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「……分かりました。こちらとしても早く終わる事に問題はないので」
カシムが俺の行動を読み、巳神史郎に教えたのか。彼がカシムに時間の融通出来るかを頼んだのかは分からない。
先にいるのがバレた以上、時間を融通した方が、あちらの印象も良くはなるはずだ。
「感謝します。史郎様が到着するまで、もう少し時間が掛かります。地下のBARでお待ち頂きたく。端の席はキープされて貰っていますので」
先程、黒服がBARに向かったのは、席の予約をするため。
流石に貸し切りとまではいかなかったのか。それとも普通の客達に紛れるようにして、身を隠したかったのか。
BARで待機するのも、急遽出来た予定により、話を早く終わらせたいのかもしれない。
「別の場所に移動……するわけじゃないんですね。先程来たメイドはそのためかと」
俺がホテルにいる事を連絡するのは黒服であり、メイドが報告に来たとしても早すぎる。
彼女の車に巳神史郎が乗ってるわけでもない。
「我々もいるので、ここは比較的安全ではあります。別の場所を確保する方が時間を必要としてますので。BAR内に我々が踏み込む事もなく、史郎様と話をしてもらっても構いません」
確かにシティホテル以外の場所、俺がエルドラド大使館の来訪するのは厳しい。
身元、服装、中に入るだけで色々とチェックされる。時間通りに事が進むのも怪しく、直前にアポを取るのは無理だろう。
「アレに関しては、私達とは違います。史郎様に仕えているわけではありません」
黒服は彼女の事をアレ扱いしている。性別や年齢、人種のせいか。職種の違いもあるが、メイドが巳神史郎とは別の誰かに仕えているのもあるのか。
メイドが黒服に話し掛けた時の態度からしても、彼女に対する良い印象はなさそうだ。
ホテルの外で待機になってるのも、それが理由か。
「貴方も含め、史郎様の足を引っ張らないよう、迅速な解決を心掛けてください」
「……努力はする」
話を続けていく内に、黒服の態度的にこちらを……探偵を舐めている事が分かる。それとも、探偵に依頼する事自体、納得してないのかもしれないが……
そういう態度を取られる事には慣れてはいるが、黒服は気になる言葉を言った。『貴方も含め』と……
俺以外に誰かが今回の依頼に関わるという事だ。
それがメイドの彼女なのか。それとも彼女の主であるのか。
だとしても、巳神史郎に迷惑を掛ける事にはならないとは思うのだが……




