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10月


 恵が、また私と話す様になった。


 

 そうして、ここ最近一緒にいた人間達とは、一緒にいなくなった。


 ……どこかで、喜んでしまっている自分と、


 それは恵の交友関係の失敗を意味すると分かっている自分が、脳内で喧嘩する。 



 「ねえらうっち!らうっちってば!」


 私はその声でもう一度恵に視線を向けた。


 「聞いて、るよ。」

 「んー。もう、聞いてるならこっちを向いててよ~!」

 「あ……ごめ、ん。」


 恵は一瞬驚いたような顔をしてから、続けた。


 「だからね、うちの弟が通ってる小学校に、お化けが出るっていうんだよー!?まじありえなくない!?」


 お化け……か。それにしても、恵の弟か……。あのクソガキか……。

 私は人間が嫌いだが、特に嫌いなのはオスの子供だ。

 ……なんで嫌いなんだっけ。


 恵の様子は前と変わりがない。

 何事も無かったかのように戻ってきて、いいや、だが、前よりも私と一緒にいる時間は、長くなった気がする。


 「それは、足、があるタイ、プの奴?それともない、タイ、プの奴?」

 「いわゆる学校の七不思議ってやつだよ~!人造模型が動いたり、音楽室の肖像画の目が動いたり、二宮金次郎に追っかけられたり!」


 ……足があるやつってことか。


 「足が、あるや、つなら対処、方法が、ある、と思、う。」

 「にんにくとか十字架とか!?」


 ……ニンニクや十字架が二宮金次郎に効くのかはしらないが、


 「そん、な感、じ。」

 「よーし!じゃあ、いつにする!?」

 「い、つ?」


 いつとは。


 「あたしは次の日曜がいいなあ。」

 「なにを、する、の?」

 「決まってるじゃん!」


 お化け退治だよ!

と教室中に響く声で恵が言った。


 ああ。周りの視線が痛い。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 とうとう明後日は恵とともにお化け退治、とやらをする日だ。


 私はリュックサックに懐中電灯を詰めて、眠りについた。


 どこか、ワクワクしている自分に気がついた。こんな気持ち、まだ持っていたのか。



 それと同時に、どろっとした感情を覚える。



 何をしているんだ。何の為に願ったんだ?



と。




今回の現実回は起きるとこからではなく、途中からはじまっています。

恵は結構メンタル強め。恵の人生の中で、そう珍しい事ではなかったからです。

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