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何にせよ、対戦相手が誰になっても、俺はただ、優勝あるのみだ。
そう強く心に刻みながら、空を見上げていると。
「お疲れ様……」
レティが、遠慮がちだが心の籠った声をかけてくれる。
「ああ。ありがとう、レティ。リリー、マリウス、ゴッツも、応援ありがとうな!」
そんなレティに先に礼を言って、三人にも礼を返すと、レティは頷いて笑顔を見せてくれた。
「「「おう!」」」
「明日もちゃんと応援してるからね!!」
三人が声を揃え、最後にリリーが嬉しい一言を付け足す。
「えっ!?じゃあ、皆、今日はこっちに泊まれるのか!?」
「ったりめーだろ!」
「もう宿もとってあるし!」
「あ、アレだよ!あたし達、できるだけ大量に獲物を狩って帰りたいから、四・五日くらいはこっちで泊まろうって事になったのよ!」
俺の質問に、最後にリリーがそれらしい理由を慌てて説明する。
もうゴッツとマリウスのやり取りからも、薄々応援のために来てくれた事が解らないでもないのに、リリーは最後まで俺に気を使ってくれていた。
「あ、そうだ!ねえセグ、せっかく皆さんいらっしゃったんだから、今日はセグの家の庭でバーベキューなんてどう!?皆で明日の準決と決勝に向けて前勝会みたいに盛り上がろうよ!」
レティの提案に、三人組も盛り上がって、一気に宴会ムードになった。
帰りに店に寄って食材を買い集め、まだ明日があるからと酒は控え目に買った。
家に帰って母のネルにバーベキューの話をすると、喜んで三人を迎え入れ、レティとリリーも手伝いながら女性陣は野菜を切る等の仕度が始まる。
思いの外、リリーとネルも早々に打ち解け、レティと三人は楽しそうに下準備を進めていた。
「知らない間に、あの子にこんなに良い仲間が出来てるなんてね。母親としてはこれ以上無いくらい喜ばしい話だわ」
ネルがそんな事を言いながら、玉葱の皮を剥いていた。
そんな様子を庭先から見ながら、俺は笑みを溢して準備を進める。
男性陣は庭で釜等の準備だ。
「おい、ゴッツ!釜がまだ組めてねーじゃねーか!」
「あ!?マリウス!オメーこそ、早く薪取ってこいよ!」
「どこ見て言ってんだ!?薪はもうそこに持ってきてるぜ!」
「あはは!二人はいつも通りだな!……鉄板はこのサイズで良いか?」
「ああ!カンペキだ!網もセットしたし、これで火を起こしたら準備完了だな!」
「「「お待たせーっ!!」」」
「食材の準備も完了だよ!」
「おっしゃ!んじゃあ、これから火を起こすから、もーちょい待っててくれ!」
「よろしくぅ!」
欲を言えば、ゴッツ達以外にも旅を共にした仲間が居て、皆が集まれたら最高だったに違いないのだが、規律に厳しい騎兵団の団員や、町に一つしか無くなった治療院のヒーラー等、其々のやるべき事がある以上、無理には呼べない。
むしろ、己のやるべき事があるのをそっちのけにして来られたら、それは逆に俺が嫌な気分になっていただろう。
ゴッツ達三人が集まってくれただけでも見に余る幸せだ。
そう心の底から感謝しつつ、薪に火が点いたのを見ながら飲み物をコップへ注ぐ。
「じゃあ、始めますか!?」
「皆、コップ持った!?」
「「持った!!」」「「大丈夫だよ!」」
「それじゃ、明日の決勝!セグが優勝することを祈って!」
「「「「「カンパーイ!!!」」」」」
まだ夕方五時過ぎ。
そんな風に始まった俺の前勝会は、三人組と俺の旅の思い出等の話を中心に盛り上がる。
決勝全日の夜はまだまだこれからだった。




