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ここで?


 たぬたぬたぬーたぬーたぬー、たぬーーー!


 と、う、ちゃ、く!


 「あっ!指名手配中のたぬきだ!」

 「たぬきだー!たぬきが出たぞー!」


 えっ。


 おじさんがいっぱい僕の方に走ってきた。モテモテ……いいや、ボケてる場合じゃない!


 「待って!はあっ……はあっ……。指名手配中のたぬきはそこの塔の半分……いいえ、3分の1はあったわ!だからこの子は指名手配中のたぬきじゃないわ!この子は、ええっと、わたしのペットよ!」


 後ろからサンクが追いかけてきて言った。

 サンクは女優帽を被り、サングラスをかけていた。いつの間に手に入れたんだろう?


 ……ペット。ペットかあ……。


 「おおう、貴婦人。それは失礼いたしました。」

 「いいえ。気にしなくて結構よ。ところで、わたし達、恋愛竜フラウに挑みたいのだけれど、神殿の復旧はあとどれくらいかかる予定なのかしら?」


 ヘルメットを付けたおじさんがうーんっと唸った。


 「一ヶ月くらいかなあ。前壊れた時はそのくらいだったからね。」

 「一ヶ月!?」


 サンクが僕を片手で抱き上げて言った。前も壊れた事があるんだねー。


 「一ヶ月もかかったらその間に見つか……んふん。もとい、そんなに長くは居られないの。なんとか早くならないかしら?」

 「それは無理ってものだよ、貴婦人。我々だって休まなければならないからね。人手が増えるならまだしも、この人数でもっと工期を短くしたらみんな過労死で死んじまいますよ。」


 サンクがうーっとうなった。


 「なら、はあっ、はあっ……人手が、増えれば、いいんです、ね?」


 フューが死にかけの状態でやってきて、倒れつつ言った。よわよわじゃん……。あ、でも、確かに僕もたぬき姿じゃなかったら割と息切れするかもだし。心配しておこう。大丈夫ー?


 「まあ、そういうことになるねえ。」

 「それなら、はあっ……自分達も、はあっ……手伝うという、のは、はあっ……どうでしょう?」


 えっ。それ僕のアイデア。


 「何を勝手に言ってるんだよ!バイト(働く)って大変なんだぞ!」


 ジュンがぽかりとフューを剣(鞘入り)で殴った。ジュンいつの間に。


 いや、あのね。それ僕の……アイデア……。

 フューが呼吸を整えながら言った。


 「ですが、そうでもしないと……はあっ…工事は終わらないでしょう?自分達は見つから……こほん。もといここに居られる内にフラウに挑み……はあっ…フラウを倒さなければいけないのですから。」


 そうだねえ、見つからない間にね……。ううう……。


 「でもそれは私(おじさん)の一存で決められるものではないからなあ。普通の住宅の改装ならまだしも、この神殿は特別な工程をふまなきゃならんし……。」

 「たぬう……。」


 ここは、有名なあのセリフの使いどころなのか?


 「たぬぬたぬたぬたぬぬ!たぬぬぬたぬぬぬぬ!」

 「わあ!?どうしたんだ、このたぬき。いきなり叫びだして……」

 「お願いします!急いでるんです!」


 サンクが有名なセリフを繰り返す……ことなく、頭を下げた。


 ヘルメットを着けたおじさんが、僕たちの気迫に呑まれて、言った。


 「わかった、分かったよ。今上の者に確認してくるから、ちょっと待ってなさい。」


 ヘルメットを着けたおじさんは、すたこらさっさと向かっていった。


 《クエストを受注しました。「今日からお前の名前は」》


 うーん。やっぱりあのセリフは効果があるんだなあ……。


 結局その日はヘルメットを着けたおじさんは帰ってこなくて、僕らは肩を落としつつ野宿をした。


 ……これは、見つかるとか見つからないとか関係なく、お金がないから……。


前壊れた時は、恋愛竜フラウは新たな住処を探してミファスムの土地に侵入したりしました。

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