もやしの歌 by木隠来羽
「もやしもやもやもやし♪
もやしは萌やしと書けるんだよ♪
もやしに萌えを感じたよ♪
萌えっていうのは発芽させるって意味なのよ♪
すごく今暇だよ♪
(じゃんじゃん)
僕は~いま~先の~見えない~いいいい~♪
不安で~おし~つぶさ~れそう~うううう~♪
それは~さな~がら~もやし~栽培室~~♪
もやしもやもやもやし♪
もやしは栄養がいっぱいなんだよ♪
もやしにビタミンカリウムカルシウム……とかを感じたよ♪
でもカロリーは低めだよ♪
二番までできっちゃったよ♪
(じゃんじゃん)
だまさ~れた~ときづ~いたのは~ああああ~♪
実は~ここ~にいれ~られた~あとおおおお~♪
もやし~がた~べたい~もやし~もやしいいいいい!」
いいいいいっ……いいいいっ……いいいいっ……。
だれもいない石造りの……開放的な空間に……いいや、こう言ってしまおう。
はっきり言って地下牢に、僕の声が響く。
いや、あれだよ?ものすごい量のご飯を食べたわけじゃないんだよ?だから、そういうたぐいの罪で捕まってるわけじゃないはずなんだよ。
ハンバーグを一口食べて、そこからの記憶が、ない。
もうもやもやだよ。もやしもやもやもやしだよ。
あ。そういや僕って指名手配犯なんだっけ。
あー。そういう?そういう罪で捕まってるのか?
なるほどねえ。
ははーん。
……一つ二つ、罪が増えても……いやいやいやだめだよね!
ああ。
せめてこの床がマシュマロだったら良かったものを……食べれるし、寝れるし……。
……石模様のこんにゃくでしたとかいうオチはないかな?
そっから何時間が過ぎただろう?
時間感覚なんて分からない。腹時計は正確じゃないし。なにせずっとお腹が空いていて床をかじってるから。
「何してるの?馬鹿なの?」
久しぶりのような、懐かしいような、声が聞こえた。ぴちゅんっと、頭の浮遊感?ぼーっとしてる感?霧がかったような?甘ったるい匂いが鼻の奥に詰まってる感?みたいなのがすっと消えた。
僕は床をかじりつつ上に視線を上げた。
「相変わらず、キミはボクの想定の斜め上を行くよね。」
そこには、嘲笑混じりで僕を見下ろすアリオールが居た。




