第二十話:神域のティータイム、そして衝撃の告白
天界の神々も交えた賑やかな祝宴。黄金の麦が揺れる菜園で、最高級の神酒(と、凛が丹精込めて煮込んだジャガイモ)に酔いしれた女神の一人が、頬を赤らめながら身を乗り出しました。
「それにしても凛様、紅様……。これほどまでに睦まじく、魂まで結ばれたお二人ですもの。……まだ、**可愛らしい『お子様』**はいらっしゃらないのですか?」
その問いに、会場が一気に静まり返りました。
神々も、老兵も、そして聞き耳を立てていた勇者レオンや聖女クラリスまでもが、固唾を呑んで二人の反応を見守ります。
「お、おこ……っ!? お、お子様、ですと!?」
さきほどまで凛の腕の中で幸せそうにしていた紅が、一瞬で茹で上がったタコのように真っ赤になりました。大人の女性へと成長し、女神の品格を纏った彼女でしたが、この話題にはまだ耐性がなかったようです。
「あ、あるじ……。紅は、その……凛様との結晶であれば、どんなに、どんなに望ましいことか……!」
紅は潤んだ瞳で、縋るように凛を見つめました。
凛の「正直すぎる」爆弾発言
神々の期待、紅の熱い視線、そして会場全体の好奇心。
その中心に立たされた凛は、至って真面目な、どこまでも透き通った瞳で……とんでもないことを口にしました。
「……えーっと。実は僕……。こう見えて、まだ『童貞』なんです。」
……シーン。
「……え?」
「……は?」
神々の持っていた杯が床に落ち、聖女クラリスは泡を吹いて倒れ、勇者レオンは飲んでいた神酒を豪快に吹き出しました。
「な……『無限(\infty)』の魔力を持ち、魔界を楽園に変え、ドラゴンの女王を妻にし、神々に愛される唯一神(認定)の凛様が……ま、まだ、未経験……だと!?」
神々が驚愕するのも無理はありません。彼の放つフェロモンと慈愛は、立っているだけで全種族を魅了するレベルだったのですから。
「正直すぎるわ、あるじ……! でも、そんな汚れなきところも素敵……!!」
紅は恥ずかしさの限界を超え、もはや悶え転がっています。
凛の「男」としての問いかけ
しかし、凛は冗談で言ったのではありませんでした。
彼は紅の肩を優しく抱き寄せ、彼女の瞳を真っ直ぐに見つめました。その表情は、いつもの「天然な少年」ではなく、愛する女性の未来を真剣に考える「一人の男」のそれでした。
「紅。……僕は、君がいてくれるだけで幸せだ。でも、君がもし、僕との子供が欲しいって思ってくれるなら……。僕、君と一緒に、新しい家族を迎えたいと思うんだ。」
凛の声は、震えていましたが、力強い決意に満ちていました。
「……紅、僕たちの子供、欲しいかい?」
「……っ!!」
紅の目から、昨日とは違う、歓喜の涙が溢れ出しました。
「はい……! はい、凛様! 紅は、凛様のお子を……世界で一番、愛される子を、この手で抱きたいですわ……!」
二人の想いが再び重なった瞬間。
凛の「無限(\infty)×無限(\infty)」の魔力が、二人の誓いに呼応して、黄金の光の柱となって天高く突き抜けました。
女神の独り言
「凛……。なんて清々しい告白でしょう。全宇宙がひっくり返るような暴露でしたが、あなたのその誠実さが、紅さんの魂をさらに上の次元へと導きましたね。……これで、次に生まれてくるお子様は、一体どれほどの権能を持ってしまうのか。女神(私)も、ベビー服を編む準備をしておかねばなりませんね。」
「……よし! じゃあ紅、これからもっと仲良くなろうね!」
「はい、凛様。手加減……はいりませんわ。紅の全てで、受け止めます」
「(……あの、皆さん? 私たち、まだここにいるんですけど……)」
神々も老兵も、あまりの「ご馳走様」な空間に、そっと席を外してあげるのでした。




