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転生したら冒険者1年目で国最強になってました~社会人1年目の一般人が世界を救うまでの話~  作者: 秋枝葉
カルカス国編

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第33話 二つ名

箸休め的なエピソードです。のほほんとした雰囲気は書いていて楽しいですね。

「ふふっ。それは災難だったな。しかし、私も叙勲式に参列してシュウの晴れ姿をみたかったものだ。」


 僕は今、オルレアさんとともに医務局の一室にいる。

 オルレアさんはクリスたちを救うため全力で駆けつけてアースドラゴンと戦ったらしい。その功績が認められて軍部勲章が贈られたのだが、アースドラゴンとの戦闘で限界を超えて戦ったため医務局で療養中なのである。

 そのため僕は、お見舞いついでに半強制的に受諾させられた叙勲式の愚痴を聞いてもらっていたのだ。


「闘気を操る人も魔力欠乏症になるなんて初めて知りました。」


「あぁ、私もだ。元を辿れば同じ生命エネルギーを使っているのだから、そうなってもおかしくはないのだが、ここまで衰弱することは今までなかったからな。」


 魔力も闘気も生命エネルギーを変換させて力の源にしているが、魔力を魔法に変換する際の効率は闘気を扱う際に比べると頗る悪い。そのため、生命エネルギーを使い過ぎて倒れてしまう魔導師はそこそこいる。

 なので、生命エネルギーを限界まで絞り出した状態を『魔力欠乏症』と命名しているのだ。

 闘気の活用効率を考えると倒れるまで使い切るものは稀なので、今回オルレアさんが倒れたこともちょっとした騒ぎとなった。しかし、違う視点で考えるとそれほどまでに限界を超えた戦いであり、主君のために命を燃やし戦ったともいえる。生命エネルギーを絞り切る、ということは死に直結するからだ。


 それを考えれば勲章くらいでは割に合っていないのだが、オルレアさんが気にする素振りはなかった。


「魔力欠乏症は魔法では治せないからな。地道に体力が回復するのを待つしかないだろう。」


「そうですね。今はゆっくり休んでください。

 あ、そうだ。オルレアさん、これ僕の師匠のレシピで作った魔力欠乏症に聞く飲み薬です。薬って言いましたが、ただの薬草を煎じただけで副作用なども一切ないので気持ち悪くなければ飲んでみてください。」


「ありがとう。その気持ちと一緒に受け取っておくよ。あとで飲んでみるとしよう。

 そういえば、シュウ。、二つ名は貰ったのか。」


「はい。バッジをもらう際に言い渡されました。『飛竜狩り』と言うらしいです。」


「ルストですでに流行っていた名か。ワイバーンだけでなく火竜をも倒したとなれば当然だな。私はてっきり『龍の天敵』なのかと思っていたぞ。」


「そんな二つ名もらっても嬉しくありません…。そういえばルスト辺境伯が英雄の称号を受けた者は二つ名が付く、とおっしゃっていたんですが、オルレアさんも二つ名があるんですか?」


「あぁ、あるぞ。私の場合は『紅騎士』だな。英雄バッジにも書かれている。」


 そう言うとオルレアさんはいつもマントに付けているバッジを見せてくれる。確かにバッジの裏面に記載があった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 紅騎士 オルレア

 ここに英雄を称え称号を与える

 ーーーーーーーーーーーーーーーー


「表面にある盾と剣を重ねた紋は勇猛の証として知られる英雄紋だ。その裏に所有者の名前が書かれているだろう。」


 僕も自分のバッジに同じような内容が書かれているのを眺める。


「へぇ。落としたら誰が失くしたのかすぐにわかっちゃいますね。」


「ふふっ。シュウはやはり面白い男だな。普通はそんなこと気にしないぞ。」


「そうでしょうか…。あ、ということはダラスにも二つ名があるんですか?」


「それはもちろんだ。本人はあまり気に入っていないようだったがな。」


「へぇ…。で、何て言うんですか?」


 僕は食い入るようにオルレアさんに詰め寄る。その興味津々な僕の姿に若干引きつつ、オルレアさんは思案顔で呟く。


「本人がいないところで言うというのもな…。まぁ別に変な名前でもないわけだし、問題ないか。」


 言い訳をブツブツ言いながらオルレアさんは一人納得していく。


「ま、バレたところでどうと言うこともないだろう。そうだな、ダラスの二つ名だったな。アイツの二つ名は……。」


 と、そこまでオルレアさんが言ったところで誰かが入ってきた。


「おう!オルレア、体の調子はどうだ!飯は食っているのか!」


 入ってきたのはアッガスであった。壊してしまうのではないか、というほど勢いよく開けられたドアは何とか崩壊を踏みとどまっていた。折角ダラスの弱み……いやいや、二つ名が聞けるところだったのに。


「アッガス殿、毎日来ていただかなくてもよろしいですのに。それにお陰様で回復には向かっています。あと二、三日もすれば退院できそうです。」


「そうかそうか!そいつはよかったな!お前が倒れたのはあの場に駆けつけるのが遅れた俺のせいだ。俺のせいで寝込んでいるお前を見舞って何が悪いってんだ!とりあえずお前の好きなスウィーツだ!コイツで早いところ元気になれ!」


 アッガスは僕がお願いしてアルスカイン特別侯爵と左大臣を避難してもらっていたのだから、クリス達がやられる前に駆けつけられたのは毟ろ速かったと言える。それでも悔いているのは、あの状況を作り出すまでに至ってしまった自身の不甲斐なさと恥じているためだろう。

 それにしても毎日お見舞いとスウィーツの差し入れをしてるなんて案外細やかな気配りもできるんだな、この人。


「アッガス殿……。毎日毎日スウィーツを持ってこられても太ってしまいます!こちらは運動も碌にさせてもらえないんですよ!?」


 オルレアさん……。口調は怒っていますが、あなたの綺麗な緑の瞳が輝いてますよ。両手がくださいと前に出ていますよ。…口と両腕が無意識にスウィーツを運んでいますよ。


「はっはっは!そいつはすまなかったな!じゃあ明日はスムージーにでもするか!」


 女子力高めか!この筋肉だるまは!


「おう!シュウ、お前も一つ食え。俺のギルドで登録したからにはお前も俺のギルドメンバーなんだからな!」


「…ありがとうございます。そういえばアッガスさんはプラチナ冒険者なんですよね?」


「そうだな。俺は生活のために魔物を狩りまくっていただけだから、他所が勝手に昇格だの何だのと言いだしただけだがな。」


「じゃあ名誉貴族でもあるんですよね。冒険者ギルドって貴族でも作れるんですか?」


「あぁ、そいつは問題ないな。そもそも冒険者ってのは身分など関係ない職種だ。そいつが路上暮らしの貧民だろうが、どっかの公爵家のお貴族様だろうが皆平等ってわけだ。それに俺は名誉貴族の資格はあっても爵位は持ってねぇ。爵位なんかよりもギルドの立ち上げ資金をよこせ、とルスト様へ脅迫したからな!はっはっは!!」


 いや、笑い話にしていいんですか、それ……。叙爵拒否に辺境伯への脅しって大罪級のことしてませんか?


「そういえば、お前もプラチナランクに昇格する予定だったな。嫌々許諾させたとルスト様が言っていたぞ。まぁ、面倒だったら王国の奴ら叩きのめして帰ってくりゃいいじゃねぇか。」


「アッガス殿、そのようなことは言うものではありません!」


「ん!?いいじゃねぇか!こいつにはその実力がある!この国だけでなく、こいつはこの大陸一強いぞ!そんな奴が機嫌を損ねればどうなるか、見せつけてやったほうが互いのためってもんだろう!」


「発言は兎も角、アッガス殿でもシュウには敵わないとおっしゃいますか。」


「あぁ、そこそこ良い勝負はできるかもしれねぇがな。こいつはまだ俺たちに表面上の能力しか見せちゃいねぇ。こいつが底力を出すときは悪魔どころか魔王クラスが出てきたときだろうよ。」


「え?魔王って一人じゃないんですか!?」


 寝耳に水な話を急にしないでほしい…。ゲーム知識に当てはめて考えていたからてっきり一人を叩けば終わるんだと思ってた。まさか魔王が複数いるとは…。っていうか、『魔王討伐も言っちゃえば楽勝ってもんです』なんてよく言えたな、あのガイド!先にそういう大事なことを教えておいてほしい。


「なんだ、そんなことも聞いてなかったのか?魔王は悪魔を従えるものの総称だ。古文書も含めて考えられている悪魔の種族は四種族。その四種族それぞれに束ねる長がいるって話だ。そのため、それぞれの種族に倣って『獣王』『龍王』『妖王』『鬼王』ってのがいるらしい。」


「初めて聞きました…。けど、魔王はまだ目覚めていないって話じゃないですか。実際、どこにいるんですか?」


「そいつは知らん!」


 …。この人、本当に僕のことをサポートできるのかな…。


「悪魔どころか、その眷属と言われている魔物にも苦戦する私には何もできないな…。」


「そんなことはねぇぞ、オルレア。俺が駆けつける寸前で見せたお前の闘気は確かに俺に迫るものがあった。種族差を考えてもドワーフ種の俺とお前じゃ根本が違うが、決して純血種が優位なわけでもない。体が本調子になったら闘気の操り方のコツを教えてやる。こういうのは良い感覚が残っているうちに反芻して体に馴染ませるべきだ。そうすりゃアースドラゴンくらいお前一人で倒せるようになる。」


「ありがとうございます!よろしくお願いします!」


 少し落ち込んでいたオルレアさんの表情がパッと明るくなるとともに声にも張りが出たような気がする。

 アースドラゴンを仕留めきれなかったことが心に引っかかっていたのだろう。悩みの解決策を見いだせたことに喜んでいるようで、笑顔のオルレアさんはやっぱり素敵であった。


「そういえば、お前らは何の話をしていたんだ?」


「あ!ダラスの二つ名!」


「あ、あぁ。そうだな……。やはり、この場で私から伝えるのは遠慮しておこう。知りたければ本人から聞くといいだろう。」


「えぇ!?……。アッガスさん?」


「あーいや、これに関しちゃ俺もダラスに断りなく広める真似はしないと約束したからな。気になるんなら本人と直接話すんだな。」


 まさかの律儀!帰ったらガジかチョボにこっそり聞こう……。


「二つ名と言えばプラチナランクの冒険者にも二つ名が与えられているはずだ。」


「へぇ。それじゃあアッガスさんにも二つ名があるんですね。なんて言うんですか?」


「俺か?俺の二つ名は『墓堀』だ。」


 ……。この世界のお偉いさんはネーミングセンスを疑った方が良いかもしれない。

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