↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さき男の英雄譚  作者: 咲 潤
小さき男の騎士道
47/64

―47―

 何にせよ、対戦相手が誰になっても、俺はただ、優勝あるのみだ。


 そう強く心に刻みながら、空を見上げていると。


「お疲れ様……」


 レティが、遠慮がちだが心の籠った声をかけてくれる。


「ああ。ありがとう、レティ。リリー、マリウス、ゴッツも、応援ありがとうな!」


 そんなレティに先に礼を言って、三人にも礼を返すと、レティは頷いて笑顔を見せてくれた。


「「「おう!」」」


「明日もちゃんと応援してるからね!!」


 三人が声を揃え、最後にリリーが嬉しい一言を付け足す。


「えっ!?じゃあ、皆、今日はこっちに泊まれるのか!?」


「ったりめーだろ!」


「もう宿もとってあるし!」


「あ、アレだよ!あたし達、できるだけ大量に獲物を狩って帰りたいから、四・五日くらいはこっちで泊まろうって事になったのよ!」


 俺の質問に、最後にリリーがそれらしい理由を慌てて説明する。


 もうゴッツとマリウスのやり取りからも、薄々応援のために来てくれた事が解らないでもないのに、リリーは最後まで俺に気を使ってくれていた。


「あ、そうだ!ねえセグ、せっかく皆さんいらっしゃったんだから、今日はセグの家の庭でバーベキューなんてどう!?皆で明日の準決と決勝に向けて前勝会みたいに盛り上がろうよ!」


 レティの提案に、三人組も盛り上がって、一気に宴会ムードになった。


 帰りに店に寄って食材を買い集め、まだ明日があるからと酒は控え目に買った。


 家に帰って母のネルにバーベキューの話をすると、喜んで三人を迎え入れ、レティとリリーも手伝いながら女性陣は野菜を切る等の仕度が始まる。


 思いの外、リリーとネルも早々に打ち解け、レティと三人は楽しそうに下準備を進めていた。


「知らない間に、あの子にこんなに良い仲間が出来てるなんてね。母親としてはこれ以上無いくらい喜ばしい話だわ」


 ネルがそんな事を言いながら、玉葱の皮を剥いていた。


 そんな様子を庭先から見ながら、俺は笑みを溢して準備を進める。


 男性陣は庭で釜等の準備だ。


「おい、ゴッツ!釜がまだ組めてねーじゃねーか!」


「あ!?マリウス!オメーこそ、早く薪取ってこいよ!」


「どこ見て言ってんだ!?薪はもうそこに持ってきてるぜ!」


「あはは!二人はいつも通りだな!……鉄板はこのサイズで良いか?」


「ああ!カンペキだ!網もセットしたし、これで火を起こしたら準備完了だな!」


「「「お待たせーっ!!」」」


「食材の準備も完了だよ!」


「おっしゃ!んじゃあ、これから火を起こすから、もーちょい待っててくれ!」


「よろしくぅ!」


 欲を言えば、ゴッツ達以外にも旅を共にした仲間が居て、皆が集まれたら最高だったに違いないのだが、規律に厳しい騎兵団の団員や、町に一つしか無くなった治療院のヒーラー等、其々のやるべき事がある以上、無理には呼べない。


 むしろ、己のやるべき事があるのをそっちのけにして来られたら、それは逆に俺が嫌な気分になっていただろう。


 ゴッツ達三人が集まってくれただけでも見に余る幸せだ。


 そう心の底から感謝しつつ、薪に火が点いたのを見ながら飲み物をコップへ注ぐ。


「じゃあ、始めますか!?」


「皆、コップ持った!?」


「「持った!!」」「「大丈夫だよ!」」


「それじゃ、明日の決勝!セグが優勝することを祈って!」


「「「「「カンパーイ!!!」」」」」


 まだ夕方五時過ぎ。


 そんな風に始まった俺の前勝会は、三人組と俺の旅の思い出等の話を中心に盛り上がる。


 決勝全日の夜はまだまだこれからだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。