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俺達は、岩場からゆっくりと歩き、かれこれ一時間近くが経った。
砂地に入って最初の頃は、所々に岩が砂の上に頭を浮かせていたのだが、岩場から二キロ程も離れた現在地では、前方が全て砂だらけの砂漠地帯となっていた。
「くあ~っ!こうもアチィと流石にこたえるなぁ!」
ガッツが、皆が久しく沈黙していたところへそんなことを言い放つ。
「ああ!アイツらエサが来たらすぐに飛びかかって来るかと思ったら、意外と来ねぇじゃねーか!」
マリウスも、しびれを切らした様に話始めた。
そして、二人が水袋を開けて水を飲もうとした時だった!
「ゴッツ!!足下!!」
リリーが叫んだ瞬間!
ザザァッ!!っと砂を飛び散らせて、黒い影が飛び出す!
「ハッ!わかってらぁ!」
ゴッツはソレをサッとかわし、水を溢しながらも袋の蓋を閉める!
刹那!
ギイィィンッ!!
ゴッツの後でマリウスがフランドゲイルの攻撃を剣で受けた!
「コイツら……!!」
「リリーッ!そっちにも居るぞ!!」
「ええ!」
ガキイィィンッ!!
キイィィンッ!
「集団で俺達を襲うために―――!!」
次々に飛び掛かるフランドゲイルを何とか剣で薙ぎ、払いながら、マリウスが続ける!
「―――仲間が集まるまで待ってやがったんだ!!」
「そう言うことか!!」
マリウスの分析に、ゴッツが理解を示した!
ガキィンッ!!
ガチッ!!
「どうやらッ!そうみたいだなッ!」
俺も納得しながら、飛び掛かるフランドゲイルを捌く!
しかし……!?
「……ってか!コイツら硬くない!?」
リリーが、数匹に剣を当てても切り裂けない状況に業を煮やす!
「ああ!硬ぇ!」
「こりゃマズイ!!一旦岩場に引き上げて、対策を練ろう!!」
ゴッツの相槌にマリウスが提言した!
「いや!コイツらの弱点は口だ!!」
「「「なにッ!!?」」」
俺の言葉に三人の驚きが重なる!
横広な体型に尻尾の先にもヘラが着いた、全体的に平たい生き物で、読者の為に説明をするなら、一言で言えばカブトガニの様な姿だった!
もっと正確には、上から見ると菱形の甲羅があるので、甲羅の形は左右にワタリガニの様な鋭い角がある!
その前方に、上下左右に開く口が有り、開いた瞬間の口から剣で切り込みを入れて、腹側を裂けば、フランドゲイルを倒す事ができた!
しかし、体型が丸いと言う情報は、誤報じゃないか!
前情報では、フランドゲイルは胴体が標準で直径五十センチ程度の円型に近い形で、そこに尻尾を入れて全長百センチを越えるとか聞いていた。
だが、実際には左右に角がある菱形で、横に避けた時に角を掠めただけでも服や身体を切られてしまう。
前情報より、実物は尚も厄介だった。
それでも、やると決めた以上、やるしかない!
「口だ!!甲羅は鋼の様に硬いが、口から切り込んで腹側を切り裂いてやれ!!」
俺は再び三人に指示を出す!
「ウソだろ!?」
「たった今、初めて見る敵の弱点を、しかもこの一瞬で見定めるとは……!!」
ゴッツとマリウスが俺の指示に驚きを隠せない!
「コラッ!驚いてる場合じゃない!!」
リリーが二人を注意して。
「「ヨッシャー!!やってやんぜ!!」」
男二人が見事にハモる!
実際、ゴッツ達三人組はまだ一匹も倒せてないが、俺の周りに二匹の残骸があったのも、彼らに信憑性を与えたのだろう。
「ウッシャー!オラァ!一匹目ぇ!!」
「ヤッターッ!あたしも一匹!!」
「ホントだ!セグ!流石だぜ!!」
三人組は、流石に剣の技術もあって、俺の指示で確実に一匹ずつ仕留めていった!
「説明だけで、それだけやれるあんたらも充分過ぎるくらい凄いよ!」
俺は三人にそう答えた!
「ハッハーっ!!いいぜ!もっと誉めてくれよ!」
調子に乗ってご機嫌なゴッツだが、リリーとマリウスは冷静だった。
「だけど、コイツら数が多すぎるわ!!やっぱり岩場に戻りながら仕留めよう!!」
「……だな!数で押されたら持久戦では俺達に分が悪い!!」
リリーの提案、マリウスの同調に、ゴッツは。
「わーった!!俺がケツ持つから、お前らから下がって行け!!」
「解ったわ!ゴッツ!無理はしないで!!」
「あたりめーよ!!」
リリーの決断に応じるゴッツ!
「じゃあ、セグ!マリウス!あなた達から下がって行って!!」
「いや!ゴッツが疲れたら俺が代わる!リリーが先に行け!!」
ここに来て珍しくマリウスがリリーの決断に意見した!
「でも……!!」
「『でも』も何も無い!リーダーは最後まで指示を出す責任を持て!!」
リリーが困る所を、マリウスは強い口調で言い放った!
「解ったわ!でも、セグは絶対にあたしより先に行って!あたし達が何としても守るから!!」
ここに来て、俺はまだお客様扱いをされている。
しかし、マリウスもゴッツも、リリーの言い分に異論は無い様だった。
これが三人の総意か。
「ああ!解った!!」
俺はそう答えながら、下がり始める。
どこか釈然としない気持ちを抱きながら―――




