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フランドゲイルは、俺達四人でもう二十匹近く倒しているが、まだまだ沢山の姿が砂から飛び出てくる!
これまでのやり取りで、一旦岩場に戻ることになった俺達は、俺に続いてリリー、マリウス、最後にゴッツがほぼ一直線になって岩場まで下がり始めていた。
俺は、一応警戒はしているのだが、下がり初めてから今のところ一匹しか飛んでこない。
逆に、ゴッツの周りには一度に三から五匹が飛び掛かる!
それを、時にはマリウスがフォローに入りながら捌いていた!
ふと、倒してきたフランドゲイルを見やる。
すると、仲間だと言うのに、別のフランドゲイル達が群がり、死んだフランドゲイルを食い始めたのだった!
「うげぇっ!気色悪っ!!」
希に襲われながらも多少余裕のあるリリーが、俺と同じ様にフランドゲイルの共食いを目にしてそう吐いた。
俺も同感だが、自然界では弱肉強食だから、特にモンスターの共食いは何度か目にして来た。
リリーもそのはずだが、やはり見ていて気持ちの良いものではないから、俺も気を抜けば吐き気を催すかもしれない。
……気を抜けば……?
「……ハッ!?」
俺は咄嗟に前に走り出した!
フランドゲイルを警戒しながらの後退だったから、もちろん背にしていたのは岩場だったが、その岩場ではなくゴッツ達後続連中に向けて走ったのだ!
「あっ!セグ!?」
リリーの横をすり抜けて、声をかけられるも返さない!
「お、おい!セグ!!」
「バカッ!!アブねぇ!!」
マリウス、ゴッツも続けて抜き去り、大声を出して伝えた!
「皆はそのまま下がれ!!元々俺一人でやってたはずの仕事だ!!すぐ戻るから、隙があったら急いで逃げろ!!」
「そうは言っても……!!」
ゴッツがそう返す間にも、リリーがゴッツ達と並んでフランドゲイルの攻撃に足止めされる!
「本当に大丈夫だ!!その前に、皆気を抜くな!!」
そう言い返しながら、俺は襲い来るフランドゲイルを一刀に納め、次々に倒していく!
俺の動きを見たゴッツは。
「わーってるよ!!くそっ!セグも無理すんなよ!!」
そう返してきた。
ゴッツ達がフランドゲイルを複数相手にしていても、スピードバフもない体では敵の動きについていくのがやっとの事だった。
そして、その状態では三匹から五匹くらいのうちにやっと一匹倒せるかどうかで、大半は攻撃をかわして払って、また飛びかかられる事の繰り返しだ。
しかし、俺は違う。
スピードバフがあるがゆえに、一匹一匹確実に仕留められる。
「アイツ、本当に一人で全部倒すつもりだったんだな……」
などと、ゴッツが俺の事を皆に言っていたかは定かではないが、少なくとも、俺の戦力としての信用は跳ね上がったらしい。
体力的にキツいのは解っているから、ゴッツ達に伝えた言葉はウソではない。
本当にすぐに戻るつもりでいた。
しかし、こんな行動に出たのには三つの理由があった。
ひとつ目は、さっきのリリーの嗚咽だ。
嗚咽をする余裕を出していたと言うことは、本人の気付かないうちに気を抜いてしまっている可能性があった。
それを再び引き締めるための”変化“を与えたかったのだ。
それと、二つ目は、俺が客人扱いされている事だ。
俺は、これまでの闘いを見てきて、自分で言うのも何だがやはりあの三人よりは俺の方が強い。
なら、一番生存率が高いのは俺がシンガリを担うべきなのだ。
そして、三つ目は、フランドゲイルの共食いを見たときに気付いた事があった。
それは。
「よし!これで三つ目!!」
何でも喰らうフランドゲイルと言えども、同じフランドゲイルの強固な甲羅は何故か食わないと言うことだ。
ヤツらは一匹の獲物にも複数で食らい尽くす為、共食いしている時も食い尽くすのは一瞬だった。
そして、共食いを終えて残された甲羅が、俺にヒントをくれた。
「やっぱりだ!そんなに重くない!」
四つ目の甲羅を手に入れ、全て重ねて持ってみた感想が溢れる。
「……っと!!……食らえ!!」
感想を述べる合間にも、フランドゲイルは襲いかかる!
ゆっくり喋る間も与えてくれない!
「オラッ!!」
時にはフランドゲイルの甲羅で襲いかかるフランドゲイルを叩き落とす!
そして、地面に落ちた敵の腹をかっ捌いた!
四つ目の甲羅を手に入れて、人数分の”盾“を得た俺は、サッサと皆の居る所まで念力を込めてダッシュした。
後ろを振り向くと、すぐそこの地面の砂が盛り上り、俺を追って来る!
話には聞いていたが、逃げることさえ許さない敵は、念力を込めた走りにも、裕に追い付いて来れるらしい。
岩場に向かう、三人組の元まであと少し。
気を弛めずに、皆にちゃんと無事に追い付いて、これを届けよう。
そう思いながら、俺は剣舞を舞いながら岩場へ向かって走るのだった。




