アノマロカリス爺さん
そんな時だった
背後から声がした
声のした方へ俺達は振り向くと、そこには倒れた檻からなにかはい出る生物がいた
「エビのモンスターが出てきたわよ!?」
それは喋るエビのモンスターだった
「ふぅーやっと出られたわい」
「って儂は魔族ではない!ついでにエビじゃない!」
しかもあろうことにエビモンスターこと通称エビラは怒ってきた
なんかよくわからんが激おこぷんぷんだな
「・・・まいったなエビは嫌いなんだ」
俺はエビ料理好きじゃないんだよなぁ
またわけのわからないのが出てきた、いい加減疲れてきそうだ
「エビじゃ・・・」
「わかってるもう慣れた次から次へと、今度は何だ恐竜映画の劇中アニメに出てくるDNAのマスコットキャラクターみたいな見た目して」
怒るエビラを遮って話の続きを促すため質問を変えた
「アノマロカリスだろ?」
「その通り、わしはアノマロカリス爺だ」
「ちなみに儂は人間の言葉を話せるし太古から生きておる」
赤い体表にムカデのような平べったい体、頭部の長い触腕と丸い口で図鑑のアノマロカリスそっくりだ
ただ陸で生きて空中を浮いて言葉を話してる以外は
もう何が起きても大抵のことでは驚かなくなりそうだ
「ステファニー、アノマロカリス爺の声聞こえる?」
「え、ええ・・・私喋るアノマロカリス初めてみた」
「・・・同感だ」
俺もだよ
ていうか、このアノマロカリスは俺の能力で会話出来るんじゃなくて、素で会話できるのかよ
声帯もないのにどうやって?そもそもなんで陸で生きてんだよ
「こいつらは妻の三葉虫と子分のアンモナイトとメガネウラとアースロプレウラとディメロドンとティタノボア」
そして、求めてないのに自分の妻と仲間を紹介してきた
図鑑でよく見る、空中を浮く三葉虫とアンモナイトと
なんかデカいトカゲと蛇とムカデがのしのし歩いて寄ってきたんだが・・・
恐竜だけじゃなくて古生代の生き物も生きてるのか
彼らは流石に言葉を発することはで出来ないだろうが
「儂はおヌシらに興味がある話を聞こう、おっと無料でとは言わん」
「見返りはこの世界の情報でどうじゃ?」
なるほどそういうことか
何億年かしらないが長生きしてるだけあって話が上手だ
俺は素直に関心した
この世界の情報を提供する代わりに、俺達の話も興味があると
「なるほど・・・悪くない、いいぞ座って話そう」
「それじゃさっそく、おヌシら異世界から来たとな」
俺はこれまでの経緯全てアノマロカリス爺に話した
「ふむ、長生きはしてみるもんじゃのう」
アノマロカリスは口のひげ?触腕?をさすった後
興味はまだ尽きぬといった目?で見てきた
「どれ助けてくれた恩返しに、少しばかりこの世界のこと案内してやろう」
「それに儂は近くのダイナソー共和国国王と知り合いでな、異世界の客人として国に保護してもらうのを進言してやろう」
「近くに城下町があるついてくるんじゃ、いっぺんに説明するのに都合が良いし言葉で言うより早う見た方が良い」
これは・・・俺達に都合のいい話ばかりだ
いやだからこそ・・・罠の可能性もある
しかし、考えてても先には進まないし、時間が惜しい
俺はアノマロカリス爺の提案に快く承諾した
「ふむではそうだな、クサカベと呼ばせてもらおう」
「じゃあ俺はアノマロカリス爺さんって呼ぶ」