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四つ目の甲羅を手に入れて、人数分の”盾“を得た俺は、サッサと皆の居る所まで念力を込めてダッシュした。
後ろを振り向くと、すぐそこの地面の砂が盛り上り、俺を追って来る!
流石、話には聞いていたが、逃げることさえ許さない敵は、念力を込めた走りも裕に追い付いて来れるらしい。
しかも、地中の音を拾って襲いかかるため、行く先で待ち構えているヤツも居て、時おり前方から飛び出してくるのだ!
「クソッ!オリャッ!」
何とか倒しながら、皆の姿を近くに視認した。
「セグ!大丈夫か!?」
「何だよお前!そんなの取ってきたのか!?」
「コラッ!セグ!指示を無視したら連携が乱れるでしょ!?」
合流する直前から、各々の言葉を浴びせられた!
「お待たせ!!皆に土産だ!」
そう言って其々に甲羅を投げた!
「どうすんだ!?コレ!?」
マリウスがワケわからない様子で俺に尋ねる!
「それを!盾に!使ってくれ!!何なら!叩き落としても良い!!ヤツラも!ソレは食えない!らしい!!」
俺が、息が上がって途切れ途切れに説明した!
「なるほど!!」
リリーが珍しくマリウスよりも先に気付く。
マリウスはゴッツのフォローで余裕が無かったから、共食いの様子を見ていなかったのだ。
「共食いしてたのにコレが残ってるって事は、そう言うことね!?」
「なんか知らんが、使ってみるか!!」
「おう!セグの案は頼りになるからな!!」
リリーも納得し、ゴッツやマリウスも早速甲羅を盾代わりに使い始めた!
「やべぇ!!こりゃ楽だわ!!」
「普通に売ってる金属の盾でも、ヤツラの体当たりでボロボロになるって聞いたから、盾なんか意味無いと思ってたが、そのヤツラ自身の甲羅なら、ヤツラにボロボロにされる事もねーわなぁ!!」
「これで、両手を別々に対処できるから、守りながら攻撃も同時にできるだろ?」
「ああ!完璧だ!」
気付けば、岩が所々に頭を覗かせている。
「もう一息、岩場まで行って一休みしよう!!それまで気を抜くな!!」
「ええ――――!」「おうっ――――!」「ああ――――!」
「「「――――任せとけっ!!」」」
俺の掛け声で三人が息ピッタリに答えた!
結局、皆が集まってしまったから、フランドゲイル達は後退している先からも先回りして飛びかかって来る!
俺達は四方八方から来るフランドゲイルを、それぞれで対処しながら岩場へ逃げ延びるのだった!
――――――
「……くう~っ!!キツいわ~!!」
水を飲んで一息つき、ゴッツの音を上げた声が岩場に響く。
岩場に到着してからも、数匹のフランドゲイルが岩の上にまで飛んできたが、避けて岩に転がせば足を使った移動は遅く、蹴飛ばしてひっくり返して難なく仕留める事ができた。
「あれ、冗談抜きで何匹居やがるんだ!?」
マリウスも、水を飲んでから疑問を投げ掛ける。
「確か、あたしが聞いた限りだと、ギルドに報告が上がってたのは数十匹だったと思うけど。……はい、水!」
リリーが、自分の水を飲みきってしまったゴッツに、新しい水袋を渡した。
「でも、見た感じだと数十匹じゃ利かないだろ。たぶん、二百くらい居るんじゃないか?」
俺も水を飲みきって、自分で水袋に術で水を補充しながら話に加わる。
「セグは法術にも長けてるのね。その年で、あり得ない程剣も強いし」
「ホントだよな!セグスゲェよ!一人で甲羅を取りに行った時は本気で驚いたぜ!」
リリーとゴッツが誉めてくれる。
「まあな。でも、そんな風に誉められると恥ずかしいもんだな」
「あはは!照れちゃった?」
リリーが悪戯な笑みを浮かべて俺を茶化した。
「まあでも、俺達は本気で心配したんだぜ?もうあんな勝手な事はすんなよ」
マリウスは落ち着いて俺を諭す。
「ああ、すまない。でも、これからは俺をもっと頼ってくれ。あんた達が俺を守ってくれる気持ちはすごくよく解ったけど、俺も、あんた達と同じ様にあんた達を守りたいと思ってる。あんた達が長年積み重ねた信頼を、昨日出会ったばかりの俺に寄せられないのはわかるけど、今回のこの戦いにおいては俺とあんた達は協力者同士だ。だから、お互い対等に守り合いながらやっていこう」
俺は、自分で言うのも何だが、こんなに長く他人に語ったのは親友のドワーフ以来だった。
なんだか、いつの間にかゴッツ達に感情移入されていて、もう他人の様には思えなかったのだ。
だから、思わず話す声にも力が入った。
「……わかった!俺はセグを頼りにしてるぜ!」
ゴッツがそう言ってくれる。
「……あたしも。あんな凄い剣術見せられちゃ、むしろあたし達の方が足手まといだしね!」
「認めざるを得ないな」
リリーは快く、マリウスはまだ何か引っ掛かる様だが、受け入れてくれた。
「いや、今だから言うけど、正直、俺は最初に会った時はあんた達を見くびっていた―――」
マリウスが眉間にシワを寄せるが、俺は尚も続けた。
「―――だけど、今、一緒に戦って、俺みたいにスピードバフがある訳でもないのにあれだけの戦いができるあんた達を、本気で心強いと思った。足手まといなんかじゃない。あんた達は、少なくとも俺がこれまで旅をしてきた中で、最高に頼れる人達だよ」
全てを言い切った時、マリウスの眉間のシワも弛み、三人は笑顔を俺に向けていた。
「じゃあ、ここからが本番ね!?これからは、セグも正式にあたし達のパーティとして、四人で力を合わせて、お互いに守り合いながら、アイツらを倒してやりましょ!!?」
「「「オォーッ!!!」」」
リリーの締めの言葉に、俺も含めて男三人が応えた!
ここからが本番だ!
一休みしたら、俺達は再びヤツらと戦いに行く!
俺は気合いを入れ直し、数十メートル先に広がる砂地を見詰めた。




