明日が最終日だというので、借金ありでもオッケーなレストランで食事をとることになったのだ。
「手伝うこと、認めてくれて良かったわ……これだったら、あと一週間できちんと終わるわね。」
「しかもバイト代まで出るとはな……この調子なら、らいう、借金返せるんじゃないか?」
時給1500スター!
一日五時間だから、ええっと。
一日あたり7500スター!うわ全然足りない!
「このまま何もなく終わるといいな……あっ、やっべフラグ立てちまった。」
「大丈夫よ。ジュンくん。明日でこのアルバイトも終わりだし。そうしたら、フラウを倒して、ジャックを倒して、おしまいよ!」
フューが困ったような顔をしてグラタンをほおばりつつ言った。
「そんな風にうまくいくといいんですけどねえ……」
肉うまい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
嫌な予感というものは的中したり、しなかったりする。
「土砂降りだな。」
「土砂降りですね。」
「猫と犬が遊んでいるわ……」
「だぬう?だぬたぬぬ?」
今日のたぬき[野宿]は~くまの冬眠跡でしたあ!
いつくまが帰ってくるかドキドキを感じながら寝れる、スリルいっぱいのおうちです!
と、まあそんなことはさておき。
どうしたの?仕事しに行かないの?
「だぬう……?だぬだぬうー?」
「あ、とりあえず、らいうちゃんから降りましょ。今日どうするかを話し合うのはその後だわ。」
僕らは昨日まで僕たちが作業していた現場に行った。青いブルーシートがかけられている。
道行く人は、人っ子一人いない。
「しっかしジュンのアイスシールドは便利だねえ……傘にもなるとは。」
「本当はこういう使い方をするもんじゃないんだからな!?もっと、かっこよく……炎を防いだり、剣撃を防いだり、闇の力を防いだりする様な時に使うものなんだからな!?……スキルスイッチ[アイスシールド]」
傘の柄代わりに使っているジュンの……確か、フィシゴン?の剣のさきっちょからもう一回、大きな氷の結晶が花開いた。おお〜きれい〜。
僕らはジュンを中心として、ジュンのアイスシールドに収まり、ジュンの叫びを無視しつつ、あたりを見渡した。
「何か……おかしくないですか?」
「んー?そうだねえ、雨の中工事しても……いいような気はしないでもないけど、でも、やっぱさ、つるって滑ったりして危ないんじゃん?」
そうではなくて、とフューがもう一度辺りを見回した。
?
ああ、とサンクが手をぽんっとうった。僕は良くわからないけどサンクの真似をして手をポンっとうった。ぽんぽこぽん!
「人がいなさすぎるのね。確かにおかしいわ。雨が降っているとはいっても、道中で一回くらいは、人とすれ違ったっていいはずよね。」
「全員傘持って無いんじゃねえの?」
「そんなわけないでしょう、ジュンさん。こういうキャラは、一人で十分です。」
何故かフューがこういう、の所で頭の右側に手をやり、人差し指を頭の向きに向け鼻と平行な円を作るように回し、最後に手を開いた。
何かの合図かな?……いやちょっとまって。今の動き僕見たことあるよ?
「ちょいちょい!それは一体どう」
「皮肉に決まってるだろ!らいうと一緒にするな!」
ずがーん!!!
ダブルパンチ!
うっうっ……。
なんか、なんか、納得いかない……。僕の扱いひどくない?
抗議しようとした、その時だった!
「見つけたぞおおお確保おおおお!」
「いたぞおおお!賞金くびいいいい!」
賞金首!?どこ!?金!!
キョロキョロあたりを見渡すと、血相を変えたドリーマーの御一行が、猛スピードで走ってきた!
「な!?」
ジュンが驚き、一歩後ずさった。[アイスシールド]が解けて、僕らに雨がざああっと降り掛かった。
僕はたぬき変身をした!
「やっぱりあいつだ!捕まえろおおお!」
ひいいいいいいい!
「たぬぬぬぬぬ……ぬむぎゅ!」
僕はそのドリーマーの御一行の一番前にいた人に小脇に抱えられて連れ去られた!え!え!ええええええ!
「え!?ちょっと、待って!」
「おい!スキルスイッチ……嘘だろ、スキルが使えねえ!
……まさかとは思うが……この雨のせいじゃねえだろうな……?くそっ!マジックオープン![冷剣装着]!」
「嵌められましたね……人がいなかったのはこのせいですか……!これはおそらく、」
新手の攻撃です、というフューの声が雨と怒号で、かき消された。
うわああああああああああ!




