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第十七話:聖なる夜の、契りと目覚め


あの月明かりの下の口づけ。

それは、凛が想像していたような「ただの仲良しの印」ではありませんでした。ドラゴンの「魂の契約」は、互いの魔力と生命力を根源から結びつける、不可逆的な儀式だったのです。

「……あ、あるじ。紅の体が……熱いのです……」

紅の唇から流れ込んだ、純粋で強大な竜の魔力。それが凛の『無限』の魔力炉に触れた瞬間、爆発的な化学反応が起きました。

「紅……!? 大丈夫、僕が……!」

凛は慌てて紅を抱き寄せました。

その瞬間、二人の周囲に、物理法則を無視した黄金の結界が展開されました。

外界から完全に遮断された、二人だけの聖域。

凛の胸の中で、紅の体が眩い光に包まれます。

彼女の体内で、ドラゴンの因子が凛の『無限』の生命力を受けて、数万年分の進化を一瞬で遂げようとしていました。

「……凛、様。紅を、……紅を、独りにしないでください……」

紅の、熱っぽく、そして初めて向ける「女」としての瞳。

その瞳に見つめられた瞬間、凛の中で、何かが弾けました。

(……僕は、ただの弱い人間だって思ってた。でも、紅は僕を『主』として、……『男』として選んでくれたんだ)

凛は、生まれて初めて、自分の中に灯った「異性への意識的な感情」に気づきました。

それは、家族への愛よりも、もっと熱く、もっと独占的で、……もっと責任あるものでした。

(紅を、守りたい。……この子の、全てを受け入れたい)

「……ああ。紅、絶対に独りにしない。僕が、一生、君を離さない」

凛は、紅の濡れた唇に、今度は自分から、静かに、そして深く、唇を重ねました。

――それは、神と竜が交わす、天地創造の契り。

二人の魔力が完全に一つに溶け合い、結界の中には、この世の終わりのような、そして始まりのような、圧倒的な光が溢れました。

夜明けの「奇跡(魔改造)」

翌朝。黄金の結界が静かに霧散しました。

そこに立っていたのは……。

「……おはようございます、凛様」

凛は、自分の隣に横たわる「絶世の美女」を見て、心臓が止まるかと思いました。

そこには、もはや幼い面影はありませんでした。

燃えるような紅い髪はさらにしなやかに腰まで伸び、その肌は雪のように白く、滑らか。

そして何より、ドラゴンの象徴であった頭の角も、腰の尻尾も、……全て消え失せていたのです。

紅は、凛の魔力と完全に融合したことで、ドラゴンの力を内包したまま、完璧な「ヒューマン型」の成人女性へと、一晩で成長を遂げたのでした。

「……べ、紅……? なんで、なんでそんなに大きくなっちゃったの!? しかも、角も尻尾もない……!」

「ふふ、凛様。紅の全ては、昨夜、凛様のものとなりましたわ。……凛様の愛(魔力)が、紅をこのように、凛様と同じ姿へと変えてくださったのです」

紅は、生まれたての女神のような姿で、凛に優しく微笑みかけました。

その声は、以前よりもずっと大人びて、艶っぽく、凛の心を激しく揺さぶります。

「……そ、そうなんだ。……えーっと、紅。すごく、綺麗だね」

凛は顔を真っ赤にしながら、大人の女性となった紅を、改めて意識してしまいました。

(女神様……。僕、とんでもないことをしちゃった気がします。でも、……後悔はしていません)

凛の「さらなる最強」への覚醒

そして、凛自身にも、とんでもない変化が起きていました。

「……おや? なんだか、体がすごく軽いな」

凛が起き上がろうと、ベッドの柵に軽く手をかけました。

パリンッッ!!! ガシャァァァン!!!

ダイヤモンドでできた宮殿の壁が、凛が触れた衝撃(の余波)だけで、音を立てて粉砕され、宮殿の半分が瓦礫の山へと変わりました。

「……ひ、ひえぇぇ!? 壁が、壁がまた壊れたぁぁ!!」

凛は気づきません。

紅との契りにより、ドラゴンの『剛力』と『不滅』の属性が、凛の『無限』の魔力と完全に融合。

彼の魔力レベルは、もはや女神ですら観測不可能な**『無限∞×無限∞』**へと、さらなる次元上昇を遂げていたのです。

その頃、壁の向こう(瓦礫の中)では……

「……ギギギギギッ……!!」

瓦礫の中から、ボロボロになりながらも立ち上がる聖女クラリスの姿がありました。

「……あ、あの女……! 凛様と結ばれるだけでなく、角と尻尾まで捨てて……完璧な『正妻』の座を狙うつもりね……! 許さない、許さないわよぉぉ!!(聖典が爆発)」

「(……俺、もう異世界に逃げてもいいかな……)」

勇者レオンは、瓦礫の中で白目を剥きながら、終わりのない修羅場の始まりを確信していました。

女神の独り言

「凛……。あなたが『男の責任』を果たした結果、世界の物理法則がバグを起こしましたよ。あなたのデコピン一つで、この大陸が宇宙の彼方へ吹き飛びかねません。……あ、でも、大人の女性になった紅さんは、本当に綺麗ですね。女神(私)も少しだけ、嫉妬してしまいそうですわ」

「凛様。紅は、これからもずっと、貴方の隣におりますわ」

「……ああ。紅、よろしくね」

凛と紅。魂で結ばれた二人の「最強無自覚ライフ」は、新たなる、そして最も騒がしい第ニ章へと突入するのでした。

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