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第六話:神様になんて、なれません!


「……あの、皆さん? そんなに畏まらないでください。僕はただの、ちょっとだけ(死ぬのが)得意なヒューマンなんですから!」

凛の必死の訴えも、助け出された獣人の子供たちには届きませんでした。

彼らにとって、数人がかりでも動かせなかった『呪いの石柱』を軽々と持ち上げ、凶悪な自警団を(恐怖で)卒倒させた凛の姿は、まさに降臨した救世主に他ならなかったのです。

「ああ、神様……。私たちの喉を潤し、鎖を断ち切ってくださった慈愛の神様……!」

「神様、どうか私たちの集落へ! 泥水しか出ない井戸を、どうかお救いください!」

子供たちは凛の足元にひれ伏し、ボロボロの小さな手で、彼の服の裾を大切そうに握りしめます。

「神様じゃないよぅ……。ねえ、紅からも何か言ってよ!」

凛が助けを求めると、隣に立つ紅は、ローブの隙間からスラリとした脚を覗かせ、凛をうっとりと見つめながら答えました。

「あるじ。彼らは正しいです。紅にとっても、あるじはこの世界の光……。いっそ、この村を更地にして、あるじのための神殿を建てましょうか? 爪の先ほども魔力を込めれば、すぐに終わりますが」

「物騒なこと言わないで! 却下、絶対却下だよ!」

凛の「無自覚」な聖域

結局、凛は断りきれず、獣人たちが隠れ住む荒れ果てた集落へと案内されることになりました。

そこは、呪われた大地のせいで作物は枯れ、井戸からは泥水しか湧かない絶望的な場所でした。

「神様、どうか、この枯れた大地に慈悲を……」

村長らしき老いた獣人が、震える声で懇願します。

「うーん……神様じゃないから奇跡は起こせないけど。泥水じゃ困るよね。……よし、ちょっとだけ井戸を掃除してみるよ」

凛は「自分にできる精一杯」として、井戸の中に手を差し入れました。

(どうか、みんなが綺麗な水を飲めますように。僕の命を少し分けてもいいから……!)

そんな凛の謙虚な願いが、『レベル無限』の魔力と混ざり合い、とんでもない現象を引き起こします。

ドォォォォォン!!

「わわっ!?」

井戸の底から、清らかな水どころか、黄金色に輝く**『超高濃度聖水エリクサー』**が噴水のように噴き上がりました。

さらには、凛が地面に手をついた瞬間、彼の手の甲にある『無限の刻印』から溢れた生命力が、周囲数キロメートルの荒地を、一瞬にして四季折々の果実が実る楽園へと変貌させたのです。

「……あ、あれ? ちょっと掘りすぎちゃったかな?」

「おおお……っ! 砂漠が緑に、泥水が聖なる雫に! やはり神様だ! 慈愛の神、凛様だあああ!」

獣人たちは涙を流し、凛に向かって一斉に五体投地を始めました。

村中に、凛を讃える歌が響き渡ります。

女神の独り言

「……凛。あなたが今やったのは、地質学の崩壊と、神話級の奇跡です。あのお水、一杯飲むだけで不老長寿になりますよ。……もう、あなたの『ちょっとだけ』は、世界にとっては『天地創造』なんですよ……」

「違うんです、これはたまたま運が良かっただけで……! 紅、なんとかして!」

「流石はあるじ。では、今日からここを『凛帝国』の首都と定めましょう」

「話が大きすぎるよ!!」

凛が「自分はただの弱い人間だ」と証明しようとすればするほど、周囲の信仰心は爆上がりしていくのでした。

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