表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/18

花吹雪の一人旅 

 若党の《和泉》は裏切り者、《花吹雪》と《月読》の首を持ち帰るため、まずは二人の足取りを探っていた。しかし、他国へ逃げ込んだらしく追うに追えない状況に悶々としていた。まぁ、武家の娘がここまで逃げてきただけでも評価に値すると、和泉は感心していた。

 

 しばらく砂浜に座り海を眺めていた和泉は決心したように立ち上がると、脇差を抜き丁髷をバサリと切り落としてしまったのだ。


 元々、妹のように接してきた花吹雪の首を持ち帰るなど、考えられなかったのだ。


「これからは一人の男。《泉水》として生きよう」


 何とも晴れ晴れした気分なのだ。元々堅苦しい武家屋敷の生活も戦いも好きでもない。自由に楽しく生きようと泉水は誓った。


 ◆


 いつものように花吹雪はテンが狩りをする様子を眺めている。少しだけ花吹雪はテンが好きなのだと理解している。テンも不老不死にするか悩んだが、花吹雪よりも強いテンを不老不死にするには問題が多すぎた。しかし、このままいけばテンは戦いに巻き込まれ死んでしまうかも知れない。そうでなくても老化していつかは死んでしうだろう。


 花吹雪が葛藤する中、テンは狩った豊楽鳥を手に満面の笑みで近づいてくる。それにイラッとした花吹雪はテンのスネを蹴った。


「なんだよ? ハナ、今日は機嫌が悪いな」


 ギュッとテンに抱きつく花吹雪。やっぱりテンの事が好きなんだと……悔しいが認めざるを得ない。それでもテンを不老不死にすることはないときっぱりと諦めた。


「むーっ。女って何考えてるかわからん……」


 ◆


 その夜、花吹雪は一人村を出た。《広川》から《星の輝き》までの陸路を破壊しようと考えたのだ。毎日のようにテンと森の中を歩き回っている花吹雪は、方向の見分け方や歩き方など森に対する知識も増えている。それにマップも完全に機能している。迷うことはないだろう。


 ただ夜中に歩いたことはなく、何度も躓き転んでしまった。不老不死の体は簡単に修復するが、着物はそうはいかない。なので森の入り口で着物を脱ぎ全裸になっていた。


 月明かりの下、枝や棘が容赦なく肌を傷つける。不老不死であるが痛みはある。しかし、度重なる実験により痛みにも慣れている。


 また障害物はそれだけではない。毒を持った虫や蛇、草花……。それらも小さな花吹雪に襲いかかる。しかし、不老不死だけではなく、大量の解毒剤を飲んでいたため、体の自由が奪われることはなかった。


 不老不死になった瞬間を維持するのだから、解毒剤も効果を維持できないだろうと思っていたのだが、やはり飲食に関しては別の何かが作用しているようだ。


 さて、人が行き交うため地面が固められ道となった場所を見付けた花吹雪は、ここに至るまでに集めた毒の草花などをアイテムボックスから取り出す。そしてテンとの狩りの最中に作成していた肥料と水をばら撒き、辺り一面を毒地帯に変えることにした。


「と、その前に……」


 これまた大量の火薬を貯め込んでいた花吹雪は、固められた地面のアチラコチラに火薬で大穴を空けていく。その穴に強烈な毒を持つ水草を育てるつもりなのだ。


 たった一夜にして陸路が毒まみれになってしまったと報告を受けた《広川》の者は、妖怪の存在ではと、心底震え上がったという。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ