怪物?
僕とジュンとフューは端っこによけた。
「……スキルスイッチ[超神聖結界]。」
フューが不安そうに僕ら三人の周りに結界を張った。サンクに言われたからだ。
サンク……。
「マジックオープン[プレデクテッド・アイ]!スキルスイッチ![身体強化]!」
(スキル[身体強化]
効果……自分の跳躍力、すばやさ、攻撃力、防御力を1.2倍にする。ただし、その他バフとは並行して使えない。
SP……20
取得条件……バフをかけられる(確率1%))
あ、いいな……。
でも1.2倍か……。ま、フューがいれば二倍にしてもらえるもんね。攻撃だけだけど。いいなあすばやさ。僕もすばしっこいたぬきになりたい。
サンクが駆け出した。
「マジックオープン[純白の礼拝堂]」
怪物がそう言う。
サンクの進路上に草でできた人形のようなものが立ちふさがった。サンク!危ない!
「たぬっ!?」
「だめです、らいうさん。」
僕は走りだそうとしたが、超神聖結界に阻まれた。くっ……なるほどこのためか!うううう…そんなに邪魔されたくないの?サンク……。
サンクはその人型のものが明確にジャックになる前にミファスムナイフでその人形の首をかき切った。人形は元の草になって、その草が霧になって消えた。
痛い……僕は思わず自分ののどを抑える。だって痛そうじゃん……僕話を聞いただけで感じちゃうタイプなんだよう……。それが目の前で切られているのを見るともなったら……!
サンクは次々に、草からできた人形を倒していく。
サンクのナイフ使いは、まるでその位置に人形の首が出現するのが分かっているみたいに正確で、丁寧だった。
だけど、全然、全然埒が明かない……舞う草と霧の中に、サンクの必死な顔が見えた。
このままじゃサンク負けちゃう……!
ふとスライス・ジャックの方を見た、なんだか彼の顔が虚ろになっているような気がした……この距離、いくらお目々つよつよの僕でも見えないだろうから、気のせい、だと思うけど。
「スキルスイッチ[ファイアボール]!」
「スキルスイッチ[ウォーターボール]。」
空中で2つの玉がぶつかり、弾けた。
あれ!?サンクは!?
「ねえジュンサンクがいない!」
「サンクなら敵の後ろだ!」
あっ!ホントだ!
「大きいモンスターは小回りがきかないからな。特にあのデカさじゃ……っな!?」
怪物はサンクめがけて後ろに倒れ込んだ。
ここまで衝撃波が来て、超神聖結界を保持中のフューが尻餅をついた。
サンク!
超神聖結界にヒビが入るほどの衝撃波だった。これがどの程度なのかっていうのは僕には分からないけど、やばいんじゃないだろうか……。
「フュー、結界に、ヒビ、入ってるけど、サンク、どー、どうなって」
「……[超神聖結界]は、アリオール……さんの攻撃を結界で受け続けて手に入れたスキルです。それにヒビを入れる位の攻撃ですし……サンクさんが防御系スキルを使用された所は、見たことがありません……」
明確な答えは貰えなかったけど、フューの顔でなんとなく分かった。
……そうだ、スマホ!
スマホで、パーティメンバーの状態を見れるはず!
パーティアプリを開いて……パーティ1を選択…それ以外無いけど!
「サンクは……残りHP1!」
「な!止むを得ません!支援します!」
「い、らないわ……わたしは…‥たしは……!」
声がすぐ近くで聞こえた。
サンクが、超神聖結界に背中を預けて倒れていた。
体中から霧が吹き出している。
フューが超神聖結界を解除した。サンクが後ろに倒れ……っと危ない!
「マジックオープン[たぬき変身]!てぃぬー!」
むぎゃあっ!
僕はサンクの下敷きになった。頭を打ったら大変だものね。うん。僕なら平気だよ。うん。うそ。中身でそう。
「そんなぼろぼろの状態じゃ無理だろ。いくぞ。」
「……えっ……何、するの……!」
ジュンがサンクをおひめさまだっこした。僕は人間に戻った。
「今の内にずらかりますよ。逃げるのも大事です。」
「僕の出番だね!スキルスイッチ[巨大化]!からのマジックオープン[たぬき変身]!」
だーーーっしゅううう!
「逃しませんよ。」
という声が聞こえた気がした。




