第13話 再・第一村人発見!
ようやく始まった感…
【エクロキア大陸 南東】
ここエクロキア大陸の東一帯には不帰の森と呼ばれる森が存在する。名前の由来は文字通り、森に入って帰ってきたものがいないという逸話があるからだ。その逸話から不帰の森は忌み嫌われる場所でもあった。
できる限り近寄りたくない。それがこの大陸に住むものの総意である。そのため森周辺に集落などはなく、街道ももちろんないため一面草原が広がるばかりである。
「なんでこんなところで待ってなくちゃいけないんですかね。」
「仕方ないだろ。リーダーがリトルボアを追ってどっかいっちまったんだから。」
そんな人が寄り付かない場所で二人が立ち話をしている。
一人は胸当てやすね当てなどの軽装備をしており、腰には剣を佩いている。もう一方は、目立たない色の服と腰丈のポンチョのようなマントを纏っており、身軽そうな風貌をしていた。この世界の人間が見たらすぐに二人が冒険者であると理解することができただろう。
「しかし、リトルボアなんてもっと山岳地帯に出るような魔物だろ?この辺りに出てくるってことは、やっぱりあの噂は本当だったのかね。」
「魔王がついに復活したってやつですか?そんな音も葉もない噂を信じるなんて兄貴も意外とミーハーなんですね。」
マント姿の冒険者が軽装備の剣士を馬鹿にする目で笑う。
「バカ!別に信じてるってわけでもないが、こういう噂には尾ヒレがついて広まるもんだ。尾ヒレがつくってことは根っこにはその元の真実が隠されてるってことだろう?それが魔王でなくても悪魔が暗躍してるってことだったら事じゃねーか。用心しておいてもいいだろうが。」
「はっ、それこそ無駄ってもんですよ。悪魔が暗躍ったって誰もその姿を見てないんですからどこにいるかも分からないじゃないですか。見えない存在のために寝る間も惜しんで警戒するなんてあっしはごめんですよ。それに悪魔が現れたところで兄貴は悪魔に勝てるんですか?」
マント姿の冒険者がそう言うと剣士はくぐもった声で反論に出る。
「いや…それは…会ったら逃げて仲間に知らせる。
人数集めて迎撃の準備をすればいくら悪魔でも襲ってなんて来れないだろ?」
「すんごい他力本願な気がしますが…。
まぁ運よく逃げ延びれたらそうしますかね。そのときは兄貴が囮になってくださいよ。」
「な、なんで俺が囮なんだよ!そういうのは身軽なお前の仕事だろうが!」
「いやいや、足の遅い兄貴じゃ逃げ延びるなんて無理ですよ。可能性の話をするならあっしが逃げてみんなに知らせるほうが現実的です。それにほら、こんな話をしてたら案外森のほうからひょっこり悪魔が現れるかもしれませんよ。」
マント姿の冒険者は明らかに話半分も信じている様子はなく揶揄うように森の方へ目線を向ける。
するとすぐに固まって目を逸らすことができなくなった。
「あ、あ、あぁ…アニキ……兄貴!あ、あれ。あれ!」
「なんだよ。また馬鹿にする気だろ?その手には乗らないっての。」
「い、いや、いやいや!いいからあれ、あれ!」
あまりの語彙力の無さに『随分迫真の演技をするもんだ』などと考えながらマント姿が指差すほうを向く。すると剣士ももれなく口をあんぐりと開けて固まってしまうのだった。
「…………ひ、ひと……?」
普段は誰も寄り付かない草原であるが珍しいことに一人黙々と草原を歩く人間がいた。
その青年は雨風を防ぐためのローブを羽織っており、旅人が良く使うような鞄を肩に担いでいる。見た目からして旅人であることは間違いない。
間違いはないのだが一つ不思議なことがあった。それは旅人がきた方角だ。なんと旅人は森のほうからやってきたのである。
「あ、あ、あ、あく、あく………」
「…………で、ででででで……」
「「出たあああああぁぁぁ!!」」
今回短いので、いきなりですが2:00amに次回【第14話 冒険者】を連続投稿します。




