22,Qどうかしましたか?Aバンパイアが現れました。
夜、喉が渇いて目が覚めた。
ベッドから手を伸ばし、先日購入した時計を手に取るって机の上で淡く光るロウソクに照らして時間を確認する。
午前1時45分。
うむ。深夜。
「……うーむ。いたしかたあるまいて」
つぶやいて布団を退ける。
行きたくなかったが、安眠の方が大切だ。
なんで行きたくないかって?
怖いんだよ。暗くて。
子供っぽいと思ったか?
ふっふっふ。甘いな。この世界の夜の暗さをなめちゃいけないぜ!
リアル・一寸先は闇。だからな!
そんなわけで、しっかり明かりを持っていく。
このロウソク、どんな仕組みになっているのか明るさの調節ができる。
今は一番弱い光で、一番強くすると眩しいくらいになる。
今明るくするとコガネが起きてしまうので、燭台を持って部屋を出、ようとしたらコガネが目を覚ました。
「キュ……?」
「ごめんね、コガネちゃん。起こしちゃったね」
「キュウ?」
「うん。下に行くよ」
「キュイ」
ならば私も……と言って(鳴いて?)コガネちゃんが腕を伝って肩に上がってくる。
よかった。コガネちゃんがいれば安心だ。
改めて部屋を出て、手に持った燭台についている突起を回す。
するとロウソクの火が強くなった。
もしかしたら特別なのはロウソクではなく燭台なのかもしれない。
階段を降りて、台所に汲んである井戸水をコップに入れる。
これもどうなってるのかわからないが、いつでも水は冷えている。
ヒエンさんによると、何代か前の店主さんが作った水受けなのだとか。
「コガネちゃんも飲む?」
「キュイ」
「うん、ちょっとまってね」
底の浅い皿を取り出して水を注ぐ。
それをコガネちゃんの前に置き、イスに座る。
「はー、暑くなってきたねぇ」
「キュ」
「え?まだ初夏じゃないの?」
「キュウ」
「マジか〜」
のんびりと喋りながら台所で涼んでいると、お店の方から物音がしてくる。
……なんだろう。
ヒエンさん、かな?
そうであってくれ。
「キュウ、キュ」
「え〜ヒエンさん上にいるの?」
「キュイ」
「そうだね。確かめようか」
ヒエンさんでないとすれば、盗人かなにかだろう。
大丈夫。コガネちゃんいるし。
何かあればヒエンさんを呼ぼう。
意を決してお店に行く。
人影が、ある。
……マジかよ。
「ハーブさーん?」
「ふぇ!?」
え?あれ?この人ヒエンさんのお知り合い?
「あれ?ハーブさんの声じゃない。ハーブさん声変わりした?」
「い、いえ、ヒエンさん、じゃ、ないです」
言いながらロウソクの明かりを強くする。
そこには、カウンターの外側から不思議そうな顔でこちらを見ている青年がいた。
黒い外套に身を包んでいて、なんか怪しい。
「本当だ。ハーブさんじゃないや」
「あ、あの……」
「なに?」
「なんでこんな深夜に……?」
普通昼間に来るだろう。
今の時間、丑三つ時だからね?
「ああ、俺、陽の光がダメだからさ。いつもハーブさんに連絡して、特別にこの時間にポーションとか売ってもらってんだ」
「陽の光が、ダメなんですか」
それは、何というか。
「そう。俺、バンパイアだからさ」
言いながら青年は指で口を引っ張り歯を見せてきた。
人間だと犬歯が生えているその場所に、明らかに人のそれではない鋭い歯が生えている。
……マジでか。
え、すごい。バンパイアだよ、バンパイア。
バンパイアというその単語に反応したのは私だけではなかった。
聞いた瞬間コガネちゃんがコガネ君に変化し、背中に私を隠すようにして間に立つ。
……なんかめっちゃ警戒してる。
「……コガネ君?」
「主、バンパイアは危険だ」
「そうだよ〜そっちの女の子は警戒心が足りないな」
なんか知らんが怒られた。
というか諭された。
警戒すべき対象に諭された。
少しばかりへこんでいると、
「あら、アオイちゃん。起きてたの?」
ヒエンさんが現れた。
しっかり制服を着ている。
「って、コガネ君になってるじゃない」
「バンパイアは危険だ」
コガネ君がさっきのセリフを繰り返す。
それに反応して青年がヒエンさんに手を振った。
「やっほー。ハーブさん。久しぶり〜」
「そうね。久しぶり。で?今回はなにをお買い上げ?」
その後、バンパイアさんはフツーに買い物して作業部屋を通って庭から去っていった。
ヒエンさんが作業部屋の鍵を閉め、キツネに戻ったコガネを連れて二階に上がる。
……とりあえず、会いたい種族リスト、3つ目達成。かな?
〜アオイちゃん作の会いたい種族リスト〜
⚪︎獣人(達成済)
⚪︎エルフ
⚪︎ハーフエルフ(達成済)
⚪︎妖精
⚪︎精霊
⚪︎龍人
⚪︎鬼人
⚪︎付喪神
⚪︎土地神
⚪︎バンパイア(達成済)
⚪︎タンピール
⚪︎悪魔
⚪︎死神
…最後の2つは会っちゃいけない気がするの、私だけでしょうか?




