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境界線  作者: Gan
21/33

ー7ー

「小鳥遊源自身が飛び降りたのは事実だね。屋上に行くのを見た生徒が結構いたらしいから。だからといって、別の生徒が一緒にいたわけでもないみたい」


 誰れかが小鳥遊を追って、屋上には向かってない。飛び降りが発覚後、教師達が屋上を調べたらしいが、その時も誰もいなかったと。


「屋上は普段から開放されてるのか?」


「されてるみたいだよ」


 小鳥遊が屋上に行った後、誰かが来たわけじゃない。ただし、彼よりも先に来て、待ち伏せしていた可能性はあるが……


「反対側の校舎から、小鳥遊が飛び降りたのを見た生徒がいるらしいけど、屋上に誰も立ってなかったってさ」


 カシムは俺の考えを読んでるかのように言ってくる。


 小鳥遊よりも先に屋上にいた人物がいたかどうか。


 反対側から見たとしても、屋上全てが見えるわけじゃない。


「何時頃かも分かるのか?」


「昼休み時だね。屋上に誰もいなかったのも、冬なのが関係してると思うよ」


 今は十二月。冬の屋上は肌寒く、そこで昼食をとる生徒なんて滅多にいないだろう。


「なるほど……なら、小鳥遊が屋上に行くのを目撃した……というのはどうなんだ? 彼は目立つような奴じゃなかったんだろ? 昼休みともなれば、飯を食べたり、友達と話したり、わざわざ彼に視線を向けるのか?」


 彼は目立つようなタイプじゃないと書かれている。飛び降りをする時には目立つだろうが、屋上まで行く時に見られるだろうか。視界に入るぐらいはすると思うが……結構な人数が見ていたというのが気になる。


「目立つ行動をしてたからだね。生徒の一人が動画を流してたけど、すぐに消した……消すように言われたのかも」


 その動画もカシムは手に入れ、俺に見せる。


「確かに……撮れたのも偶然みたいだが、大人しい感じじゃないのは分かる」


 動画は生徒が教室でダンスを踊っている映像で、小鳥遊は偶然映ったに過ぎない。


 ダンスをしている後ろ側、小鳥遊が廊下を走り去る姿。


 誰かに追われているわけではなく、鬼気迫る勢いで急いでるわけでもない。


 楽しげに笑っている。自殺するために屋上へ行く感じでは全くない。


 逆に面白いイベントに向かう様子だと思ってしまう。


 だからこそ、誰も止めないし、止められない。


 いつもと印象が違えば、記憶に残るのも分かる気がする。


「警察はアッチ系も調べるみたいだけど、遺体からはそれらしきのは残ってなかったみたい。勿論、彼の部屋を調べても……ね」


 カシムが言うアッチ系というのはドラッグだ。


 仮想世界という新しい場所があっても、ドラッグに手を出す奴は存在する。


 しかも、ネットで簡単に購入する事も可能。要は使い方次第では薬にも毒にもなるわけだ。

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