解除
多田野がたどり着いた機関室には大勢の人がいた。皆、機関室後方の爆弾らしきものを取り囲んで、明らかに上手くいってない様子だった
「し、司令。ご無事でしたか。自分は砲雷科の谷田部中尉であります。現在、解除に向け全力を尽くしております。」
谷田部と名乗った中尉をもちろん多田野は見知っていた。
彰子を見習って多田野の記憶した乗員名簿によれば谷田部は主に魚雷整備を担当する責任者だった。
「ご苦労さま。谷田部洋平中尉。大丈夫だ。こちらはジョセフ・アーイさん。爆弾の専門家だ。皆協力してくれ。」
「司令。自分の名前を覚えてくださってるのですか。」
「もちろんだ。中尉。魚雷整備の腕は一流らしいね。」
「ご期待に添えず申し訳ありません。工業製なら何とかなりますが、これは手製の爆弾で。」
谷田部は申し訳なさそうに俯いた。多田野には詳しいことは分からないが、軍で使われる爆発物とは違い、配線がかなり入り組んでいるように見えた。
「アーイさん。できるかな。」
多田野の言葉にジョセフは1分ほど爆弾を観察すると、無言のまま、頷き、指を2本立てた。
解除まで約20分と多田野は時計に目を落とす。そしてギリギリではあったが解除出来ないことはなかったと安堵する。
「後はアーイさんに任して、我々は神城艦長達を助けに行くよ。機関長。もし解除が上手くいかなかったら、あなたの判断で退艦命令を出してください。」
多田野は艦橋要員に次ぐ指揮順位を持つ機関長の上村に万が一の際の指示を託した。
「はっ。拝命致しました。お気をつけて。」
上村は敬礼して多田野達を送り出した。




