75,Q大丈夫ですか?A大丈夫じゃないです…
朝です。
爽やかな朝です。
非常に眠いです。
祭り二日目の今日、コガネ君に「早く起きないと朝食を片付けるぞ」と脅されました。
コガネ君がひどい……
「うう……いつもは優しいのに……」
「主、何か言ったか?」
「ご飯美味しい」
「そうか」
そんなコガネ君は、いつもと何かが違う気がする。
なんだろな?いつもより私の反応を見ようとしているというかなんというか……
昨日の夜、1回起きたらコガネ君が部屋に居なかったのとか関係してたりするのかな?
……うーん……分からん……
「アオイちゃん、コガネ君、食べ終わったら着替えるぞー」
「はーい……って、レヨンさん綺麗!」
「ありがとう」
さっき部屋に引っ込んでいったレヨンさんが戻ってきた。
服がドレスっぽいものに変わっている。
ちなみにアシンメトリーである。
やっぱりアシンメトリーである。
そこは変わらないんだね。ポリシーなのかな?
「俺は食べ終わったぞ」
「じゃあ着替えて来て。服は昨日と同じだから」
「分かった」
昨日と同じ。それすなわちコガネ君のオールバックが再び見れるということか。やった。
「で、アオイちゃん。もういいなら片付けるけど?」
「食べます!」
箸を止めてガッツポーズしていたらレヨンさんに脅された。
今日なんかみんなひどくない?
私なんかしたかな?
考えながら箸を動かす。うーん、美味しい。
「ごちそうさまでした~」
「お粗末様でした」
箸を置くと、レヨンさんが机を片付け始めた。
手伝おうと思ったのだが、手際が良すぎて手出し出来ない。
というかレヨンさん、ドレスのまま洗い物とかしていいの?汚れない?
「ほら、アオイちゃんも着替えておいで」
「はーい」
レヨンさん、分かったから押さないで。
……服って昨日と同じでいいんだよな?
あれ、着るの結構めんどくさいんだよね……
まあ、着替えますけど……
「ピッ!」「チュン」
「あ、サクラ、モエギ。おはよー」
「ピィッピッピッ」
「うん。奥の部屋だよ」
「ピッ!」
「はいはい」
サクラは私の肩に止まりすらせずにコガネ君の所に行ってしまった。
元気だな~そして相変わらずコガネ君大好きだな〜
「チュン」
「うん?」
「チュッチュン」
「うん。着替えるよ」
「チュン、チュンチュン」
「え、別にいいのに……」
モエギは着替えるなら外に出ている、という。
気にしなくて良いのにな……
そういえばモエギも男の子なんだよな……
とりあえず着替えようかな。
モエギ待たせちゃってるし。
はい。着替え完了です。
本当に、この服私が着るべきではないと思う。
コガネちゃんとかなら似合うだろうけどさ……
でも周りはそんな事思っていないらしい。
コガネ君は今日も手をさまよわせていた。
レヨンさんが、コガネ君のこれは多分抱きしめたいとかそんな感じの事だって言ってたな。
「さて。行くかい?」
「はーい」
「ああ」
オールバックコガネ君とドレスアップレヨンさんに手を引かれ家を出る。
なんだろう、この私の場違い感は。
ちなみにサクラとモエギは首にリボンを着けている。
色はサクラが萌黄色、モエギが桜色だ。
「ピィッピッピピィ~♪」
「ノリノリだな~」
サクラは楽しそうだ。すごく楽しそうだ。
肩に止まらずずっと頭上を飛んでいる。
モエギは肩に止まってゆらゆらしている。
なんだかんだモエギも楽しそうだね。
「さ、到着したわけだが。アオイちゃん」
「はい?」
「コガネ君から離れない方がいいよ」
「え?」
「そうだな。主、離れない方がいい」
「なぜに?離れる気もないけど」
「「離れた瞬間人に囲まれる」」
「ふぁ!?」
なんで?
私なんかしたかな?
全くもって身に覚えがないんだけど……
「とりあえず、私は知り合いに挨拶しないといかんからちょっくら行ってくる。コガネ君、アオイちゃんをお願いね」
「ああ。言われなくとも」
「え?私なんかしたっけ?」
「何もしてないけどね。可愛いからね」
「かわ……?」
「主、まさかの自覚なし?」
「ふえ?」
コガネ君が手で目を押さえて天を仰いでいる。
なんで?え?どうした?
「主、本当に自覚してないのか……?」
「あー……そういえば私の外見がこの世界の人にはストライクだって誰かが言ってた気が……」
「そうそう。めっちゃストライク。アオイちゃん超可愛い」
本当に訳が分からないよね。この世界。
私がストライクってどうゆう事よ……
そんな事を言いながらレヨンさんは歩き始めた。
あ、挨拶回りだっけ?
大変だね。……あれ?なに?なんで私引っ張られるの?
もしかして私も行くの?
さっき置いていく的なこと言ってなかった?
「待っててもらおうと思ったけど一緒にいたほうが安全そうだから連れてくことにしました。はい行くよ~」
「分かったから引っ張らんでください」
私が行くとなればコガネ君もついてくるわけで。
つまりみんなで行くというわけで。
めっちゃ目立ちます。
そりゃそうだよね。目立たないわけないよね。
「目線が……目線が痛い……」
「……潰すか……」
「だめだよ!?」
「冗談だ」
冗談に聞こえない!!
やめよう!?心臓に悪いから!
「ほら、偉い人にご挨拶するよ」
「あ、はーい」
レヨンさんに肩を叩かれた。
顎で示している先には紳士!!って感じのおじいさまがいた。
というかレヨンさん、その態度凄く失礼だよね……
「おや、レヨン。久しいな。……して、そのお嬢さんは?」
「久しぶり、リーファ。この子は私の友人だよ。可愛いでしょ?」
「ああ。これぞ美の化身、といった美しさだな」
「アオイちゃん、この人は城に自由に出入りできるくらい偉い人」
ふぁ!?
それって相当だよね!?
このお祭りってそんなに偉い人も来るんだ!?
というかレヨンさんはそんな偉い人と知り合いなんだ!?
レヨンさんってどんな立ち位置なんだろ……?
と、とりあえず挨拶しないと!!
「は、はじめまして!」
「はじめまして。そんなに緊張なされるな。儂はリーファレート。リーファレート・サルドだ。レヨンがわざと大袈裟な紹介をしたが、そんなに偉くもない」
「いや偉いでしょ。ちょっと前まで国政関わってたんだし」
「ふぇ!?それってすごくないですか!?」
「もう引退したがね」
「でも発言力落ちたわけじゃないでしょ?」
本当にレヨンさんの立ち位置が気になるんだけど……
国政に関わってたような人にため口きけるって、結構上の立場だよね?
「そんなわけで、リーファ。アオイちゃんがなんか困ってたら助けてあげてね」
「ああ。そのくらいお安い御用だ」
どんなわけ!?
話聞いてなかったけどこれだけは言える。話繋がってないだろ!!
って、なに?もう別のところ行くの?えー……
「ここに残ってもいいけど……」
「行く!!行きます!」
置いていかないで!!
コガネ君がいるから最悪置いて行かれても大丈夫だが、できるだけ一緒に居たい。
レヨンさんいれば安全な気がする。
権力強そうだし。
「とりあえず日が暮れるまで挨拶回りになると思うから、足痛くなったりしたら我慢せずに言ってね」
「はーい」
「なんなら俺が背負うぞ」
「ありがとう。でもこれ以上目立つのは避けたいかな」
「ピィ!」「チュン」
「うん。ありがとう」
まあ、こっちの世界来てから運動してるし、大丈夫でしょ。
とか思ってた時が私にもありました。
足痛い……つらい……
いや、いけると思ったんだよ。
こっちの世界来てから運動してるのは本当だし。
でも、さすがに日が暮れるまでってのはキツかったね……
「アオイちゃん、大丈夫?」
「たぶん大丈夫です」
「ごめんね~」
「いえ、レヨンさんの所為じゃないですから」
私の筋力不足が祟っただけであって、レヨンさんは全く悪くない。
それにしても、レヨンさんは顔が広い。
日が暮れるまで挨拶回りだったのも、知り合いが多いからだ。
「……レヨンさんの立ち位置って、どうなってるんですか?」
「うーん……どうと言われると何とも言えないけど、そこそこの発言力は持ってると思うよ」
「発言力ですか……」
「うん。なんかヤバいのが来る、とかだとうちの子たちが騒ぐからね。それを騎士団に伝えたりしてたら、発言力はあるようになってた」
なるほど。
街の人からしてみれば危険を知らせてくれるありがたい存在なわけだ。
そりゃ発言力も出てくるだろうな。
「主、飲むか?」
「お?これは?」
「白桃ジュース」
「飲む」
コガネ君が買ってきてくれた白桃ジュースを飲みながら足を休めていると、一人の男の人が声をかけてきた。
「こんばんは、美しい人。良ければ私と踊って頂けませんか?」
……え?は?なに、これ。
レヨンさんに言ってるのかと思ったが、この人は確実に私の方を向いている。
詳しく言うと私に向かって跪いている。
……これ、どうしたらいいんだろう?
はやく何とかしないとコガネの機嫌が……
「あー……すみません。私、踊れないので……」
「そうですか……残念ですが、無理強いはよくありませんね」
男の人はきれいなお辞儀をして去っていった。
なんだったんだろう……
「アオイちゃん、今から帰るまでずっとこんな感じだと思うけど、頑張ってね」
「え!?じょ、冗談ですよね……?」
「残念ながら本当です」
レヨンさんの言葉通り、祭り会場から撤退するまでずっと誘われ続けました。
疲れた……
最初の人みたいにすぐ諦めてくれる人はいいのだが、しつこい人もいて大変だった。
まあ、そういう人はコガネが追い払ってくれた。
……疲れた。今日は早く寝よう……




