10月
恵が、また私と話す様になった。
そうして、ここ最近一緒にいた人間達とは、一緒にいなくなった。
……どこかで、喜んでしまっている自分と、
それは恵の交友関係の失敗を意味すると分かっている自分が、脳内で喧嘩する。
「ねえらうっち!らうっちってば!」
私はその声でもう一度恵に視線を向けた。
「聞いて、るよ。」
「んー。もう、聞いてるならこっちを向いててよ~!」
「あ……ごめ、ん。」
恵は一瞬驚いたような顔をしてから、続けた。
「だからね、うちの弟が通ってる小学校に、お化けが出るっていうんだよー!?まじありえなくない!?」
お化け……か。それにしても、恵の弟か……。あのクソガキか……。
私は人間が嫌いだが、特に嫌いなのはオスの子供だ。
……なんで嫌いなんだっけ。
恵の様子は前と変わりがない。
何事も無かったかのように戻ってきて、いいや、だが、前よりも私と一緒にいる時間は、長くなった気がする。
「それは、足、があるタイ、プの奴?それともない、タイ、プの奴?」
「いわゆる学校の七不思議ってやつだよ~!人造模型が動いたり、音楽室の肖像画の目が動いたり、二宮金次郎に追っかけられたり!」
……足があるやつってことか。
「足が、あるや、つなら対処、方法が、ある、と思、う。」
「にんにくとか十字架とか!?」
……ニンニクや十字架が二宮金次郎に効くのかはしらないが、
「そん、な感、じ。」
「よーし!じゃあ、いつにする!?」
「い、つ?」
いつとは。
「あたしは次の日曜がいいなあ。」
「なにを、する、の?」
「決まってるじゃん!」
お化け退治だよ!
と教室中に響く声で恵が言った。
ああ。周りの視線が痛い。
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とうとう明後日は恵とともにお化け退治、とやらをする日だ。
私はリュックサックに懐中電灯を詰めて、眠りについた。
どこか、ワクワクしている自分に気がついた。こんな気持ち、まだ持っていたのか。
それと同時に、どろっとした感情を覚える。
何をしているんだ。何の為に願ったんだ?
と。
今回の現実回は起きるとこからではなく、途中からはじまっています。
恵は結構メンタル強め。恵の人生の中で、そう珍しい事ではなかったからです。




