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「小鳥遊源自身が飛び降りたのは事実だね。屋上に行くのを見た生徒が結構いたらしいから。だからといって、別の生徒が一緒にいたわけでもないみたい」
誰れかが小鳥遊を追って、屋上には向かってない。飛び降りが発覚後、教師達が屋上を調べたらしいが、その時も誰もいなかったと。
「屋上は普段から開放されてるのか?」
「されてるみたいだよ」
小鳥遊が屋上に行った後、誰かが来たわけじゃない。ただし、彼よりも先に来て、待ち伏せしていた可能性はあるが……
「反対側の校舎から、小鳥遊が飛び降りたのを見た生徒がいるらしいけど、屋上に誰も立ってなかったってさ」
カシムは俺の考えを読んでるかのように言ってくる。
小鳥遊よりも先に屋上にいた人物がいたかどうか。
反対側から見たとしても、屋上全てが見えるわけじゃない。
「何時頃かも分かるのか?」
「昼休み時だね。屋上に誰もいなかったのも、冬なのが関係してると思うよ」
今は十二月。冬の屋上は肌寒く、そこで昼食をとる生徒なんて滅多にいないだろう。
「なるほど……なら、小鳥遊が屋上に行くのを目撃した……というのはどうなんだ? 彼は目立つような奴じゃなかったんだろ? 昼休みともなれば、飯を食べたり、友達と話したり、わざわざ彼に視線を向けるのか?」
彼は目立つようなタイプじゃないと書かれている。飛び降りをする時には目立つだろうが、屋上まで行く時に見られるだろうか。視界に入るぐらいはすると思うが……結構な人数が見ていたというのが気になる。
「目立つ行動をしてたからだね。生徒の一人が動画を流してたけど、すぐに消した……消すように言われたのかも」
その動画もカシムは手に入れ、俺に見せる。
「確かに……撮れたのも偶然みたいだが、大人しい感じじゃないのは分かる」
動画は生徒が教室でダンスを踊っている映像で、小鳥遊は偶然映ったに過ぎない。
ダンスをしている後ろ側、小鳥遊が廊下を走り去る姿。
誰かに追われているわけではなく、鬼気迫る勢いで急いでるわけでもない。
楽しげに笑っている。自殺するために屋上へ行く感じでは全くない。
逆に面白いイベントに向かう様子だと思ってしまう。
だからこそ、誰も止めないし、止められない。
いつもと印象が違えば、記憶に残るのも分かる気がする。
「警察はアッチ系も調べるみたいだけど、遺体からはそれらしきのは残ってなかったみたい。勿論、彼の部屋を調べても……ね」
カシムが言うアッチ系というのはドラッグだ。
仮想世界という新しい場所があっても、ドラッグに手を出す奴は存在する。
しかも、ネットで簡単に購入する事も可能。要は使い方次第では薬にも毒にもなるわけだ。




